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公園でボーッとしていたら、同じようにボーッと・・・
じゃねぇな、うん。
なんか色々抜け出してる感じだったから。
どっちかって言うと、フワ~って感じだ。
こう、魂が頭上30cmにある感じ?そんな感じの
長谷川さんが、ボソリと呟いた。
「銀さん、知ってるか?鳩を食う所、あるらしいぜ?」
「止めとけ、長谷川さん。今のアンタじゃ
捕まえる所か捕食される側だ」
普通にカラスとかじゃなく、鳩にまで。
「ってか平和の象徴に対して何考えてんだよ」
「うっせぇよ。平和って言うなら、俺の腹の平和を
どうにかしてくれよぉぉ!!」
そう嘆く長谷川さんは、パチンコで負けて洒落にならない
状況らしい。
ちなみに俺は久しぶりに満面の笑みだ。
「大体あいつ等は俺等より儚い人生なんだぜ?
なのに頑張っててよぉ、あんなちっちぇのに健気じゃねぇか」
機嫌の良い俺は、しみじみと鳩を援護する。
懐が暖かいと、全てのモノに優しくしたくなるから不思議だ。
啜り泣き寸前のおっさんは対象外だが。
「儚いねぇ・・・あ~そういやどっかで聞いた事あったなぁ。
心臓の鼓動の回数って大体決まってて、それを刻み終えたら
最後・・・ってな。
で、小動物ってのは心拍数が早いから、
その分早く亡くなるんだと」
俺の心拍数も早くなってんのかな~、これ。
なんてサングラスの端からキラリと光るものを流して
長谷川さんが呟いた。
どうも年を取ると雑学を披露したくなるようだ。
ってかただ現実逃避したいだけか?
多分後者だな。と思いつつ、不思議に思った事を聞いてみる。
「で、なんで小動物は早いんだよ」
「なんでって・・・小さいから血液の循環が
早いんじゃねぇの?」
確か心臓って血液を送り出すトコじゃなかったっけ?
なんて適当な事を言い出す始末だ。
雑な雑学だなぁ、おい。
ったく、自分の体の事なのに知らなくてどうすんだよ。
まぁ俺も判んねぇけどな。
いいんだよ、知らなくても動いてんだから。
人の知らない所できっちり働く、職人気質なんだよ、
俺の臓器たちは。
っつうかその勢いで糖尿の方もどうにかしてくんねぇかなぁ。
・・・・・って。
「ぅおぉぉぉぉおいぃっ!新八ぃぃぃ!!」
公園から全速力で家まで帰り、勢い良く玄関を開けて
中へと飛び込めば、酷くびっくりした顔の新八が
俺を出迎えてくれた。
「え?銀さん?」
ソファに座り、パチパチと大きく開かれた目を瞬かせて
俺を見上げてくる新八に、ちょっとキュンとする。
湯飲みを両手で持ってたりして
可愛いったりゃありゃしねぇなぁ、おい。
ってそんな幸せに浸ってる場合じゃなかった!
俺は慌てて新八の持っている湯飲みを取り上げてテーブルの上に
置くと、そのまま膝をついて座っている新八を
ギュッと抱きしめた。
「ちょ、行き成り何してんですかっ!」
新八の胸元に耳を当ててるので、焦っている新八の声が
篭って聞こえてくる。
だが、今聞きたいのはそれではなく・・・
「・・・マジでか」
「はぁ?アンタ一体何を・・・」
訝しげな新八の声を無視して、もう一度よ~く耳を
澄ませてみる。
が、やっぱりそれは同じで・・・
「新八っ!」
「はい?」
勢い良く顔を上げて新八の名を呼び、肩に手を乗せる。
そしてじっと新八の大きな目を見詰めると、
恐る恐る俺は言葉を吐き出した。
「・・・お前、儚くなっちまう?」
「・・・・・・・・・・は?」
俺の真剣な問い掛けに、帰ってきたのは物凄く
胡散臭げな視線でした。
「いや、だから心拍数ってのは最初っから決まっててだな。
だからそれが早いと、それだけ寿命がだなぁ」
俺は公園での長谷川さんとの会話を新八に説明するが、
どうも上手く伝わっていないらしい。
「だからなんで僕なんですか?」
んなのお前も十分小動物だからだよ。
ちっこいからだよ。
ちんまくて可愛いからだよ。
・・・と思いっきり力説したいが、それを言うと
胡散臭げな視線が、殺気を帯びたものに変わってしまうので
ぐっと我慢する。
「なんでもだよ。
それに確かに今、お前超ドキドキしてたからね?
心拍数半端なかったからっ!」
あ~、どうしよう。これマジでか。
マジで現実か!?
嫌なんですけど、そんなの。
お前とはずっとずっとず~っと
一緒に居たいんですけどぉぉ!?
必死な俺に、新八は深々と溜息を吐いた。
そして新八の膝に縋り付くように腰を下ろしている俺の手を
取ると、そのまま自分の胸元へと導いた。
え、何?揉んでいいの?
「ね、銀さん。今ってどんな感じですか?」
揉んでいいのかどうか、一瞬悩んでいると
新八から穏やかな声で問い掛けられた。
どんなって・・・
ちょっとエロい感じになってきてますけど?
だが視線の先に居る新八はそんな感じでなく。
掌の下からは、やはり早めの心音が微かに感じられて。
思わず眉を顰めていると、頭上で新八がクスリと笑った
気配がした。
いや、笑い事じゃねぇだろ、コレ。
あの話が本当なら、マジで怖い事なんだぞ?
そう思っていると、今度は新八が俺の首筋へと
手を伸ばしてきた。
「あ、やっぱり。銀さん脈拍凄いですよ?」
「そりゃそうだろ。」
新八の言葉に、俺は呆れたように言葉を返した。
だってオマエに触れてんだぜ?
傍に居るだけでもドキドキし過ぎてて心臓がヤバイってのによ。
ってか今は俺の事じゃなくてオマエの・・・
「僕もね、多分銀さんと同じ理由ですよ?」
今、心拍数が凄い理由。そう言って笑う新八に、
俺はポカンと口を開けた。
ま、銀さんの勢いにびっくりしたってのもありますけどね。
なんて続けられるが、そんなものは右から左だ。
何それ。
ちっこいのとか関係ねぇの?
今心拍数凄いのって、俺のせい?
で、今の俺もものっそい事になってんの?
・・・あぁ、ならアレだ。
「俺等、早死に決定だな」
苦笑して言えば、新八は悪戯を思いついたような笑みを浮かべた。
「なら長生きする為に離れます?」
「それは絶対ぇ却下。」
だってオマエと離れたら最期だもん、俺。
なら少しでも慣れてドキドキ減らすしかねぇな。
そう呟き、俺は新八の腹へと頭を埋めた。
ま、回数を重ねる毎にもっと酷くなりそうだけどな。
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パチで勝ったので、ちょっと坂田にも優しい感じに(笑)