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その日、近藤と土方は二人で街の中を巡察していた。
・・・と言っても、目立った攘夷志士達の動きもないし・・・と言う
少しばかり息抜きのような巡察だ。
天気も良いし、総悟も仕事なのに朝からどっか行ってるし・・・
まぁアレだ。今日はまだ命狙われてないだけいいとしよう。
そう言う事にしておこう。
じゃなきゃ俺の血管がもたねぇ。
と、序に部屋に積まれているだろう書類の山も頭から追い出し、
土方は胸元のポケットからタバコを取り出した。
その時、立ち並ぶ店を見ていた近藤が、突然小さな声を上げた。
「なぁトシ。アソコに居るの、総悟達じゃないか?」
「はぁ?」
近藤が指す先、そこに視線を向ければ、見慣れた頭が一つ、二つ、三つ・・・
その瞬間、息抜きのような巡察が終わりを告げたのだと言う事を
土方は哀しくも理解したのであった。
「お~い、三人共集まって何してるんだい?」
呼びかける近藤の声に、こちらを振り返る三人。
こう言う時だけは素直に反応しやがって・・・と、思わず舌打ちしたくなるが、
それを押さえ、土方も近藤に続いて三人の元へと近付いた。
「どうせロクでもねぇ事してんだろうが、テメーラは」
「ロクでもない男に言われたくないネ」
「そうでさァ、大体こんなトコで何してんでィ。
もっと血反吐吐くまで働いて来いよ、この税金泥棒」
「テメーだけには言われたくねぇんだよ、その言葉!」
言い争う土方達を余所に、新八は近藤へと声を掛けた。
「お二人は巡察ですか?」
「あぁ、天気もいいしね、こう言う日は外に出なきゃ」
で?新八くん達は何してたの?そう聞いてくる近藤に、漸く
言い争うことを止めた沖田が これでさぁ。 と軽く
片手をあげた。
その手の中には・・・
「携帯?」
「えぇ、ちぃっとばかし壊れちまったんでね、
機種変してきたんでさァ」
ホラ、ピッカピカの新品でさァ。そう言って手にしていた携帯を
ブラブラと振る沖田に、新八と神楽が言葉を続ける。
「僕達は途中で沖田さんに会って、それに付き合ってたんです」
「凄いネ、電話なのにカメラでゲーム機ヨ」
興奮気味に言う神楽に、近藤がやんわりと笑う。
「そうだなぁ。言われて見れば凄いものだな、携帯は」
「ですよね。色々機能があり過ぎて、僕だったら使いこなせませんよ」
「なんだ、お前らは持ってねぇのかよ」
近頃では子供でも携帯を持っている世の中だ。
新八の言葉に、土方が不思議そうに問い掛けると、キラリと眼鏡が
光るのが見えた。
「土方さん・・・何事にもお金という物がかかるんですよ?」
「・・・ですよね~」
とりあえず今の新八に逆らってはダメだ・・・と
判断した土方は、素直にそれを肯定する。
だってアレは絶対に逆らってはいけない№1の
オカンオーラだっ!!!
「でも持ってると中々便利なもんだぜィ?
好きな時に好きな所で問答無用で
呼び出せやすから」
「それはそうでしょうけど・・・って、何?そのパシリ要員!
嫌ですよ、なんか何処に居ても縛られてるみたいで」
「それが目的でさァ。
実際旦那も持たせたいと思ってるんじゃねぇですかィ?」
「目的は判りませんけど、前に言ってはいましたね。」
ね?神楽ちゃん。と、新八は隣に居た神楽へと同意を求めた。
それに頷く神楽。
「でも家族割り出来ないって言われて泣く泣く諦めたネ」
「家族割り・・・って」
あのヤロー、家族なんていたか?と土方が不思議に思い呟けば、
新八、神楽は自分を、そして沖田はその二人を指差していた。
思いっきり普通の顔をして。
「・・・・あぁ、そう」
カクリと疲れたように肩を落とす土方の横で、神楽達が
使えないだの嘘つきだのとグダグダと騒ぎ始める。
いや、使えないのはお前らの常識だ。
とりあえず、顔も名前も知らないが、その時対応したであろう担当
に同情を寄せる土方であった。
「な、なら新八君っ!俺と家族割りにしようっ!
勿論お妙さん込みでっ!!!」
「悪いネ、ゴリ。ペットも家族じゃないって言われたヨ、
定春の時」
「あれぇぇ!?何か酷い事言われてない?俺ぇぇ!!!
違うから、そうじゃなくてちゃんとした家族として・・・」
「その前に頭割られますからね、その発言。
控えてください」
にっこりと姉譲りの微笑で言う新八に、今度は近藤がカクリと肩を落とす。
「まぁいいんじゃねぇか?別にそんなの持たなくても」
近藤の肩をポンと叩き、土方がタバコの煙を吐き出す。
「んなの持ってても、電話するぐらいしか使わねぇよ」
なら家ので十分だろうが。と続き、新八達は軽く頷いた。
確かに、大抵出かける時は三人一緒なのだし、それぞれが出掛ける時
にしても、行き先はほぼ判っている。
ならば、余分な金を使ってまで携帯を持つ必要も・・・
そう思った時、それまで黙ったまま携帯を弄っていた沖田が
首を振りながら割って入ってきた。
「全く・・・今時そんな使い方してんのは、硬派気取ってるものの
実は携帯機能に脳みそが付いて行かない、寧ろ
みその代わりにマヨが詰まってそうなヤツしかいやせんぜィ?」
「おい、ちょっと待て。それは俺か?
明らかに俺の事だよなぁ!?」
「やれやれ、自意識過剰もいい加減にして下せェ。
それ以外の誰が居るってんでィ」
「オマエ本当、一回日本語勉強しなおして来いや。
って言うか人格矯正してこい、マジで」
「あ~はいはい。面白みのねぇツッコミど~も。」
ギリギリと眉を吊り上げ、刀に手を掛ける土方を軽くいなし、
沖田は新八の肩へと腕を回し、引き寄せた。
そしてヒョイと自分の携帯の画面を新八の前へと差し出す。
「それより新八、やっぱ携帯はいいですぜィ?
ほら、エロサイトもSM系アングラも見放題でさァ」
「ちょっ!アンタなんてもん見せるんですかぁぁあ!!!!
ダメですよね、普通にダメですよね、それ見ちゃぁぁ!!!」
一応未成年でしょっ!!!と、慌ててそれを両手を差し出し
押しのけようとする新八だったが、
沖田はそれを許さず、ニヤニヤと逆に画面を近づけていく。
「安心しなせェ。名義もカードも土方さんで
登録してまさァ」
「おぉぉぉおおいっ!
何してくれやがってんだ、テメーはっ!!!」
沖田の言葉に顔を青褪め、非難する土方。
それに対し、沖田は新八の肩に腕をまわしたまま
緩く首を振る。
「なんでィ、どーせその手のサイトに足繁く通ってんだから
今更ソレが一つや二つ・・・二十ぐらい増えたって
どうって事ねぇでしょうに」
「え?・・・そうだったんですか、土方さん」
沖田の言葉に、新八の目から僅かに温度が下がる。
「いや、だから何で変なトコだけ素直ぉぉぉぉ!!?
行ってねぇよ、電話onlyだよ、俺は。しかも仕事関係の。
って言うか何!?その異常増殖ぅぅぅ!!!」
「そんな寂しい事堂々と宣言しないで下せェ。
ちなみに地○通信にも土方さんの名前を登録済みでさァ」
「ちょ、それもっとダメェェェっ!!!!」
暴れだした二人からなんとか脱出してきた新八は、
あちらの雰囲気とは全く違い、のほほんと沖田のものとは違う携帯を
弄っている神楽の下へとやって来た。
「神楽ちゃん、それ、誰の携帯?」
「ゴリのネ」
そう言うと神楽は携帯を新八の方へと向け、微かに指を動かした。
何をしているのか判らない新八を余所に、神楽は
間抜け顔が取れたネ。とにししと笑っている。
その事に、新八はコトリと首を傾げた。
だって、確か写真を撮る時は音が鳴るようになっている筈だ。
だが、見せられた画面には、確かに自分が映っていて・・・
「神楽ちゃん、ちょっとソレ、貸してくれる?」
新八は神楽から携帯を受け取ると、ニコリと微笑み、
「確かコレ、画面が反対にまわるんだよね?」
と言って、バキリと二つにへし折った。
「えぇぇ!!?ちょ、俺の携帯ぃぃぃ!!!?」
「うっせぇよっ!既に携帯じゃなくて
盗撮道具じゃねぇか、これぇぇ!!!」
その光景を、沖田達を止めようとしていた近藤が見て声を上げるが、
すぐさまへし折られた携帯を投げつけられ、言葉もなく沈黙した。
「おぉ!携帯は武器にもなるアルカ」
「偶にね。」
目を輝かせる神楽と、冷ややかな視線で肯定する新八。
その向こうで、楽しそうな沖田の声と、最早絶滅寸前となった
土方の血管が切れる音が響いた。
「・・・やっぱ電話ぐらいしか使わねぇよな」
寧ろその頻度が高すぎるのだけれど。
子鬼共が去った後、土方は道端で伸びている近藤を横目に、
懐から携帯を取り出すと、力ない仕草で屯所の番号を呼び出す事にした。
と言うか、寧ろそれ以外の機能を取り去って欲しい・・・と願いながら。
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三万打お礼企画・第二段
カノウ アキラ様からのリクで「10代組が20代組の誰かを弄る話」
と言う事でしたが・・・如何でしょうか?(ドキドキ)
なんかあまり弄れ切れてないような感じが・・・す、すみません~ι
折角10代トリオが好きと言ってくださったのにっ!(泣)
でも、少しでも楽しんで頂けたら嬉しい限りですv
これからも、隙を見ては10代組でバタバタしていく予定ですので、
どうぞよろしくお願いします。
企画参加、本当に有難うございましたv