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朝、何時ものように新八の声で起こされた。
いいねぇ、こういうのってよぉ。
いい匂いのする中で、愛しい子の声で起こされる。
・・・やべっ、なんかラブラブじゃね?
このまま深夜枠的な事しちゃってもよくね?
寧ろしなきゃダメじゃね?
銀時は既に深夜枠所ではない考えに浸り、寝たふりをしながらタイミングを
図っていた。
そこに新八の小さな溜息が落ちる。
「も~、寝汚いんだから。・・・粗大ゴミの日って何時だっけ・・・」
・・・すんません、新八くん。なんでこのタイミングで
粗大ゴミの日の確認!?
まさかとは思うけど、銀さんの事じゃないよね?
・・・て、アレ?
「はいはい、いいから起きて下さいね?
じゃないと朝ごはん、全部食べられちゃいますよ」
新八は最終通告とばかりにペチンと銀時の額を叩くと、そのまま立ち上がって
和室から出て行った。
「バレバレじゃん・・・つぅか俺の思考もバレバレ?」
薄目で新八の後姿を見送った銀時が、ゆっくりと起き上がり、後頭部を掻く。
その手がはたと止まり、視線が空をさ迷った。
「・・・ん?」
先程起こされた時に感じた違和感に、軽く首を傾げる。
別に新八の態度は何時もと変わらず、当てられた(正確には叩かれた)手も、
何時もと同じで暖かかった。
声だって何時もの調子で・・・一瞬低くなったけれど、それは
寝惚けていただけだと信じたい。
部屋の中だって変わりはないし、居間から聞こえる神楽の声や破壊音
だって同じだ。
・・・って今度はナニ壊しやがった、あの小娘。
とりあえずここで一人考えていても仕方ない・・・と銀時は腰を上げ、
新八達がいる居間へと向かった。
「・・・おぁよぉ~」
だらしくなく腹を掻きつつ居間へと入ると、別に変わりのない光景が
目に入った。
それに対し、銀時は再び首を傾げた。
・・・なんだったんだ、あれ。
「お早うございます、銀さん。って言うか気を抜きすぎでしょ、その頭」
「違うネ、新八。気合入れすぎてるからあの頭ネ、銀ちゃんは」
「おぉぉぉい!!ナニ、これ。起き抜けに罵詈雑言?
どこの地方ルールよ、それぇぇぇ!」
「十代ルールです。もぅいいからさっさと顔洗ってきて下さい」
掛けられる言葉と冷めた視線に銀時が叫ぶ。
それを軽く流して、新八が銀時の背中を洗面所へと押した。
「あ・・・」
「はい?」
近くにやって来た新八に、漸く銀時は感じていた違和感に気付いた。
何時も白や青を基調とした袴姿の新八が、本日は黒を基調としていたのだ。
「つぅかどうゆう気分転換よ、それ」
気付いた瞬間、マジマジと見てしまう程何時もと感じが違う新八。
その姿に、銀時は朝ごはんを食べながらもまだ見詰めてしまう。
銀時の視線に、新八も自分の着ているモノに目を落とす。
確かに自分はあまり着ない色合いだ。
けれど、そんなにマジマジと見詰められるほど変だっただろうか?
そんな気持ちが湧き上がり、新八は銀時に 変ですか? と問い掛けた。
「いや、別に変じゃねぇけどよ。見慣れないっつぅか・・・」
食べ終わった茶碗と箸を置き、銀時は湯呑みへと手を伸ばす。
その間も視線は新八から外さない。
そう、別に変ではない。
ただ何時もは少年らしいと言うか、可愛らしいかんじなのが、
今日は楚々としていると言うか、大人びているというか・・・
白い肌が余計に強調されててかなり・・・くる。
段々と銀時の死んだような目に色が付いてきているのに気がつかないまま、
新八が言葉を続ける。
「神楽ちゃんもちょっと微妙な顔してたんですよねぇ・・折角貰ったのに」
あぁ、神楽もなんか違和感感じてたんだな~・・・と、既に遊びに
飛び出していった少女を思い返し、
あ、そう言えば今二人っきりじゃん!!よしっ!!!
くれたヤツに感謝だな!ま、すぐ脱がすんだけど。
と、喜んだ銀時は、新八の言葉の続きを一瞬聞き逃した。
「て、え?貰ったって・・・誰に?」
「土方さんですよ。もう着ないのがあるからって」
「はぁぁぁぁ!!!?」
思いもかけない名前が出てきて、銀時はテーブル越しに新八の腕を取った。
見れば確かに少し古くはあるが、それなりに良い生地のもので。
おまけにヤツが好みそうな色合いでもあって。
「この間近藤さんを介抱してた時に、少し血が付いちゃったんですよ。
アレってなかなか落ちないんですよね。特に白い生地だと目立っちゃって。
で、迎えに来た土方さんがそれに気付いて、お詫びにって・・・」
聞いてます?自分の腕を掴んだまま動きを止めた銀時に、新八は
そう問い掛けて顔を覗き込んだ。
次の瞬間、もう一つの腕が新八の襟元へと凄い勢いで伸びてきて、
そのまま引き寄せられた。
「ぅわっ!ちょ、なにぃぃ??」
思わず目を瞑ると、体が一瞬浮くのを感じ、そして落とされるのを感じた。
背中に感じる感触に、ソファに倒されたのだと判ると、新八は
目を開き、ナニをするのかと怒鳴ろうとして・・・止めた。
・・・なんだろう、この怖い人。
だってなんか・・・目がヤバイ。
笑顔だけど、口元緩んでるけど、目がヤバイって!!
「あ、あの銀さ・・・」
「やっぱダメだわ。なんて言うかキャラに合わないってぇの?
なんかどっかの救護専門の隊とかにいそうだもん、コレ。
行き成り○解とかしちゃいそうだもん、これ」
「いや、意味判んないんですけど・・・」
とりあえず手を離して・・・と、新八が未だ襟元を捻り上げている
銀時の手をどかそうとするが、力を篭めまくっているのか、ビクともしない。
その間にも、銀時の笑顔はどんどん深まっていき・・・
「銀さんの言ってる意味、判んない?判んないかなぁ?
ま、いっか。とりあえず脱げやゴルァァァァッ!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
「うぅ・・・新ちゃんがマヨラーに汚されちゃったよぅ」
「アンタが言うなぁぁぁぁ!
どんだけ自分を棚にあげてんですかっ!
いいからさっさと洗ってください!」
・・・その後、異様に新八の着物の汚れを気にする銀時の姿があったと言う・・