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「銀ちゃんってツンデレってヤツネ。
・・・気色悪っ」
「おいコラ。突然とんでもねぇ事と
厳しい感想言ってんじゃねぇぞ」
常々思っていた事を告げれば、ものっそく嫌そうな
顔で睨まれた。
その顔、私がするべき表情ネ。
軽くイラッときたので、とりあえず顔面に拳を
埋め込んでみた。
自分に素直に生きるのが私のモットーヨ。
でも、銀ちゃんはどうも違うらしい。
大体にして最初からそうだったのだ、この男は。
自分の手助けをしてくれると言う新八に対し、
勝手にしろと言っていた癖に、ちゃっかり後で助けに
来てくれたり。
・・・あれは絶対後を付けて、出てくるタイミングを
見計らっていたに違いないと心底思っている。
まぁ大抵何時もそんな感じなのだが。
そしてそれは日常生活でも同じなのだが。
「銀さん、今日買う物沢山あるんで付き合ってもらえません?」
新八がそう言えば、
「お前の手は何の為に二本あるんだ。頑張れ、新八。
ちなみに銀さんの両手はジャ○プを支える為にあります」
と断るくせに、新八が出かけた後、
「あ~、なんか体だるいな、何だコレ。
・・・あ、そう言えば今日は外出てねぇわ、銀さん。
人間、一日にせめて十五分は日光に当たらねぇと
いけねぇって言うしな、うん。
あ~、ならしゃあねぇわ。ダルイけど外出なきゃ。
本当、ダルイんだけどね、面倒臭いんだけどね。
ジャ○プの続きもごっさ気になるんだけどなぁ。
でも当たらなきゃいけねぇってんなら仕方ねぇよな、うん」
等と長い独り言を呟きながら、後を追うように
イソイソと出掛けていく。
・・・なら曇りの日や雨の日はどうするネ。
そう言ってやりたい神楽だが、また長々とした言い訳が
始まりそうなので、今の所黙ったままそれを見送っている。
大人な私に感謝するヨロシ。
ちなみにその後、両腕に買い物袋を携えた銀時が、
新八と共に帰ってくるのは言うまでもない。
他にも、高い所のものを取ろうとしている新八に対し、
「落とされても困るしな。あ、別にオマエが心配って
事じゃなくて、物な物。ほら、割れでもしたら困るし・・・
ってうん、これ割れ物じゃないね。
・・・で、でもどんな物でも大切にしなきゃな!」
と取ってやり。
夜、家に帰ろうとする新八を
「面倒臭ぇけど、子供をこんな時間に歩かせるなって
ババアがウルセェからな」
と態々送ってやり・・・たいらしいのだが、大抵断られる。
何分毎日の事なので酷く新八が遠慮するのだ。
新八曰く、一人残される私の方が心配らしい。
結果、
「あ、そう?ならいいわ。
別にどうしても送らなきゃいけない訳でもねぇし?
ババァが煩ぇだけだから一応言ってみただけだし?」
お疲れ~。と言って見送る羽目になるのだが。
・・・私は知ってるネ。
そう言いつつも、毎日きっちり新八の後をつけて
隠れ送り人となっている事を。
私曰く、新八の方がよっぽど心配ネ。
・・・ちなみに、偶に本当に遅くなってしまい、ちゃんとした
送りになっている時の銀ちゃんは、
「仕方ねぇなぁ、銀さんも早く寝たいってぇのによぉ。
あ?それなら別にいいって・・・いやあの・・・あぁ!
そういや銀さん、今週のジャ○プ買い忘れてたわっ!
あ~、あれの続き気になるしな~、なんか読まないと
気になって眠れないような気がしてきた。
ってか絶対寝れねぇな、コレ。
うん、しょうがねぇから
ちょっと買いに行くわ。序に送ってくから。
ん?イヤイヤ家まで送ってくって。
ほら、この近くのコンビニだと売ってねぇから。
あるの、オマエん家のコンビニだけだから、きっと。」
・・・等といって、ウザさが半端ない。
と、つい今までの事を思い出し、じっとりと目の前の銀時を
睨んでいると、鼻血を止めるべく、ティッシュを
詰め込んでいた銀時が あぁ? と睨み返してきた。
「んだよ、まだなんかあんのか?」
「あるも何も、少しは素直になるヨロシ」
見ててウザいし、何より痛い。
「あぁ?何言ってんの、オマエ。
銀さんは何時でも何処でも自分に素直に生きてますぅ」
「出来ましたよ~・・・て、え?何この雰囲気」
思わず二人で睨み合っていると、朝食を運んできた新八が
一瞬目を瞬いた。
「別に?神楽の頭が未だ起きてねぇだけだ」
「それを言うなら銀ちゃんの髪の毛は色々起き過ぎネ」
「ッテメ!そこまで言うなら寝かしつけてみやがれ
コノヤロー、心からお願いしますっ!」
「・・・悪かったヨ、銀ちゃん」
「え、何その本気の謝罪。」
「はいはい。いいから早くご飯食べちゃってください!」
全くもう。と言いつつ、テーブルに出来たての朝食が
並んでいく。
それらが全部並び終わった所で、三人手を合わせて
いただきますだ。
ホカホカのご飯に頬を緩ませていると、突然銀時が
小さな声を上げた。
見れば、何故だがプルプルと小刻みに震えている。
「どうかしましたか、銀さん」
何か詰まりました?と心配する新八を余所に、
銀時はクワッと顔を上げると、勢いよく箸をテーブルへと
たたき付けた。
「どうしたもこうしたも・・・んだぁ?こりゃ。
全然甘くねぇじゃねぇかぁぁ!!」
そう言って指差したのは、綺麗に焼かれた定番の卵焼き。
「甘くない卵焼きなんてオマ・・・アレだよ?
最早犯罪の域だよ?卵に対する冒涜だよ?」
あ~もう最悪だっ!!と項垂れる銀時を横目に、
神楽は自分の分の卵焼きに手をつける。
・・・うん、確かに何時もの様に甘くはない。
が、これはこれで美味しい。
そう思うが銀時は納得していないようだ。
体を起こしてソファへと身を預けると、やってらんねぇ。だの
裏切られただのグチグチいい始めた。
そんな銀時に、新八が申し訳なさそうに口を開く。
「すみません。・・・でも銀さん、この間お医者さんに
怒られたらしいじゃないですか。
それにこの間珍しくパチンコで勝ったって言って大量に
お菓子持って来たし・・・せめて食事くらいは気をつけて・・・」
「食事くらいって・・・あのなぁ、食事って大切だよ?
人としての基本だよ?コレ。
しかも朝食なんて言ったら、一日の始まりだろうが。
これで今日一日のやる気なんかが決まるってもんだよ。
それをオマエ・・・甘くない卵焼きだなんて・・・
あ~、無理。なんかもう食べる気しなくなっ・・・」
「なら寄越すヨロシ」
「・・った訳でもねぇんだけどよ」
銀時の発言に、さっと手を伸ばすがそれは空振りに終わった。
何故なら咄嗟に銀時が自分の卵焼きが乗った皿を
上へと持ち上げたせいだ。
それに対し、神楽が短く舌打ちをする。
「甘くないのが嫌なら寄越すヨロシ」
「いやいや、これなくなったら銀さんのおかずがなくなっちゃうからね?
こんなおかずでも、ないと困るから、銀さん」
ジリジリと卵焼きを狙う神楽に、その目から必死に
卵焼きを庇おうとする銀時。
そんな二人に、新八がおずおずと声を掛けた。
「あの・・・この浅漬け全部食べちゃっていいんで、
その卵焼きは神楽ちゃんに上げてください」
「・・・え?」
新八の言葉に、銀時の体がピシリと固まった。
「すみません、銀さんがそこまで卵焼きに
拘り持ってたなんて知らなかったから・・・」
そう告げる新八の顔は、笑っているものの眉が下がっている。
「ごめんね?神楽ちゃんはこの卵焼きでも大丈夫?」
「私は全然平気ネ。と言うか新八の作ったご飯に
文句なんかないネ」
私、大好きヨ。と言えば、新八は照れ臭そうな笑みを
神楽へと返した。
そして未だ卵焼きの皿を抱え込んでいる銀時に向って
手を差し出す・・・が。
「あぁぁっ!!!!」
神楽の絶叫虚しく、銀時はガツガツと卵焼きを
全部口に入れてしまった。
「ちょ、何するネ、銀ちゃん!!」
「そうですよ、そんな無理して食べなくても・・・」
そう言うが、とうの銀時は無言で口を動かしている。
そして漸く口の中の物を飲み込むと、勢いよく
喋りだした。
「煩ぇなぁ、食べてる時に話しかけてんじゃねぇよ。
それに、別に無理なんかしてねぇから。
銀さん、卵焼き大好きだし?そう言えば最近糖分取り過ぎてて
ヤバイと思ってた所だし?
別に新八の心配が嬉しかったとか、新八の作るモンなら
なんでもいいとか、寧ろ誰にもやりたくねぇとか
そんな事全然思ってねぇから!
ただ、今朝は甘くない卵焼きな気分だったって言うの
さっき思い出しただけだから。
本当、それだけなんだからね!!」
「・・・銀ちゃん・・・」
今の姿、半端なくウザイヨ。
ってかさっき食べている時何にも喋らなかったのは、
きっと行儀云々と言うより、
ただ単に新八の卵焼きを堪能していただけだろう。
全く、何処までウザさを爆発させれば気が済むのだ、この男は。
だが・・・
「銀さん・・・有難うございます。
明日はもう少し甘くしますからね?」
新八は気付いてないようで、銀ちゃんが自分を気遣って
無理をしていると思っているようだ。
見れば嬉しそうな笑みを浮かべている。
それを見て、銀時はさっと顔を背けた。
「べ、別に?
その方が嬉しいけど、やっぱ体第一だし?
新八の作ったモンならなんでもいい・・・じゃなくて、
作って貰っといて文句言うのもアレだしな、うん」
って事で明日もよろしく。なんて何時もの様に
気ダル気に言っているが・・・
・・・銀ちゃん、耳、真っ赤ヨ。
神楽は大きく息を吐き、自分の分の卵焼きを
パクリと口にした。
「・・・私はこの味で十分ネ」
これ以上甘ったるいのはゴメンヨ。
そう思い、神楽はもう一つ、心の底から
溜息を吐いたのだった。
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五万打企画第四弾。姫りんご様からのリクで、
「ツンデレ銀さんと銀さんラブな新八」と言う事でしたが
・・・如何だったでしょうか?
なんか私、ツンデレを誤解してますかね?(笑)
どうも単なる変態になってしまったような・・・(←何時もの事ですねι)
こんな感じになりましたが、少しでも
楽しんで頂けたら嬉しい限りですvv
企画参加、有難うございましたvv