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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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その夜、仕事が終わったお妙は何時もの様に同僚と共に帰宅していた。
だが、不意に視界に見知った姿を見た気がして、途中で
同僚と別れ、その後を追った。

少しだけ家路から離れ、視線を巡らせば案の定、
暗い夜道でもくっきりと浮かび上がっている銀髪を発見した。

「・・・こんな時間に何をやってるんですか?」

声を掛ければ、目の前の銀髪は進む足を止め、ゆっくりとお妙へと
顔を向けた。
そして同時に見えた腹部を染める赤い色に、お妙は眉を顰める。

だが、銀時はそんな事気にもしていない様に、軽く手を振った。

「おいおい、こんな時間にそう言う質問は
マナー違反なんじゃね?」

「黙って家を空ける程のマナー違反じゃないと思いますけど?」

にっこりと笑って告げるお妙の前で、銀時は あ~・・・と
声を上げ、気だるそうに髪をかき上げた。

「言っときますけど、相当怒ってますよ?」

そう、目の前の男が数日前から家に帰って来ないのだと、
流石自分の弟だと言うほどの怒りを見せていたのだ。

いっその事、そのまま見限ってしまえ。と言えば、
直ぐにでも頷いてしまうかのように。

だが、銀時はお妙の言葉に青褪める所か、やんわりと
口元を緩ませた。

「・・・でもそれ以上に心配してんだろ?」

「あら、銀さんてば結構自信過剰なのね。
一度叩き潰して差し上げましょうか?」

そう軽口を叩くが、まるで確信しているかのようなその言葉に、
お妙はキュッと手を握り締めた。

実際、銀時の発言は正しいのだ。

確かに新八は怒っていた。
神楽も呆れながらも怒っていた。

・・・だが、それ以上に心配もしているのだ。

もう知るもんか。と言いながらも、新八は毎日ご飯を三人分用意し。

今の内に隠してるお菓子、全部食ってやるネ。と言いつつ、
神楽は何時ものように酢昆布だけを口にしていて。

帰ってきても家に入れません。と息巻いてる癖に、
万事屋の玄関の灯りは、一晩中消える事が無い。

夜、子供二人だと心配だから・・・と家に来るように言っても、
何時もの事だからと笑って答えられた。

新八曰く、帰ってきたら即説教してやる為に。

神楽曰く、帰ってきたら即効殴りかかる為に。


・・・でも本当は、帰ってくるだろう銀時を
あそこで一番に迎える為に。


もし・・・と、今日も泊まりになるとすまなそうに告げてきた
新八を思い出して、お妙は考える。

そう、もしいなくなったのが銀時でなく、自分であったなら。

心配はするだろう。それも銀時と同じくらいか、それ以上に。
それは確信できるし、簡単に想像も出来る。

きっと昼夜問わず探し回り、自分の名を呼び続けてくれるだろう。

だけど・・・だけどと思うのだ。

心配もする。探し回りもする。

だけど、銀時相手のように確信を持って家で待ち続けては
くれないだろう・・・と。

それはきっと、今まで自分が腕の中で守っていたものが、
いつの間にか外に出てしまったと言う事。

あの子にとって、自分は最早絶対的なものではなく、
寧ろ守るべき対象となってしまったと言う事。

だって腕の中に居た頃だったら、
私があの子の絶対的存在のままだったら、
きっとあの子は家で私を待っている筈だ。

探しもする、呼びもする。

けれど、絶対に大丈夫だと。
絶対に帰ってくると。

頑なに、そう信じて待っている筈なのだ。
丁度、今の状況のように・・・

でも、きっと今はもうそんな事はしない。
私に対してはそんな事、もうしない。

信じているが、それは無事な事を。

きっと助けに行こうと動き出す筈だ。
いつかの九兵衛の時のように。


それを人は成長なのだと言うのだろう。
喜ばしい、誇らしい事なのだろう。

だけど、私はそれでは寂しいのだ、悔しいのだ。



だって私は、守られるよりも、
この腕の中でずっと守っていたかったのだから。



だが、それはいつの間にか目の前の男に奪われていて・・・




 

でも、そんな事を銀時の前で肯定したくなくて、
お妙は笑みを作ってる頬に力を入れた。

「ま、私が叩き潰さなくても、勝手に潰されそうですけどね。
どうしたんですか?それ。良かったら手当てしましょうか?」

そう言って赤く染まった部分を指差せば、銀時は
ヒラヒラと手を振った。

「あら、遠慮しなくてもいいのに」

「い~や、全力で遠慮するね、俺は。
だって手当てするって言う目じゃねぇもん。
なんか獲物を見つけた殺人者的目、
してんもん、お前」

「やだ、失礼な事言うのね、銀さんてば。
私、こう見えて手当て、上手いのよ?」

「いや、明らかに手当てしなきゃいけない原因
作り出す方が上手いよね、お前。
寧ろ手当てが追いつかない勢いで
作り出してるよね、何時も」

「嫌だわ。そんな風に見えてたの?
私、手当てさえも必要の無い状態を狙ってたのに」

「・・・お前、ちょっと数行戻って台詞読んで来いよ。
色々矛盾してっから」

「建前って長い事続けてられないのよ」

「いや、せめてもう少しだけ頑張る努力をしろよ」

ニコニコと笑ったままのお妙に溜息を深々と吐き、
まぁいいや。と言って追い払うように手を振った。

「手当ては適当にして帰っから、お前はもう帰れ」

「あら、私に構わず銀さんこそお帰りになられたら?
ここでフラフラと見っとも無く歩いていく姿を見守ってますから」

そう言うと銀時は肩を軽く上げ、小さく笑った。

「そりゃ有難いがな、遠慮しとくさ。





今お前に背中向けたら、帰れるものも出来なくなりそうだしな」





まるで考えている事などお見通しと言わんばかりの目で、
銀時はお妙を見詰めた。

それに対し、お妙はひっそりと口元を挙げる。
 

「・・・馬鹿な事言うのね、銀さん。
 


――――そんな今更な事を」


段々と夜が明けていく中、お妙はより一層笑みを深めて
呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、あなたがもしこのまま帰らなかったら、
あの子はまた私の腕の中に還って来てくれるかしら?
 

************
病み銀を書こうとして何故か病み妙に。

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