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神様って結構とんでもない。
目覚めた僕は心からそう思った。
その日、万事屋に泊まった僕は、何時もより少しだけ遅くに
目が覚めた。
・・・て、あれ?僕、眼鏡掛けたまま寝ちゃったっけ?
パチリと目を開けた瞬間、妙に視界が良好だ。
不思議に思って手を顔に持っていくが、眼鏡の気配はない。
・・・と言うか何か全体的に違和感が・・・
でも、何がおかしいんだろう。
「ね、銀さん。ちょっと起きて下さ・・・」
とりあえず自分では判らないが、人から見れば何か判るかもしれない。
隣で寝ている筈の銀さんを起こそうとした・・・が。
「・・・なんで?」
隣で眠っていたのは、とっても良く知っている顔・・・と言うか
自分だったりして。
「・・・え?ちょ・・・あれ?」
慌ててペタペタと触ってみれば、確かに目の前の僕は
存在していて。
その上何だか触っている筈の自分の手が、記憶よりも大きかったりして。
「えぇぇええぇぇ!!?」
とりあえず心の赴くまま叫んでみた。
「一体何がどうしたネ」
僕の叫び声に強制的に起こされた神楽ちゃんは、今現在
ソファの向かい側で腕を組み、こちらを非常に不機嫌な顔で
睨みつけている。
・・・や、それは僕も聞きたいんだけどね。
寧ろ僕が心底問い質したい気持ちで一杯なんだけどね?
「だからぁ、判んねぇって言ってんだろ?」
そんな神楽ちゃんを物ともせず、何時もの様に気だるげに答えているのは
隣に座っている銀さん・・・いや、僕だ。
って僕か?
ソファの背凭れに腕を伸ばし、足を組んでいるその姿は、
僕だけど僕じゃない。
大体僕、そんなだらしない格好しませんからね!?
何なんですか、それ!ちゃんとして下さい、ちゃんと!!
「オマエもそうネ」
そう言うと、向かい側の神楽ちゃんから
ものっそく冷たい視線が向けられてきた。
え?何で?僕はちゃんとしてるでしょ?
訳が判らず首を傾げると、神楽ちゃんの顔が一瞬にして
青褪めた。
「ちょ、大丈夫?神楽ちゃん。顔色悪いけど・・・」
慌てて腰を上げ身を乗り出すと、神楽ちゃんは小さい悲鳴を上げて
その場を後ずさった。
・・・や、何でよ。
そんな僕の疑問を感じ取ったのか、隣の銀さんが
チョイチョイと肩を突いてきた。
振り返ればやっぱり少し顔色の悪い僕の顔が・・・
「あんな?新八。銀さん的にはどんな新ちゃんでも愛せる
気持ちはあるが・・・それはないわ、それは」
「は?」
「そうネ!そんな可愛らしい銀ちゃんは
気持ち悪いだけヨ!
おまけにちゃんとしてるなんて・・・これはもう
放送事故ネ!!」
ある意味ホラーアル!!と叫ぶ神楽ちゃんに、あぁ。と少しだけ
納得した。
確かにそんな銀さんは気持ち悪いにも程がある。
・・・ってか銀さん。うんうん頷いてるけど
悪口言われてますからね、コレ。
アンタ自身への悪口ですからね!?
・・・あ、でも今は僕への悪口かな?
そんな事を悩んでいると、再び神楽ちゃんが悲鳴を上げた。
・・・うん、なんか本当すんません。
とりあえず原因は判らないまま、神楽ちゃんのお腹が鳴ったので
朝食にする事にした。
・・・が、何時もの様に割烹着を着ようとした所で、
二人から盛大な待ったが掛かった。
どうやら僕の今の姿で家事をする事は
とてつもない精神攻撃だそうだ。
や、だから自分の事ですからね、それ。
一先ず、僕の姿な銀さんが朝食を作る事になったのだが・・・
今度は僕が居た堪れない。
だって目の前で自分が動いてるんだからね!?
しかも行動が丸っきり銀さんな訳で・・・
本当、何でこんな事に・・・
僕は、知らないうちにとんでもなく
悪い事でもしてしまったんだろうか。
こんな目に合うような。
凹みながらも何とか朝食を終えた所で、
遊びに行って来ると言って神楽ちゃんが逃げた。
・・・僕だって逃げたいのに。
この現実から。
けれど、この姿で外に出るのは不味い・・・と言う事で
それも出来ず、かと言って考えても何も判らない訳で。
でもじっとしているのも性に合わないんだよね。
・・・と言うか余計な事を考えてしまうので嫌だ。
例えば元に戻らないとか。
・・・うん、とりあえず洗濯でもしよう。
で、何時も以上に掃除をしまくろう。
色々とピカピカに磨き上げて、何も考えないくらい
忙しく動きまくろう。
現実逃避がどうした!
それぐらい許される状況だろ、
コレェェ!!?
と気合を入れてソファから腰を上げた所で、
同じように腰を上げた銀さんに気付いた。
「え?どうかしたんですか、銀さん」
何時もならそのまま横になってダラダラしてる筈なのに。と
驚くが、流石の銀さんも今のこの状況でそれは無理か・・・と
思いなおす。
「・・・やっぱじっとしてられませんよね?」
苦笑してそう言うと、銀さんも苦笑を浮かべ、
まぁな。と頷いた。
「だってとりあえず風呂に入らなきゃだろ?コレ。
寧ろ明るい、出来れば全身鏡の前で360度隈なく
観察して色々しなきゃダメな感じだろ。
で思いっきり色々したら、秘蔵の衣装引っ張り出して
堪能、及びセルフ撮影だろ?
後は未来の俺への愛情たっぷりビデオレターを撮って、
お妙や真選組のヤツラに結婚報告。
そんで~・・・」
「ツッコミ所だらけじゃねぇかぁぁ!!」
姿が自分だと言う事も忘れ、僕は思いっきり言葉と拳を
突っ込んでしまった。
それにより、倒れていく自分の姿と共に僕の意識も
何故か薄れていって。
あぁ、この状況のせめてもの利点として、日頃届かない場所を
掃除したかった・・・なんて思ったりした。
「・・・ん・・・」
次に気付いた時、何故だか部屋が薄暗かった。
おまけに視界がぼやけている。
「あれ?・・・僕・・・」
どうしたんだっけ・・・とぼんやりした頭で考え、
次の瞬間過ぎった出来事にガバッと勢い良く体を起こした。
「そうだ、僕銀さんにっ!」
慌てて周囲を見渡せば、僕はちゃんと布団の中に居て。
隣には呑気な寝顔を見せている銀さんが居て。
「・・・って事は・・・」
だけどそれだけでは安心出来ず、僕は急いで眼鏡を取り、
そのまま洗面所へと走った。
そして鏡に映るのは、見慣れた僕の顔で。
「良かった・・・ちゃんと僕だ」
大きく息を吐き、胸を撫で下ろす。
夢だったんだ、アレ。
良かった。本当に良かった。
洗面台に手を着き、心の底からそう思っている・・・と。
「・・・あれ?」
視界に入ってきたモノに、一瞬思考が止まる。
え?だってコレ違くね?
だってこれ、セーラー服だよね。
完全なる絶対領域付きだよね、コレ。
アレ?僕の寝巻きってこんなんだっけ?
違うよね、絶対。
自分の事信じていいんだよね!?
僕ぅぅぅ!!!!
訳が判らずパニくっていると、ガンガンガン!!と玄関を
激しく叩く音が聞こえてきた。
ハッと顔を挙げ、そちらを見ると
「新ちゃ~ん、居るわよねぇ?
ちょっと聞きたい事があるのよ。だから・・・
ツラァ出せや、オイ」
と言うとても優しげでドスの聞いた姉上の声が。
すみません。無理です。
今の格好も、精神的にも無理です。
寧ろイヤです。
まだ生きてたいです、僕。
ってか何で!!?
一体何が起こってたりするんですかぁぁ!!?
とりあえず身を隠そうと居間へと戻った所で、
ふとある違和感に気付く。
「・・・何でピカピカ?」
しかも普段届かない所まで磨き上げられてるんですけど?
訳が判らず、とりあえず銀さんを起こして・・・
何か聞くのはちょっと怖いから神楽ちゃんを起こそう。
と、押入れを開けた所で、ソコに誰もいない事に気付いた。
「・・・え?」
何で居ないの?
呆然と押入れの中を見詰めていると、玄関を叩く音が
ますます激しくなってきた。
しかも何か叫んでる声が増えてきてるんですけど。
え?何コレ。
本当、何コレ。
夢オチじゃないの?
や、普通ここは夢オチでいいよね?
夢オチですっきり終わる所だよね?
ってか夢オチって事にしといて下さいぃぃ!!
それがダメなら意識を飛ばして下さい。
容赦ない神様に、僕は心底そう願った。
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五万打企画第一弾。リミル様からのリクで、
「銀新体入れ替え話」と言う事でしたが・・・
如何なもんでしょうか(ドキドキ)
もう少し銀さんを暴走させたかったのですが、
それをやったら伏字だらけになるので
我慢してみました(おいι)
こんな感じになってしまいましたが、
少しでも気に入って頂けたら嬉しい限りですvv
企画参加、有難うございましたvv