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やる気がない、生気がない、おまけに仕事もない。
それらの言葉を思いっきり体現した銀さんは、
只今絶賛お昼寝中だ。腹が立つ。
で、仕事がなくてもやる気も生気もある僕としては、
何もしないと言う状況は我慢できなくて、
現在お掃除真っ最中。
・・・自分で自分の性分がイヤになる。
いやいや、でもホコリっぽいのとかイヤだし。
部屋が綺麗になるのって嬉しいし。
それにほら、仕事がないなら自分で見つけなさいって
よく言うし。
・・・ま、掃除よりも目の前で寝ている人物を
叩き起こすのが一番最初にしなきゃいけない
仕事の様な気がしないでもないけれど。
そう思い、僕はハタキを持ったままじっとりとソファと
一体化している人物に目を向ける。
が、掃除よりも体力と気力を使いそうなので、
その考えはなかった事にする。
だって態々近くで掃除機掛けても
丸っきり無視だったしねっ!
全くっ!!と苛立ちそのままにパタパタとハタキを掛けていたら、
不意に目に痛みが走った。
「っぃた!」
慌てて目を閉じるが、微かな痛みは治まらない。
どうやら落ちてきたホコリが目に入ったようだ。
ってか何でメガネしてるのにホコリ!?
いや、別にホコリ避けじゃないけどさぁ!?
あぁ、本当ついてない・・・と、僕は手にしていたハタキを
窓枠に置き、役に立たなかったメガネを外した。
「あ~、何かゴロゴロする・・・」
目の下を引き、空いてる方の手でそっと目のふちをなぞる。
だがゴミは取れなかったようで、代わりに涙がじんわり出てくる。
こうなったら涙で流れ出てしまえっ!とばかりに軽く瞬きをしながら
下を向いてみる。
が、それでも目の中の異物感はなくならない。
どうやらこの家はホコリでさえも家主に似て、
人を甚振るのが好きらしい。
「あ~もうっ!!」
中々取れないゴミに苛立った僕は、つい目蓋をごしごしと
擦ってしまったのだけれど、その手が不意に誰かに掴まれた。
って誰かも何も、ここには僕以外一人しか居ないんだけどね。
未だゴロゴロする目をそちらに向けると、案の定何処か
呆れたような顔をした銀さんが居た。
「・・・何やってんの、オマエ」
あ~あ、こんなに目ぇ真っ赤にしちまって。そう言いながら、
銀さんは優しく僕の目元を拭ってくれた。
「ったく、ゴミ入った時に擦ったりすんなよ。
傷付いちまうだろうが」
子供に言い聞かせる様に言葉を吐き出しながら、銀さんは
僕の目を覗き込んだ。
それがちょっとムカついて、自然と僕の唇が尖る。
「だって取れなかったんですよ」
「だってじゃねぇの。例えオマエ自身であったとしても、
新八を傷付けるのは許しません」
お、これか。そう言うと、銀さんは僕の目に口を寄せると、
やんわりと僕の目を舌で舐め上げた。
その何ともいえない感触に僕の肩はピクリと跳ねるが、
銀さんは気にしないまま序とばかりに、目尻に軽いリップ音を落とす。
そしてゆっくりと顔を離すと、緩く口元を上げたまま、
もう大丈夫だろ。と聞いてきた。
銀さんの言葉に、僕はパチパチと瞬きをする。
確かに先程の異物感は消えていて、すっきりしている。
・・・が、何とも素直にお礼が言えない気分だ。
だって舌ってっ!!舐めるってっ!!
僕のそんな心境が判ったのか、銀さんは苦笑しながら
手に持っていたメガネを取り、僕へと掛けてくれた。
「あれが一番傷付かなくて済むんだよ。
・・・ま、俺の好みってのもあるんだけどな」
「そんな好みは永遠に秘密にしといて下さい」
「んじゃ銀さんとオマエだけの永遠の秘密って事で」
「やっぱ秘密はいけませんね、何事もオープンでいきましょう」
「え?まさかの公開プレイ希望?」
「ちげぇよ。
ちょ、何なんですか、この会話!素で泣きたくなるんですけど!!」
全く、お礼を言う気が余計なくなったよっ!
そんな思いを込めて睨み付ければ、銀さんは 判った判った。と
少し肩を竦めて、僕の頭を軽く叩いた。
「お詫びに残りの掃除、してやっから。
だから泣かないで下さ~い。
オマエに泣かれるとキツイのよ、本当。
あ、鳴かれるのはいいんだけどね。
寧ろ鳴かしたいんだけどね、昼夜問わず」
「・・・泣きながら姉上に色々訴えて良いですか?」
そう言えば、銀さんは心底心の篭った謝罪をくれた。
滅多に謝らない人なのにっ!
・・・と言うか銀さんて余計な発言で色々損していると思う。
そんな事をぼんやり考えながら、パタパタとハタキをかけている
銀さんを見詰める。
時折、
「俺より先に新八を泣かせやがってっ!!」
なんて声が聞こえてきて笑える。
だって真剣だし、声も顔も。
本当、ホコリ相手に何言ってんだ。とか、
それなら毎日掃除ぐらいしろよ。とか思うけど。
頬を緩めるこの笑みは、そう言うものに対してでは
ないような気がする。
だってさっきから、胸の辺りが凄くくすぐったいもんっ!
「そう言えば寝たふりしてたんですね、さっき。」
「いや普通に寝てたけど?」
「じゃあ何時起きたんです?」
「新八が痛いっ!って言った時」
「・・・掃除機を掛けてた時は?」
「あ、もうかけたのか?ってか普通反対じゃね?
ハタキかけてから掃除機だろ」
「や、何かイラッと来てたんで、銀さんの周りだけ
かけました」
「ちょ、何その地味な嫌がらせっ!!」
八万打企画第十一弾・Mag.様からのリクで
「坂田に愛されて幸せを感じてる新八」と言う事でしたが
・・・如何ですかね?幸せ感じてますかね、これι
もっとうっかりしようと思ったんですが、今回は
これが限界だったようです、すみません~(土下座)
こんな感じになりましたが、少しでも気に入って頂けたら
嬉しい限りですv
企画参加、本当に有難うございましたvv