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朝、起きると何時ものように亡骸もどきが庭に転がっていた。
「あら、新ちゃんおはよう。何時も早いわね」
そう言って爽やかな朝日を浴びながら微笑む姉上は、
亡骸もどきを踏みしめながら縁側へと上がってきた。
キラリと輝く汗は、同じように爽やかだが所々混じってる
赤い何かがそれを台無しにしている。
・・・ってか今の足蹴で『もどき』じゃなくなったんじゃ・・・
「今日はいい天気ね。なんか汗掻いちゃった」
とりあえずお風呂に入ってくるわね。そう言って風呂場へと
向かう姉上を見送り、僕はその間に朝食の準備を
する事にした。
だって向こうは時間止まってるからね。
・・・人生までは止まってないと思いたいけど。
「ん・・・俺は一体・・・」
朝食の片付けも終わって姉上が眠りについた頃、洗濯物を干していた
僕の耳に、戸惑うような声が入ってきた。
見れば縁側に横になっていた近藤さんが、額に手を当てつつ
体を起こしている所で。
「お早うございます、近藤さん。
いい加減懲りると言う事を知って下さい」
呆れた声で告げれば、漸く状況を把握したらしい近藤さんが
ポンと手を叩いた。
「そうか!俺はまたお妙さんの愛の中へと沈み込んでいたのかっ!」
「・・・いや、拳によって沈み込んではいましたが」
ってか記憶混乱の次は脳内補正かいっ!勢い良く突っ込めば、
近藤さんは豪快にそれを笑い飛ばした。
「なぁに、お妙さんから贈られるものは、全て愛故だからなぁ」
拳も愛だっ!照れ隠しだっ!!・・・と叫ぶこの人は、
もうどうしようもないのかもしれない。
・・・と言うか・・・
「やっぱり脳みそないから背が伸びたのかな?」
「・・・あれ?なんか酷い事言われてる?俺」
ポツリと出てきた言葉に、近藤さんの目が薄っすら涙ぐむ。
それに僕は慌てて手を振った。
「あ、いや違いますよ!?
ただそんなに背が高いのは、頭が軽くて押さえがなかったからかな~
って思っただけで」
「同じことだよね、それっ!
全然違ってないよね!?」
・・・あれ?そうだっけ?
・・・・・・・まぁいいや。
僕は騒いでる近藤さんをそのままに、洗濯物へと意識を戻した。
ってかそんな騒いでるとまた沈められますよ。
「どれ、何時ものお礼に俺も手伝おうかな」
皺を伸ばしつつ洗濯物を干していれば、後ろから腕が伸びてきた。
何時の間に来ていたのか、背後には近藤さんが居て
軽々と高いところの竿に洗濯物を干していく。
いや、僕だってちゃんと届くよ?
でも手を伸ばさないと届かないんだよね。
けれど近藤さんはそんな事は全くなくて・・・
頭一つ分は優に上にある近藤さんの顔を恨めしげに見詰める。
・・・やっぱ高いよね、身長。
そんな僕の視線に気付いたのか、近藤さんがきょとんとした
顔でこちらを見てくる。
「ん?どうかしたかい?新八君」
「・・・いえ。ただ姉上の洗濯物はこの中にありませんよ?」
「・・・一体俺はどんな目で見られてるのかな?」
思わず出た憎まれ口に、近藤さんは少しだけ目を潤ませた。
「どんなって・・・言ってもいいんですか?
再起不能になったりしませんか?」
「ちょ、一体どんな事言う気ぃぃぃ!!?
止めてっ!近藤さん、これでもナイーブだから。
繊細の塊でガラスな心を持ってる男だからぁぁ!!」
いやぁぁ!!!!と喚き出す近藤さんを はいはい、言いませんよ。
と宥めながら、最後にパンとシーツの皺を伸ばす。
うん、やっぱり綺麗に干せると気分がいいよね。
干し終わった洗濯物を満足げに眺め、僕は一つ頷いた。
その時、ポンと言う軽い感触が頭の上に乗って来て、そのまま
わしゃわしゃと撫でられる。
ちらりと視線を向ければ、そこには柔らかく口元を緩めた
近藤さんの顔が。
「お疲れ様、新八君」
「・・・いえ」
無骨な、けれど何処か優しい手つきで撫でられて、
僕は少しだけ頬が熱くなるのを感じた。
背も大きいけど、手も勿論大きいけれど。
・・・でも、一番大きいのは懐なのかもしれない。
頭を撫でられる心地よさと気恥ずかしさに、
今度からはもう少しだけ優しく接しようかな・・・なんて反省したりした。
「で、お妙さんの洗濯物は何処かな?」
「教えるわけねぇだろうがぁぁ!!!!!!」
・・・ま、直ぐに反省した自分を反省したのだけれど。
近藤さんは父親☆