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色々な所がちっちゃい新八。
だけどちっちゃくない所もある訳で・・・
「銀さん、朝ですよ。起きて下さ~い」
既に日常となった新八の言葉に、薄っすらと目を開けば
ソコにはクリクリとした目がこちらを覗き込んでいた。
あ~、朝ね、朝。
ったく、何時も思うんだけどなんで朝って来るのかな?
寧ろなんで朝に起きなきゃいけないのかな?
他のヤツラがそうだからって、何も俺まで同じように
しなきゃいけねぇって事ぁねえだろ。
やっぱ皆が皆、右倣えとか怖すぎるじゃん?
個性とかって本当、大事じゃん?
って事で俺は俺の個性を大事にします、
お休みなさい。
「や、その前に大人として、寧ろ一人の人間としての
常識を大事にしろよ」
心の中で呟き、目を閉じたはずなのに、そんな言葉が降って来て、
序にパコンと掌も降って来た。
あれ?もしかして筒抜け?
銀さんの心の声、外に出まくり?
いや、そんな事ぁねぇな。
だってそれだったら、俺はとっくの昔に逮捕されてると思う。
多分猥褻罪とかで。
だったらアレか?新八が凄いのか?
その眼鏡は人の心までよく見えたりするんですかぁぁ!!?
「・・・いえ、さっきから口に出てますから。
全然心の外に出まくってますから。
ってか眼鏡にそんな機能はねぇし、新八=眼鏡でもねぇよっ!!」
と、再び言葉と掌が降って来た。
・・・心なしか言葉も掌も力が篭ってきてる気がすんだけど。
「って、マジでか」
「・・・それ、どれに対しての言葉ですか。」
キラリと眼鏡を光らせる新八に、勿論口に出していた事についてです。
と即答する。
うん、判ってるから。
新八=眼鏡だなんて考えてねぇよ、本当。
だって今は、ちっちゃい=新八だもん、
銀さんの中では。
それに眼鏡にそんな機能がついていない事も・・・
って、ついてないよな、本当。
今度は確りと口を閉じている事を確認し、新八を見上げると
キョトリとした顔がこちらを向いていた。
うん、大丈夫そうだ。
あの眼鏡にはそんな機能、ついてねぇ。
寧ろあの眼鏡についている機能は・・・
「・・・落下防止機能だよな」
「はい?」
またもやポロッと出てしまったらしい言葉に、慌てて首を振る。
どうやら寝起きで頭が回っていない分を口が補っているらしい。
危ない危ない・・・と小さく息を零すと、不審に思ったらしい
新八がそっと俺の前髪を挙げ、コツンと額をくっつけてきた。
「ん~・・・熱はないですね。
ならただ単に変なだけか・・・」
・・・や、変なだけって何?
そんなんで納得しないでくれるぅぅ!!?
ってか本当、でかいなぁ、オイ。
くっつけた額を見るように、目の前で視線を上げている新八の目は
真ん丸くて本当にでかい。
もう、今にも転げ落ちそうなぐらいクリクリッとしている。
眼鏡がなかったら、直ぐにも転げ落ちて何処かに行ってしまいそうだ。
そんな光景を想像してしまい、ちょっと怖い。
怖い・・・が。
俺の体温を測り終えた新八が、すっと離れていく所に
俺はすかさず手を伸ばした。
そしてやわっこい頬に手を添え、マジマジとその目を覗き込む。
クリクリッとした、ちょっと茶色いその目の中には、
なんだか締りの無い俺の顔が映ってて。
・・・うん、怖いけど、この目に映っているってのはやっぱり嬉しい。
新八の目の中で、締りの無い顔が余計緩んだ。
「ってかやわっこいな~、コレ」
「アンタの腹には負けますよ。
ってかいい加減離してくれません?」
フニフニと頬を揉む俺に、クリクリとした目が細められる。
「いやいや、銀さんの腹はカッチンカッチンだからね?
その内火を吹く勢いだから、本当。
ってかマジでいいな、コレ。もしかして伸びるんじゃね?
餅の如く伸びるんじゃね?」
「ちょっ!痛い!!痛いですから止めてくださいって!!」
思わず頬を引っ張ると、案の定少しだけ伸びた。
それを痛がり、新八の手が頬を掴んでいる俺の手に伸び、
何とか引き離そうとする・・・が。
新八の頬と掌に挟まれた俺としては、幸せ以外の何物でもないだろう。
と言う事で新八の抗議を無視し、そのまま幸せの感触に浸らせてもらう。
あ~、本当、この感触は幸せだなぁ、オイ。
しかも細められていると言っても、まだ大きいお気に入りの目が
目の前にあるのだ。
「あ~、もう食っちまいてぇ」
気が緩み、再び零れてしまった言葉だったが、今度は言葉も掌も
降っては来なかった。
・・・が、その代わりにものっそい勢いで新八の頭が落ちてきたりして。
俺は最初の願い通り、深い眠りへと旅立つ羽目になった。
ちなみにその後、クリクリとしたでっけぇ目は暫くの間
俺に向けられる事はなかった。
・・・や、それは本気で泣きたくなるんで勘弁して下さい。
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ちっさい萌えは止まりません(待てι)