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新八が一生懸命に家事をこなしている間、ソファの上には
のったりと小山になっている物体が一つ。
全く、よくもこんなにダラダラと出来るものだ。
新八は少しだけ箒を動かしている手を止め、
温度の低い視線をその小山へと向けた。
すると、新八の視線に気付いたのか、小山がモソリと動いた。
・・・動いたのだが、やはり小山は小山だ。
それ以上動く気配を見せなかった。
新八は小さく息を落とすと、箒を抱えたまま、ソファへと近付いていく。
そしてその横にチョコンとしゃがむと、箒の柄の部分でチョンチョンと
突いてみた。
その衝撃に、モソリと再び動く小山。
うつ伏せに寝ていた銀時の顔だけが、新八の方へと向けられた。
「・・・何?銀さん今調子悪いんだけど」
「悪いんですか?」
銀時の言葉に、新八はしゃがみ込んだままコトリと首を傾げる。
「悪いね~。ってかますます悪くなった。
なんだコレ。動悸に息切れ、おまけに胸がキュンってなった。
キュンって」
「確かに顔は赤いですね~。
熱でもあるんですか?」
そう言って新八は顔を近付け、銀時の額に手を当てる。
するとますます銀時の顔が赤くなっていく。
「うわ~、大丈夫ですか、銀さん。
なんかものっそい面白いですよ」
「・・・それ、ちゃんと心配してくれてんの?」
思わず出た新八の言葉に、銀時の目が一瞬すわる。
それに新八はムッと眉を顰め、口を尖らした。
「してますよっ!でも面白かったんですから
仕方ないでしょ。
それより、他にも変なトコってあります?」
喉は腫れてないかな~。と言いつつ、新八は銀時の額から
手を滑らせ、ごつごつとした首へと手を這わす。
「いや、喉は大丈夫だろ。他のトコは腫れてっかもしんねぇけど。
ってか新八、こう言う事すんならちゃんと着替えてきてください。
ナース服は箪笥の三番目です」
「腫れてるなら切っちゃいましょうか。
喉だろうと何処だろうと、楽になりますよ?
ちなみに箪笥の三番目は永久封印となりました」
呆れながらも、お仕置きとばかりに手を這わしていた首元を
擽れば、銀時は小さく笑いを零しながら身を捩り、新八の
手を取った。
「で?結局アンタの病名はなんですか?」
怠け病ですか?銀時に取られた手をそのままに、そう問えば、
銀時はニヤリと口元を上げ、
「んにゃ、恋の病だ」
軽い音を立てて、新八の掌に唇を落とした。
「だから看病よろしくね、新ちゃん」
「・・・感染率高そうなんで遠慮したいんですけど」
「あ~、無理無理。もううつってるよ、オマエ。
その証拠に顔、真っ赤じゃん。」
そう言って楽しそうに頬を突く銀時に、新八は長い息を落とした。
「アンタも赤いまんまですけどね」
「ん~、なら二人仲良く療養でもしますか」
銀時はそう言うなり、上半身を起こすと新八の手を引いて、
自分の下へと引き寄せた。
そしてギュッと抱き締めると、そのまま今度は仰向けに倒れる。
「ちょ、危ないじゃないですかっ!」
銀時の上に寝そべった形になる新八は、そう怒鳴って体を
起こそうとするが、背中に回された銀時の手にそれは叶わず。
「大丈夫、大丈夫。
ほら、ゆっくり休もうぜ~」
言いながら、ポンポンと叩かれる優しい手に、新八は諦めたように
頭を銀時の胸元へと置いた。
「・・・治す気なんてないくせに」
「まぁな~。ってか治る気がしねぇ。
これっぽっちも、微塵もしねぇ。
全くやっかいな病気だね~。」
ちなみに甘えたい病も併発してるんで、よろしく。
へらりと告げてくる銀時に、あぁ、今日はこれ以上身動きは出来ないな。
と早々に家事を諦め、ソファの上の小山に加わる事にした。
どうやら甘えたい病もうつされたらしい。
全く酷い感染力だ。
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うっかりと甘い話。