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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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朝、起きると何時ものように亡骸もどきが庭に転がっていた。

「あら、新ちゃんおはよう。何時も早いわね」

そう言って爽やかな朝日を浴びながら微笑む姉上は、
亡骸もどきを踏みしめながら縁側へと上がってきた。

キラリと輝く汗は、同じように爽やかだが所々混じってる
赤い何かがそれを台無しにしている。

・・・ってか今の足蹴で『もどき』じゃなくなったんじゃ・・・

「今日はいい天気ね。なんか汗掻いちゃった」

とりあえずお風呂に入ってくるわね。そう言って風呂場へと
向かう姉上を見送り、僕はその間に朝食の準備を
する事にした。

だって向こうは時間止まってるからね。
・・・人生までは止まってないと思いたいけど。

 

 

 

 

 

 

 


「ん・・・俺は一体・・・」

朝食の片付けも終わって姉上が眠りについた頃、洗濯物を干していた
僕の耳に、戸惑うような声が入ってきた。

見れば縁側に横になっていた近藤さんが、額に手を当てつつ
体を起こしている所で。

「お早うございます、近藤さん。
いい加減懲りると言う事を知って下さい」

呆れた声で告げれば、漸く状況を把握したらしい近藤さんが
ポンと手を叩いた。

「そうか!俺はまたお妙さんの愛の中へと沈み込んでいたのかっ!」

「・・・いや、拳によって沈み込んではいましたが」

ってか記憶混乱の次は脳内補正かいっ!勢い良く突っ込めば、
近藤さんは豪快にそれを笑い飛ばした。

「なぁに、お妙さんから贈られるものは、全て愛故だからなぁ」

拳も愛だっ!照れ隠しだっ!!・・・と叫ぶこの人は、
もうどうしようもないのかもしれない。

・・・と言うか・・・

「やっぱり脳みそないから背が伸びたのかな?」

「・・・あれ?なんか酷い事言われてる?俺」

ポツリと出てきた言葉に、近藤さんの目が薄っすら涙ぐむ。
それに僕は慌てて手を振った。

「あ、いや違いますよ!?
ただそんなに背が高いのは、頭が軽くて押さえがなかったからかな~
って思っただけで」

「同じことだよね、それっ!
全然違ってないよね!?」

・・・あれ?そうだっけ?
・・・・・・・まぁいいや。

僕は騒いでる近藤さんをそのままに、洗濯物へと意識を戻した。

ってかそんな騒いでるとまた沈められますよ。


「どれ、何時ものお礼に俺も手伝おうかな」

皺を伸ばしつつ洗濯物を干していれば、後ろから腕が伸びてきた。
何時の間に来ていたのか、背後には近藤さんが居て
軽々と高いところの竿に洗濯物を干していく。

いや、僕だってちゃんと届くよ?
でも手を伸ばさないと届かないんだよね。

けれど近藤さんはそんな事は全くなくて・・・

頭一つ分は優に上にある近藤さんの顔を恨めしげに見詰める。

・・・やっぱ高いよね、身長。

そんな僕の視線に気付いたのか、近藤さんがきょとんとした
顔でこちらを見てくる。

「ん?どうかしたかい?新八君」

「・・・いえ。ただ姉上の洗濯物はこの中にありませんよ?」

「・・・一体俺はどんな目で見られてるのかな?」

思わず出た憎まれ口に、近藤さんは少しだけ目を潤ませた。

「どんなって・・・言ってもいいんですか?
再起不能になったりしませんか?」

「ちょ、一体どんな事言う気ぃぃぃ!!?
止めてっ!近藤さん、これでもナイーブだから。
繊細の塊でガラスな心を持ってる男だからぁぁ!!」

いやぁぁ!!!!と喚き出す近藤さんを はいはい、言いませんよ。
と宥めながら、最後にパンとシーツの皺を伸ばす。

うん、やっぱり綺麗に干せると気分がいいよね。

干し終わった洗濯物を満足げに眺め、僕は一つ頷いた。
その時、ポンと言う軽い感触が頭の上に乗って来て、そのまま
わしゃわしゃと撫でられる。

ちらりと視線を向ければ、そこには柔らかく口元を緩めた
近藤さんの顔が。

「お疲れ様、新八君」

「・・・いえ」

無骨な、けれど何処か優しい手つきで撫でられて、
僕は少しだけ頬が熱くなるのを感じた。

背も大きいけど、手も勿論大きいけれど。

 

・・・でも、一番大きいのは懐なのかもしれない。

 

頭を撫でられる心地よさと気恥ずかしさに、
今度からはもう少しだけ優しく接しようかな・・・なんて反省したりした。

 

 

 

 

 

「で、お妙さんの洗濯物は何処かな?」

「教えるわけねぇだろうがぁぁ!!!!!!」


・・・ま、直ぐに反省した自分を反省したのだけれど。
 

********
近藤さんは父親☆

拍手[8回]

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その夜、仕事が終わったお妙は何時もの様に同僚と共に帰宅していた。
だが、不意に視界に見知った姿を見た気がして、途中で
同僚と別れ、その後を追った。

少しだけ家路から離れ、視線を巡らせば案の定、
暗い夜道でもくっきりと浮かび上がっている銀髪を発見した。

「・・・こんな時間に何をやってるんですか?」

声を掛ければ、目の前の銀髪は進む足を止め、ゆっくりとお妙へと
顔を向けた。
そして同時に見えた腹部を染める赤い色に、お妙は眉を顰める。

だが、銀時はそんな事気にもしていない様に、軽く手を振った。

「おいおい、こんな時間にそう言う質問は
マナー違反なんじゃね?」

「黙って家を空ける程のマナー違反じゃないと思いますけど?」

にっこりと笑って告げるお妙の前で、銀時は あ~・・・と
声を上げ、気だるそうに髪をかき上げた。

「言っときますけど、相当怒ってますよ?」

そう、目の前の男が数日前から家に帰って来ないのだと、
流石自分の弟だと言うほどの怒りを見せていたのだ。

いっその事、そのまま見限ってしまえ。と言えば、
直ぐにでも頷いてしまうかのように。

だが、銀時はお妙の言葉に青褪める所か、やんわりと
口元を緩ませた。

「・・・でもそれ以上に心配してんだろ?」

「あら、銀さんてば結構自信過剰なのね。
一度叩き潰して差し上げましょうか?」

そう軽口を叩くが、まるで確信しているかのようなその言葉に、
お妙はキュッと手を握り締めた。

実際、銀時の発言は正しいのだ。

確かに新八は怒っていた。
神楽も呆れながらも怒っていた。

・・・だが、それ以上に心配もしているのだ。

もう知るもんか。と言いながらも、新八は毎日ご飯を三人分用意し。

今の内に隠してるお菓子、全部食ってやるネ。と言いつつ、
神楽は何時ものように酢昆布だけを口にしていて。

帰ってきても家に入れません。と息巻いてる癖に、
万事屋の玄関の灯りは、一晩中消える事が無い。

夜、子供二人だと心配だから・・・と家に来るように言っても、
何時もの事だからと笑って答えられた。

新八曰く、帰ってきたら即説教してやる為に。

神楽曰く、帰ってきたら即効殴りかかる為に。


・・・でも本当は、帰ってくるだろう銀時を
あそこで一番に迎える為に。


もし・・・と、今日も泊まりになるとすまなそうに告げてきた
新八を思い出して、お妙は考える。

そう、もしいなくなったのが銀時でなく、自分であったなら。

心配はするだろう。それも銀時と同じくらいか、それ以上に。
それは確信できるし、簡単に想像も出来る。

きっと昼夜問わず探し回り、自分の名を呼び続けてくれるだろう。

だけど・・・だけどと思うのだ。

心配もする。探し回りもする。

だけど、銀時相手のように確信を持って家で待ち続けては
くれないだろう・・・と。

それはきっと、今まで自分が腕の中で守っていたものが、
いつの間にか外に出てしまったと言う事。

あの子にとって、自分は最早絶対的なものではなく、
寧ろ守るべき対象となってしまったと言う事。

だって腕の中に居た頃だったら、
私があの子の絶対的存在のままだったら、
きっとあの子は家で私を待っている筈だ。

探しもする、呼びもする。

けれど、絶対に大丈夫だと。
絶対に帰ってくると。

頑なに、そう信じて待っている筈なのだ。
丁度、今の状況のように・・・

でも、きっと今はもうそんな事はしない。
私に対してはそんな事、もうしない。

信じているが、それは無事な事を。

きっと助けに行こうと動き出す筈だ。
いつかの九兵衛の時のように。


それを人は成長なのだと言うのだろう。
喜ばしい、誇らしい事なのだろう。

だけど、私はそれでは寂しいのだ、悔しいのだ。



だって私は、守られるよりも、
この腕の中でずっと守っていたかったのだから。



だが、それはいつの間にか目の前の男に奪われていて・・・




 

でも、そんな事を銀時の前で肯定したくなくて、
お妙は笑みを作ってる頬に力を入れた。

「ま、私が叩き潰さなくても、勝手に潰されそうですけどね。
どうしたんですか?それ。良かったら手当てしましょうか?」

そう言って赤く染まった部分を指差せば、銀時は
ヒラヒラと手を振った。

「あら、遠慮しなくてもいいのに」

「い~や、全力で遠慮するね、俺は。
だって手当てするって言う目じゃねぇもん。
なんか獲物を見つけた殺人者的目、
してんもん、お前」

「やだ、失礼な事言うのね、銀さんてば。
私、こう見えて手当て、上手いのよ?」

「いや、明らかに手当てしなきゃいけない原因
作り出す方が上手いよね、お前。
寧ろ手当てが追いつかない勢いで
作り出してるよね、何時も」

「嫌だわ。そんな風に見えてたの?
私、手当てさえも必要の無い状態を狙ってたのに」

「・・・お前、ちょっと数行戻って台詞読んで来いよ。
色々矛盾してっから」

「建前って長い事続けてられないのよ」

「いや、せめてもう少しだけ頑張る努力をしろよ」

ニコニコと笑ったままのお妙に溜息を深々と吐き、
まぁいいや。と言って追い払うように手を振った。

「手当ては適当にして帰っから、お前はもう帰れ」

「あら、私に構わず銀さんこそお帰りになられたら?
ここでフラフラと見っとも無く歩いていく姿を見守ってますから」

そう言うと銀時は肩を軽く上げ、小さく笑った。

「そりゃ有難いがな、遠慮しとくさ。





今お前に背中向けたら、帰れるものも出来なくなりそうだしな」





まるで考えている事などお見通しと言わんばかりの目で、
銀時はお妙を見詰めた。

それに対し、お妙はひっそりと口元を挙げる。
 

「・・・馬鹿な事言うのね、銀さん。
 


――――そんな今更な事を」


段々と夜が明けていく中、お妙はより一層笑みを深めて
呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、あなたがもしこのまま帰らなかったら、
あの子はまた私の腕の中に還って来てくれるかしら?
 

************
病み銀を書こうとして何故か病み妙に。

拍手[15回]



お正月と言う事もあってか、ほんの少しだけ何時もと雰囲気が違う
通りを歩いていると、不意に声を掛けられた。

「あ、桂さん。それにエリザベス」

振り向けばソコには、団子屋の前にある長椅子に腰を下ろし、
のんびりとお茶を啜っている見慣れた姿が。

・・・って、いいのか。こんな所でのんびりしてて。
・・・や、いいのか。テロ活動してない証拠だから。

とりあえず色々とツッコミたくなったけど、正月ぐらいはのんびりしたい。
僕は黙ってお茶をしている二人に近付き、年始の挨拶を述べた。

「あぁ、おめでとう。今年もよろしく頼むよ」

朗らかにそう言われ、僕は苦笑するしかない。
悪い人ではないと思うけど、指名手配犯にはあまり言われたくない言葉だ。

そんな僕の微妙な表情に気付かないまま、桂さんは小さく声を上げると、
ゴソゴソと袂を漁りだした。

何してるのかな?

首を傾げながらそれを見ていると、桂さんは目当ての物を見つけたらしく、
笑って僕の目の前に小さな袋を出してきた。

もしかしてこれって・・・

「お年玉だ。まぁ気持ちだけだがな」

「え!?あ、いやいや、いいですよ!そんな」

予想が当たり、慌てて両手を振った。

気持ちは嬉しいですけどね?
やっぱり貰えないでしょ、普通。
・・・や、別にそのお金の出所が不安とかじゃなくて。
あくまで年齢的にね、年齢的に。


・・・ま、実際不安なんだけどさ。



そんな僕を見て、子供が遠慮するもんじゃない。と言って、強引に
桂さんはポチ袋を僕の手に乗せてきた。

「それに思ったより年末にやった呼び込みのバイトが良くてな。
世の中不景気だと言うが、あぁいう業種は不景気知らずだな」

「ってバイトかよ!何やってんですかアンタ!
違う意味で不安になるよっ!!」

はははっと笑う桂さんに、とうとうツッコミを入れてしまう。
あぁ、お正月ぐらい心穏やかに行きたかったのに・・・

「なんだ、新八君は心配してくれてるのか?大丈夫だぞ。
俺は客を呼び込んでも、自分が行ったりはしないからな」

「いや、そうじゃ・・・もぅいいです」

カクリと力なく肩を落とし、有難くお年玉を頂戴する事にした。

「うんうん、子供は素直が一番だ。それにどうせ銀時からは
貰っていないのだろう?」

「あ、いえ。・・・それがくれたんですよ、銀さん。
茶封筒で渡されたから、最初お給料かと思ったんですけど・・・」

そう言うと、桂さんは酷く驚いたようだった。
・・・まぁね、気持ちは物凄く判るよ。僕だって心底驚いたし。
ってかお年玉って銀さんのキャラじゃないよね?
・・・や、茶封筒ってトコは銀さんっぽいか、うん。
あれ、表に『お年玉』って書かれてなきゃ、気付かなかったからね。
そのまんま食費に回してたからね、僕。


・・・まぁお年玉だとしても、
回す気だったけど。



それを言ったら、物凄く怒られてしまった。

お年玉は自分の好きなモノに使うモンなんだって。
そう言って照れ臭そうに僕の髪の毛を掻き回した銀さんは、
ちょっとだけ嬉しそうに見えたから、僕は有難く貰うことにしたんだよね。

ちなみにお登勢さんにも貰ってしまってたりする。
ちゃんとしたポチ袋で、家賃なんかに回すんじゃないよ?
と言う言葉と共に・・・

そんなに僕、所帯染みて見えるのかな?


や、考えたけどさ、少し。




それを話したら、桂さんにも頷かれてしまった。

「無駄遣いはよくないがな」

・・・家賃とか食費って無駄じゃないと思うんだけど。
寧ろ死活問題だと思うんですけど。

でも、そう言う事じゃないんだよね。

僕はクスリと笑って返事をし、改めて桂さんに御礼を告げた。


「あ、序にリーダーにも渡しておいて貰えるか?
それと、これが預かってた分だ」

そろそろ帰ろうと挨拶をしようとすると、再び桂さんがポチ袋を取り出してきた。
・・・って、神楽ちゃんのは判るとして、預かってた分って??

この派手な柄のが高杉からだな。で、こっちの名前が微妙に
間違えて書かれているのが坂本の分
だ」

「・・・・・・・は?」

「いや、この間一緒に呑んでな。その時に渡しておいてくれと
頼まれていたのだ」

ここで会えて丁度良かった。そう言って渡された袋は、やっぱり神楽ちゃん
の分も入っているのか、同じように二つずつあって・・・



本当、何やってんだよ、あんた達。



その後、何故だかエリザベスにまでお年玉を貰ってしまった。
ポチ袋は至って普通なんだけど・・・アノ人こそどうやって
お金を稼いでるんだろう。

ちなみに桂さんから貰ったポチ袋はエリザベス型のものだった。

・・・作ったのか、手作りなのか、これ!

「でも、お年玉か~」

父上が亡くなってからと言うもの、こう言ったものに縁がなかったから、
実は本当は少しだけ嬉しかったりする。
一応働いてるんだし、もう16だし、貰えると思ってなかったしね。

でも、まさか桂さん達までくれるとは思ってなかった。
どうしよう。嬉しいけど何に使えばいいんだろう。

普段あまりない事に頭を悩ませていると、今度は前方から
名前を呼ばれた。

顔を上げれば、そこにはやはり見慣れた黒い服の集団が。

「おめでとうございます、近藤さん、土方さん、沖田さん」

頭を下げて挨拶すれば、それぞれの形で挨拶を返してくれた。

「なんか久しぶりだねぇ、お妙さんは元気かい?」

「えぇ、最近は特に調子がいいみたいです」

ニコニコと笑ってる近藤さんに、苦笑しつつそう返す。

さすがの近藤さんも、年末年始の忙しさに姉上のストーカーを
してなかったんだよね。

「そうか。さすがお妙さん、会えない寂しさも周囲には悟らせないなんて
なんて健気なんだ!!大丈夫!もうすぐ仕事も一段落着くから!
安心してくれと伝えておいてくれっ!」

「はい、そろそろ警戒再開しろと伝えておきます

「あれ?なんか極端な伝言ゲームみたいになってない?」

「いや、正確に翻訳してるだけじゃねぇですかィ?」

「ってかまだとうぶん忙しいんだよ、おい」

首を傾げる近藤さんに、次々とツッコミが入る。
相変わらずだなぁ、なんて笑い、では・・・と軽く頭を下げて
その場を後にしようとするが、直ぐに引きとめられた。

なんだろう。と振り返ると、ニコニコと笑ってる近藤さんが、
ポケットから何かを取り出して僕へと差し出していた。

・・・って、これってまさか・・・

「はい、お年玉」

やっぱりかぁぁぁぁ!!!!!
ってか何コレ、なんかちゃっかり『義弟へ』とか書かれてるんですけどぉぉ!!

「あ・・・いえそんな・・・僕もうそんな年でもないですし・・・」

両手を振って遠慮していると、突然その手を強く握られた。
そしてクルリとひっくり返されると、その手の上にポンと白い封筒
乗せられる。

「ガキが遠慮してんじゃねぇよ」

「土方さん・・・」

アンタもですか・・・って封筒って・・・
まぁ茶封筒じゃないだけマシ・・・かな?

「そうそう、遠慮なんかしちゃダメだよ?
総悟なんて毎年財布ごと持ってく勢いなんだから」

呆然としている僕の手に、近藤さんも可愛らしい柄のポチ袋を乗せていく。
勿論、きちんと神楽ちゃんの分も。

「え・・・でも・・・」

「いいじゃねぇですか。こんな時でもなきゃぁ大人の甲斐性
見せれねェ人達なんですから。
ガンガン上納させりゃいいんでさァ」

それでも戸惑っていると、沖田さんが僕の肩に手を回して引き寄せて
そんな事を言ってきた。

「テメェはそろそろやる側に回っとけや、コラ」

「心外でさァ。俺は何時でも殺る側ですぜィ。
って事で
金と共に命も落としとけよ土方コノヤロー」

「どっちも落とさねぇよっ!
ってか正月早々縁起の悪い事言ってんじゃねぇぇぇぇ!!!」

と、怒りも顕に土方が刀を抜き、何時もの小競り合いが始まる。

あ~、もう本当。変わらな過ぎだよ、この人達。

段々と離れていく二人を力の抜けた視線で追っていると、
ポンと肩を軽く叩かれた。
見れば隣には近藤さんが居て、ニッコリと笑っている。
そして、そのまま肩に置いた手を僕の頭へと移動すると、

「総悟の言う通りだ。大人の見得だとでも思って、収めといてくれないか?」

で、好きに使いなさい。そう言って優しく頭を撫でてきた。

・・・これで断ったら、子供の我が侭だよね。

僕は素直に 有難うございます。 とお礼を言うと、手に乗せられた
袋をギュッと抱き締めた。


「あ、でも生活費とかに回しちゃダメだからね!」

「後、天パーにも渡すんじゃねぇぞぉぉ!!!」

隣からは真剣な顔をした近藤さんに。
そして少し離れた所からは、本気な声の土方さんにそう言われた。


・・・だから僕の事なんだと思ってんですか、あんた等。

 



さて、何に使おう。

何時もより温かくなった懐と、なんだかくすぐったい心を引きつれ、
僕は軽い足取りで万事屋へと向った。


「今度、このあぶく銭で遊ぼうぜィ」


後ろから掛けられた、沖田さんの声に元気良く返事を返しながら。

******************************
貰うのもあげるのも嬉しいもんです。
・・・まぁ懐は寂しくなりますけどね(泣)

拍手[6回]


一応注意書きです。

別にヤバイものではありませんが、高杉スキーにはヤバイかもしれません(笑)
苦情とか言う気満々の方はご遠慮下さい。
そして高杉を普通に、真っ当に愛してる方。


超逃げて。


では、心の広い方だけどうぞ~。

拍手[4回]



「あ、ヅラアル」

買い物帰り、遊んできた神楽と丁度会った新八は、人通りの多い道を
並んで歩いていた。
そこに先程の神楽の声が聞こえ、少しだけ驚く。

「え、ドコ?」

どうも桂と言う人物は指名手配されていると言う事実を時折忘れるらしく、
普通に昼間の大通りを歩いていたり、万事屋に訪ねて来たりする。

最初の頃律儀に心配したりしたのだが、その後の真選組との攻防を
見ていると、そんなに心配しなくてもいいか・・・と思うようになった。

・・・て言うか、心配してたあの頃の自分に言ってあげたい。

心配するだけ無駄だ・・・と。

けれど、やっぱり気になってしまうのは自分の性分で、またこんな人の
多い所に!・・・と呆れながらも視線を流した。

が、桂の姿も、多分共に居るのであろうエリザベスの姿も見当たらない。
不思議に思っていると、隣に居た神楽にグイッと袖を引かれた。

「あれネ」

そう言って指差された所を見ると、そこは掲示板らしく、色々な張り紙が
貼られていた。
近寄って見てみると、確かに其処には桂の顔が・・・

「あぁ、手配書ね」

ドコで撮られたのか、桂の顔写真の下に、

『このツラ見たら真選組へ!!』

と書かれている。・・・って言うか、ツラって・・・
自ら柄の悪さをアピールしてどうすんだろ、あの人達。

乾いた笑いを零していると、不意に隣の神楽から不満そうな声が聞こえてきた。

「どうしたの、神楽ちゃん」

仮にも知り合いがこんな風に手配されてるのがイヤだったんだろうか。
そう思い聞いてみると、

「違うネ。ずるいアル、私もこんな風にポスター貼られたいネ」

・・・と言う事だったらしい。
いや、違うからね。ポスターとかそう言う穏やかなものじゃないから、コレ。

そう告げるものの納得いかないらしく、僕の持っている風呂敷包みに手を入れ、
ゴソゴソと漁ったかと思うとメモ用のペンを取り出し、
止める間もないままその手配書に何かを書き込んでしまった。

「ちょ、何してんの、神楽ちゃん!!」

「うるさいネ!歌舞伎町の女王である私を差置いて人気者になろうなんて
六年早いヨ!!

短っ!!何その妙に具体的な年数!!
ってかコレはそういうのじゃないから!」

遅れたものの何とかペンを取り返し、きちんと説明しようとした所で
後ろから聞きなれた声が掛けられた。

「なんでィ、そんなに手配書貼られたいなら遠慮する事ァねぇ。
今すぐそこら中に貼り散らかしてやるぜィ

振り返ればそこには黒い隊服に身を包んだ沖田の姿が。

「あ、沖田さん、こんにちは。ご苦労様です、巡察中・・・ではないですね

軽く頭を下げ挨拶をするが、その時視界に入った首元のアイマスクに
頬を引きつらせる。

・・・労った僕の一瞬を返せ。

「オマエに遠慮する気はないけど、力を借りるつもりもないネ!
私は私の力でこうなってみせるヨ!!

いや、そうなったら困るから。
って言うか気を抜いたら今すぐにでも
余裕でそうなっちゃいそうだから!!

ダメだよ!気合を入れている神楽にそう言い聞かせていると、後ろに居た
沖田がヒョコリと二人の間に体を入れ、

「で?見知ったツラでもありやしたかィ?」

と、問い掛けてきた。
 

・・・いや、見慣れた顔はありましたけどね。


そう思いながらも、言葉にする事はせず、引き攣る頬をなんとか緩ませた。

「ま、見掛けたら知らせて下せェ」

期待しないで待ってまさァ。沖田は緩く首を廻すと、大きく伸びを
しながらその場を後にした。

「・・・それはこっちの台詞だと思うんだけど・・・」

「あ、新八!早く帰らないとドラマの再放送が始まるネ!!」

沖田を見送り、肩を落とした所で神楽にそう急かされ、新八は一つ笑みを
浮かべると、

「だね。早く帰ろっか」

再び二人並んで帰路についたのであった。

 

 

 

 

 

 

その夜、誘われて呑みに行っていた銀時は、
桂と共に人気のなくなった道を歩いていた。

「銀時・・・誘ったのは俺だが、奢るとは一言も・・・」

「うるせぇなぁ。んな細かい事グダグダ言うからヅラんなるんだよ、
テメーは」

「ヅラじゃない、桂だ!!」

あ~、はいはい、お約束お約束。・・・っておい、見ろよコレ」

手を振って軽く桂の言葉を流していた銀時が、不意に道端にある掲示板
へと寄っていった。

「あらまぁ~、有名人だねぇ、オマエ」

奇しくもそれは昼間新八達が見ていた桂の手配書で。
暗いながらも銀時は目を凝らしてそれを見詰めた。

「ふん、くだらん。こんな手配書一枚、俺の変装でかわしてやるわ

「いや、あれ変装でもなんでもないから。
単なる悪ふざけだから、本当」

あれで何で捕まんねぇかな、コイツ。そう言いつつ見ていた銀時が
突然 プッ と噴出した。

「なんだ、人の写真を見て笑うヤツがいるか!!」

「や、違う違う。そうじゃなくてこっちだって」

ホレ。そう言って指差された場所を見れば、其処には・・・

 

『このヅラ見たら真選組へ!!』

 


人気のなくなった夜更けの街中で、再びお約束の台詞が叫ばれたのは
言うまでもない。

********************
蒼月銀河様と異様に盛り上がった手配書話(笑)
とりあえず本命の前にこちらを・・・
本命の方は相変わらずツッコミ所満載で、
難産でございますよ、蒼さん~(泣)
・・・ま、でも書く気満々なんですが(大笑)

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