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「銀ちゃん達はどんなだったネ」
風呂も入り終わって後は寝るだけ・・・と言ったまったりとした一時。
ぼんやりとテレビを見ていた神楽がそう問い掛けてきた。
「あ?何がよ?」
風呂から出てきたばかりの銀時は、質問の意味が判らず
タオルで頭をガシガシと拭きながら眉を顰める。
「だからこれヨ」
そう言って神楽がテレビを指差すが、生憎ソコには
CMが流れていて。
銀時は だから判んねぇよ。 と言って新八へと
視線を移す。
だが、新八も繕い物をしていた為、それまで流れていた
テレビの内容を覚えていない。
思わず首を傾げていると、焦れた神楽が小さく舌打ちした。
「ったく使えないヤツラネ。
少しは空気読めヨ」
「いや読んでも判らないからね?
何この子、反抗期ですか!?」
風呂も俺の後はイヤだって言うしよぉ!と叫ぶ銀時を、
新八がまぁまぁと宥める。
「仕方ないじゃないですか、そう言う年頃なんだから。
それに銀さん、意外と長湯なんだから最後で丁度いいんですよ」
「え?俺最後決定!?
ってか新ちゃんも嫌なんですかぁぁ!!?」
「で、一体何だったの?神楽ちゃん」
叫ぶ銀時を今度は無視して新八が問い掛ける。
「ちょ、無視ですか!?シカトですかぁぁ!?
おいおいマジかよ。ここ、大事だよ?
すっげー大事な所だよ?
ここスルーしたら、一緒に風呂に入るって素敵シーンが
永遠に来なくなっちゃうよ!?」
「スルーしてもしなくても一生来ませんから
安心して下さい」
ってか黙っとけよ、洗濯物も別けるぞコラ。
にっこり笑ってそう言えば、銀時は瞬時に謝罪を口にした。
・・・滅多に謝らない人なのに・・・
そんなに嫌なんだ。と新八と神楽は若干哀れに思ったが、
いつかは絶対別けよう。とも思った。
難しい年頃なのだ、自分達は。
と、それはさておき。
神楽は話を進めるべく、先程までやっていたテレビの内容を
話し始めた。
その内容とは、所謂色んな人達の結婚の話で。
出会いから始まりプロポーズ、そして結婚式までの過程を
短いドラマにしたものだった。
「判ったカ?」
神楽の言葉に、新八も銀時も頷く。
頷くが・・・やっぱり判らない。
それのどこらに自分達が関わってくるのだろうか。
「で、どんなだったネ」
「いやどんなだったネって言われても・・・」
何が?と二人して首を傾げると、神楽はハッと鼻で笑った。
「今更何恥ずかしがってるネ。プロポーズの言葉ヨ、プロポーズの。
暇潰しに聞いてやるから言ってみるヨロシ」
「「・・・・・は?」」
神楽の言葉に二人して一瞬思考が止まる。
が、立ち直るのは新八の方が早かった。
「いやいやいやいや!え?何ソレ。
暇潰しで聞く事でもないし、
そもそもそんなものないからね!?
一体僕達をどんな風に見てるのぉぉ!?
・・・て、言わなくていい。うん、いいや。
寧ろ言わないで」
「馬鹿ップルも泣いて逃げ出す
馬鹿夫婦」
「言うなって言ってんだろうがぁぁ!!!」
いっそ目の前にある裁縫道具でその口縫ってやろうか。等と
物騒な考えが浮かぶ新八を余所に、神楽は銀時へと顔を向ける。
「・・・もしかしてちゃんと言ってないアルカ。
指輪の一つも贈ってないアルカ。
なし崩し状態アルカ。ケッこれだから最近の
乱れきった若者はヨォ」
「いや、んな事ねぇよ!?
もうアレだから。毎日がプロポーズだから。
会話の終わりは全て
『志村家の墓に入れてください、
俺墓持ってないんで』
って感じの心に残るプロポーズになってるからね!?」
「一体何歳設定なの、神楽ちゃん・・・
ってかそんな会話の終わり方した事ねぇよ。
何ソレ。単に死んでも根無し草なだけ
じゃねぇかコノヤロー」
まぁある意味心に残るけどね!?
とりあえず縫い付けるべきなのは神楽の口ではなく、
銀時の口、及び思考回路だった・・・と新八は心底後悔した。
「全く・・・最後の最後で滅茶苦茶疲れたんですけど」
新八は和室に銀時と自分の分の布団を敷きながらぼやいた。
あの後、納得いかない神楽が暴れ、銀時が暴言とセクハラ発言を
垂れ流し、新八がツッコミ続けたお陰で階下からお登勢の
怒鳴り声と言う水が入り、漸くお開きと言うことになったのだ。
「・・・明日謝りに行かないと・・・」
カクリと肩を落とし、シーツを伸ばし終えた新八に、
別に今更だろ。と、自分の布団の上に胡坐をかいている銀時が
答えた。
そう言う訳にもいかないだろう。と文句を言おうと
振り返った新八に、銀時はチョイチョイと手招きをする。
「何ですか?」
「いいからちょっと来いって」
不審げに見詰めるも、手招きし続けている銀時に渋々
新八が近寄っていく。
そして十分近付いたその時、銀時は手招きしていた手で
新八の腕を掴むと、グイッと力強く自分の下へと
引っ張り込んだ。
「ちょ、銀さん!?」
思わず顔から銀時の胸元へと突っ込んだ新八だったが、
直ぐに体を起こし、銀時と距離を取る。
が、既に銀時の腕は新八の腰へと回っており、
それ以上離れる事が出来なかった。
膝立ちをしている為、何時もと違い見下ろす形となったまま、
一体何がしたいんだ・・・と新八が銀時の名を呼ぼうとするが、
その前にぼすっと銀時の頭が新八の腹部へと埋められた。
「・・・銀さん?」
思わずその頭を撫で、名を呼ぶと ん~。 と言う声が
返ってくる。
そして、
「これでさ、よしにしといてよ」
と告げられる。
一体何をよしとするんだろう、この状態で。
そう考えていると、ますます腰に回っている腕に力が篭められた。
「上手いこと言えないし、指輪買う金もねぇけどさ。
オマエの体にピッタリフィットな俺の腕、贈るから。
これにずっと縛られててよ」
な?と言われ、最初何の事か判らなかった新八だったが、
次第に銀時の言っている意味を理解し、顔が赤らんでいく。
何か言い返したいのだが、突然の事に声が出ず、
パクパクと動くだけだ。
「ちなみにダイヤよりも煌く銀さん付です」
あ~こんなレアモン、見逃す手はねぇよな、うんねぇよ。
等と言う銀時の顔は相変わらず新八の腹部に埋められていて
見えないが、銀髪からチラリと見えるその部分は
確かに赤くなっていて。
「・・・どっちかって言うと抱っこちゃん人形みたいなんですが。」
でもまぁ貰ってあげます。と、漸く機能を取り戻した口を開き、
新八はそっと銀時の頭を抱き締めた。
「・・・マジでか」
「マジですよ」
「死んでも離さないし、もしかしたら・・・ってか
そん時は引っ張っていくつもりだけど・・・」
「最早呪いの指輪状態じゃねぇか」
呆れて言えば、一度はめたら二度と抜けない設定に
なってんだよ。と銀時が小さく笑った。
この場合、抜けないじゃなくて、抜かせないのでは・・・と
新八はちらっと思ったが、直ぐにどちらでも一緒かと
思いなおした。
だって自分だって十分そのつもりなのだ。
・・・さすがに引っ張ってはいかないだろうけど。
あ、でもこの人、勝手に付いて来ちゃいそうだな。
ま、いいや。
そん時は目一杯怒ってやろう。
そして、例え全てが終わったとしても、
ずっとずっと一緒に居ましょうね。
新八はやんわりと笑って、腕の中にぴったり収まっている
銀時の頭に、そっと唇を落とした。
だってこんなに僕にぴったりなもの、
手放せるわけないでしょ。
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五万打企画第二段。くま様からのリクで、
「銀新で笑えるようなロマンチックな話」
と言う事でしたが・・・如何だったでしょうか?
指輪のお話にとても感動し、それにちなんだ話でも・・・
とか思ってたんですが・・・すみません。
台無しにした感じで胸が一杯です(泣)
こんな感じになりましたが、少しでも
楽しんで頂けたら嬉しい限りですvv
企画参加、有難うございましたv