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その日、新八は何時ものように買い物に行き、買ってきたもので
夕食の準備をしていた。
そしてある程度下準備が済んだ様で、今度はお風呂の準備をしようと
台所から姿を現す。
・・・全く、良く働く嫁さんだねぇ。
俺は幸せもんだよ、うん。・・・等と思いながらその姿を見守る
一家の大黒柱である銀時は、のんびりとソファに寝転がっていた。
その姿をチラリと視界に入れた新八は、何か無性に言いたくなったが
のらりくらりと交されるのがオチ・・・と思いなおし、そのまま
通り過ぎようとした。
が、あるモノが目に入り、思わず足が止まる。
「銀さん何食べて・・・ってあぁ!!それ僕が貰ったの!!」
「あ、そうなの?」
見れば今日買い物帰りに会った沖田から貰ったお菓子が、
見る見る間に銀時の口の中へと消えていくではないか。
「そうなの?じゃないですよ!何寝転びながら食べてるんですか!
じゃなくて人のモンを食べるなぁぁ!!」
「んだよ~、そんな怒るなって。減るもんじゃなし・・・」
「いや、減りますよね?確実に減っていきますよね?」
ノロノロと起き上がる銀時からお菓子を取り上げれば、なんだか軽い
感触が・・・・
「って、減る所かもう無いし!!」
「いやいや、ほら、あれだよ。今の世の中物騒じゃん?
なのにさ、人から貰ったってオマエ、危険物極まりなくね?
だからさぁ、銀さんが毒味をしてやった訳よ、うん」
銀さんてば自己犠牲の固まりだね。空の袋を握り締め小刻みに震える
新八を前に、尤もらしい事を並べ立てる銀時。
しかし、口元に付いているお菓子のカスが全てを台無しにしている。
新八は小さく苦笑を零すと、銀時の口元に手を当ててそのカスを拭い、
「全く、仕方ない人ですね・・・とりあえずその自己犠牲で持って
仕事し倒して給料寄越せや、コノヤロー!!!」
力の限り摘んでそのまま横に引き倒したのであった。
しかし、次の日新八は真の自己犠牲の塊を見た。
普段通り出勤した新八は、朝食をほぼ作り終えた段階で
神楽達を起こしに掛かった。
最初に神楽、そして銀時・・・と、和室の襖を開けた時点で、
妙な違和感が新八を襲う。
・・・なんか布団の盛り上がり具合が・・・小さい?
何時もなら足や腕を出して豪快に寝ている銀時なのだが、今日は全てが
布団の中へと収まっている。
不思議に思いながらも、とりあえず起こさなければ・・・と、新八は
掛け布団へと手を掛けて剥ぎ取り、
「銀さん、朝ですよ~・・・」
・・・そして掛けなおした。
「・・・・・・・あれ?」
暫しそのまま布団に手を掛けた状態で固まり、首を傾げる。
そしてまた少しだけ布団を持ち上げ、すぐにそっと直す。
「何やってるネ」
その行動を何度繰り返したのか、いつの間にか和室の入り口に来ていた
神楽が声を掛けてきた。
「また子供は見たらいけない世界でも繰り広げられてるアルカ?」
そう言う時は黙ってチラ見してやるのがマナーネ。そう言ってズカズカと
和室へと入り込み、新八とは反対の場所へと行って布団に手を掛けた。
「わ~!!ちょっ、待って、神楽ちゃん。これ、なんかあの・・・
え~っ!!!!」
それを慌てて止める新八だったが、ツッコミさえ間々ならない程焦っている
その態度に、ますます神楽の好奇心は刺激される。
「大丈夫ネ、私は寛大な女ヨ。何があっても心底軽蔑してツラ見る度に
唾吐き捨てるぐらいで済ませてやるネ」
布団を奪おうとする神楽に。
「いや、全然寛大じゃないよね、それ。って言うか女の子が
そんな事しちゃダメでしょ!!」
必死に抑える新八。
そんな状態で寝ていられる訳もなく・・・
「朝っぱらからウルセェなぁ。小鳥の囀り通り越して鶏気取りですか
コノヤロー」
と言う言葉と共に、布団の中から小さな手がニョキリと生え出てきた。
それと同時に、ピタリと止む声と動き。
「え、何?」
不思議に思った銀時が、目の前で固まる二人に視線を送ると、
今度は盛大な叫び声が万事屋内に響き渡ったのであった。
「・・・て言うか本当に銀さん?」
新八は訝しげにソファの下に直に座り込んでいる子供を見た。
そんな新八に、神楽はへっと鼻で笑う。
「こんな死んだ目してる生き物は、銀ちゃん以外いないネ」
「そこで確認されても、銀さん全然嬉しくないからね?」
判ってんのか、酢昆布娘!そう言って怒鳴るが、見掛けが子供なので
全くと言っていい程怖くない。
新八はそっと微笑みそうになる口元を手で隠した。
今から少し前、叫ぶ二人に 煩い! とばかりに拳を振り上げようとして
漸く自分の体の変化に気付いた銀時が大声を出した所で、下からお登勢の
怒鳴り声が発せられ、慌ててそれぞれの口を押さえた。
そして改めて実感する、その体の小ささ。
混乱する銀時と新八を横目に、神楽の腹が盛大に鳴ったので、
とりあえず朝食にしようと言うことになったのだが・・・
「銀さん、何か変なもの拾い食いでもしましたか?それか
落ちてるもの食べたとか、
道端に置いてあるのを食べたとか・・・」
「新ちゃん、それ全部同じだからね?ちなみに酷いからね?」
ご飯をよそって渡してくれる新八にそう返しながら、銀時は一応
昨日の自分の行動を振り返ってみた。
「別に何時も通りだったけどなぁ・・・」
けれど小さくなってしまったのは事実で、銀時は小さく息を吐いた。
「ちなみにソレ、何歳ぐらいネ」
ご飯を大量に流し込みながら聞いてくる神楽に、銀時は見慣れない手に
視線を落とした。
小さいので、普段使っている箸が持ちにくい。
それに気付いたのか、新八が台所へと姿を消して、持ってきたスプーンを
代わりに持たせてくれる。
「ん~・・・5・6歳って感じかな?」
そして床に座っている銀時を抱き上げ、自分の膝の上へと座らせた。
そのあまりの子供扱いに、銀時は僅かに口元を曲げる。
「何コレ、銀さん的には反対の方が嬉しいんだけど」
「今反対になったら、確実に押しつぶせますね」
試してみますか?ニッコリと笑ってそう告げてくるが、手元は銀時が
食べやすいようにと、箸を器用に使ってオカズを小さくしていく。
「銀さん、これ食べますか?」
そして小さくなったそれを口元に運ばれ、一瞬銀時の行動が固まる。
何時もと違い、甲斐甲斐しく世話をされる状況に、銀時は恥ずかしいやら
むず痒いやらで居たたまれなくなる・・・が、ある意味夢見ていた
シチュエーションでもある訳で・・・
て、いやいや違うからね?それはあくまで恋人としての甘い雰囲気の
中で・・・って事だからね?
こんなほのぼの親子でやりたかった訳じゃないからね?
そうは思うが、自分の今の状況さえ忘れれば、目の前に繰り広げられてる
事柄はまさに夢のようで・・・銀時はフラフラとその小さな口を開いた。
「お、旦那ァ、羨ましい事してるじゃないですかィ」
が、突然の第三者の声が絶望と共に銀時の耳へと入り、幸せな時間は
差し出されたオカズと共に銀時の元から遠ざかっていったのであった。
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5555を踏まれた蒼月 銀牙様のリクエスト
『何らかの理由で身体が子供化した銀さんで銀新』
スミマセン、長くなりそうなので分けますι
こんな始まり方ですが、少しでも気に入って頂ける様
頑張ります!