[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
午前中お休みを貰って、午後から万事屋へと行ったら、
未だ甚平姿でだらけている銀さんが居た。
・・・この場合、起きてただけいいと思わなきゃいけないのかな?
「お~、漸く来たか遅刻者」
「いや、遅刻も何も、今日は午後からっていいましたよね?」
ってか神楽ちゃんは?と聞けば、飯食って遊びに行った。と
ダルそうに頭を掻きながら銀さんが答えてくれた。
あ、一応ご飯は作ってくれたんだ。
朝御飯は昨日の夜に用意しといたけど、お昼はしてなかったんだよね。
あればあるだけ食べちゃうから、この人達。
と、安心した僕が馬鹿だった。
「・・・お昼って、もしかしてカップラーメンですか?」
見ればテーブルの脇に、山と重ねられたカップラーメンの
器が・・・
「馬っ鹿、オマエ銀さん舐めんなよ?
ちゃんとうどんと蕎麦も食った」
「どっちにしろインスタントじゃねぇかっ!
おまけに着替えてもないしっ!!」
全身でソファに凭れかかっている銀さんの前に立ち、腰に手を当てて
睨みつけると、銀さんは目を逸らしながら少しだけ口を
尖らした。
「・・・だって新ちゃん、着替え出しといてくれなかったんだもん」
うわ~・・・ウザッ。
え、何この人。なんか『もん』とか付けちゃってるんですけど。
しかも着替えが出てなかったからとか言ってんですけど。
実年齢突き付けてもいいかな、もう。
でもそれを言って拗ねられるとウザイ事この上ないので、
僕は一つ息を吐くだけに留める事にした。
大体幾ら注意しても、全然直らないしね、この人。
寧ろ開き直る勢いだから。
諦め半分で、僕は銀さんの頭をそっと撫でた。
「・・・それでこの格好ですか・・・
全く、ならせめて寝癖ぐらい直して下さいよ・・・ってあぁ、すみません。
元からでしたね、これ」
「ちょ、何言ってんのぉぉ!!?
言っとくけど今銀さん、寝癖大絶賛中だからね?
本当、シャレにならないぐらい撥ねまくってるからっ!!」
いや、塵ほども判らねぇよ、その違い。
ギャーギャーと文句を言い出す銀さんに、再び吐きそうになる
溜息を押し殺して、僕はある事を思い出していた。
・・・うん、どうせ何言っても同じなんだから、
試してみてもいいかも。
僕は思わず篭められそうになっていた手の力を抜くと、
もう一度やんわりと銀さん曰くの寝癖を撫でた。
「あぁ、もういいから少しはきちんとして下さいよ。
折角の良い男が台無しですよ?」
その言葉に、文句を吐き続けていた銀さんの口がポカリと開いた。
見れば目も大きく開けられていて、こっちもびっくりだ。
・・・あれ?もしかして効果あり?
この褒めて伸ばそう作戦。
そう思っていると、ポカリとしていた銀さんが
オズオズと僕に問い掛けてきた。
「・・・いい男?銀さん」
銀さんの言葉に、僕は慌てて首を縦に振る。
「そっか~、いい男か~」
すると銀さんは嬉しそうに笑い、ちょっと着替えてくらぁ。と言って
ソファから立ち上がり、和室へと消えていった。
それを見送る僕は、ちょっと呆然だ。
だって銀さんの事だから、あんな事言っても
当たり前だろ?みたいな感じで流されると思ってたのだ。
それがまさか、こんなに効果的面だったとは・・・
「・・・よし、今度からは褒めていこう」
和室から聞こえてくる銀さんの鼻歌を耳に、
そう心に決めた僕だった。
・・・が、世の中そう上手くいく筈がない訳で。
「ちょっと、銀さん!またそんなにだらしない格好して!
いい男が台無しでしょっ!!」
「ん~・・・んふふ。だねぇ、台無しだねぇ、いい男が」
「・・・その妙な顔の緩み具合も台無し要素ですよ」
「ダメネ、新八。
銀ちゃんは良い男って言われたいだけネ。
言ってやるだけ無駄ヨ」
「・・・・・だね」
やっぱり躾は厳しくしよう。
僕はそう心を改めると、大きく息を吸い込んだ。
*******************
この後暫く呼び名は『マダオ』で