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「あ、ヅラアル」
買い物帰り、遊んできた神楽と丁度会った新八は、人通りの多い道を
並んで歩いていた。
そこに先程の神楽の声が聞こえ、少しだけ驚く。
「え、ドコ?」
どうも桂と言う人物は指名手配されていると言う事実を時折忘れるらしく、
普通に昼間の大通りを歩いていたり、万事屋に訪ねて来たりする。
最初の頃は律儀に心配したりしたのだが、その後の真選組との攻防を
見ていると、そんなに心配しなくてもいいか・・・と思うようになった。
・・・て言うか、心配してたあの頃の自分に言ってあげたい。
心配するだけ無駄だ・・・と。
けれど、やっぱり気になってしまうのは自分の性分で、またこんな人の
多い所に!・・・と呆れながらも視線を流した。
が、桂の姿も、多分共に居るのであろうエリザベスの姿も見当たらない。
不思議に思っていると、隣に居た神楽にグイッと袖を引かれた。
「あれネ」
そう言って指差された所を見ると、そこは掲示板らしく、色々な張り紙が
貼られていた。
近寄って見てみると、確かに其処には桂の顔が・・・
「あぁ、手配書ね」
ドコで撮られたのか、桂の顔写真の下に、
『このツラ見たら真選組へ!!』
と書かれている。・・・って言うか、ツラって・・・
自ら柄の悪さをアピールしてどうすんだろ、あの人達。
乾いた笑いを零していると、不意に隣の神楽から不満そうな声が聞こえてきた。
「どうしたの、神楽ちゃん」
仮にも知り合いがこんな風に手配されてるのがイヤだったんだろうか。
そう思い聞いてみると、
「違うネ。ずるいアル、私もこんな風にポスター貼られたいネ」
・・・と言う事だったらしい。
いや、違うからね。ポスターとかそう言う穏やかなものじゃないから、コレ。
そう告げるものの納得いかないらしく、僕の持っている風呂敷包みに手を入れ、
ゴソゴソと漁ったかと思うとメモ用のペンを取り出し、
止める間もないままその手配書に何かを書き込んでしまった。
「ちょ、何してんの、神楽ちゃん!!」
「うるさいネ!歌舞伎町の女王である私を差置いて人気者になろうなんて
六年早いヨ!!」
「短っ!!何その妙に具体的な年数!!
ってかコレはそういうのじゃないから!」
遅れたものの何とかペンを取り返し、きちんと説明しようとした所で
後ろから聞きなれた声が掛けられた。
「なんでィ、そんなに手配書貼られたいなら遠慮する事ァねぇ。
今すぐそこら中に貼り散らかしてやるぜィ」
振り返ればそこには黒い隊服に身を包んだ沖田の姿が。
「あ、沖田さん、こんにちは。ご苦労様です、巡察中・・・ではないですね」
軽く頭を下げ挨拶をするが、その時視界に入った首元のアイマスクに
頬を引きつらせる。
・・・労った僕の一瞬を返せ。
「オマエに遠慮する気はないけど、力を借りるつもりもないネ!
私は私の力でこうなってみせるヨ!!」
「いや、そうなったら困るから。
って言うか気を抜いたら今すぐにでも
余裕でそうなっちゃいそうだから!!」
ダメだよ!気合を入れている神楽にそう言い聞かせていると、後ろに居た
沖田がヒョコリと二人の間に体を入れ、
「で?見知ったツラでもありやしたかィ?」
と、問い掛けてきた。
・・・いや、見慣れた顔はありましたけどね。
そう思いながらも、言葉にする事はせず、引き攣る頬をなんとか緩ませた。
「ま、見掛けたら知らせて下せェ」
期待しないで待ってまさァ。沖田は緩く首を廻すと、大きく伸びを
しながらその場を後にした。
「・・・それはこっちの台詞だと思うんだけど・・・」
「あ、新八!早く帰らないとドラマの再放送が始まるネ!!」
沖田を見送り、肩を落とした所で神楽にそう急かされ、新八は一つ笑みを
浮かべると、
「だね。早く帰ろっか」
再び二人並んで帰路についたのであった。
その夜、誘われて呑みに行っていた銀時は、
桂と共に人気のなくなった道を歩いていた。
「銀時・・・誘ったのは俺だが、奢るとは一言も・・・」
「うるせぇなぁ。んな細かい事グダグダ言うからヅラんなるんだよ、
テメーは」
「ヅラじゃない、桂だ!!」
「あ~、はいはい、お約束お約束。・・・っておい、見ろよコレ」
手を振って軽く桂の言葉を流していた銀時が、不意に道端にある掲示板
へと寄っていった。
「あらまぁ~、有名人だねぇ、オマエ」
奇しくもそれは昼間新八達が見ていた桂の手配書で。
暗いながらも銀時は目を凝らしてそれを見詰めた。
「ふん、くだらん。こんな手配書一枚、俺の変装でかわしてやるわ」
「いや、あれ変装でもなんでもないから。
単なる悪ふざけだから、本当」
あれで何で捕まんねぇかな、コイツ。そう言いつつ見ていた銀時が
突然 プッ と噴出した。
「なんだ、人の写真を見て笑うヤツがいるか!!」
「や、違う違う。そうじゃなくてこっちだって」
ホレ。そう言って指差された場所を見れば、其処には・・・
『このヅラ見たら真選組へ!!』
人気のなくなった夜更けの街中で、再びお約束の台詞が叫ばれたのは
言うまでもない。
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蒼月銀河様と異様に盛り上がった手配書話(笑)
とりあえず本命の前にこちらを・・・
本命の方は相変わらずツッコミ所満載で、
難産でございますよ、蒼さん~(泣)
・・・ま、でも書く気満々なんですが(大笑)