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「今日こそはやらせて貰いますっ!」
そう言って和室の入り口で仁王立ちしていた新八は、可愛らしい瞳の中に
修羅を飼っていた。
「もうとっくに春を通り越してるんですよ?
何時までも炬燵なんて必要ないでしょう!
それなのにアンタ等と言えば、まだ肌寒いだのなんだのと・・・
だったら長袖着ろよってかちゃんと着物着ろよ」
・・・訂正、可愛らしい瞳の中に飼っていたのは
修羅ではなくオカンだった。
・・・って。
「いやいや、オマエ春を舐めんなよ?
ヤツはまだまだここに留まってるぜ?
寧ろ夏を迎え撃つ気構えだ。
ってかさ、アンタ等とか言いつつ、後半明らかに一人の人物
指してるよね?寧ろ個人攻撃してるよねぇぇ!!?」
炬燵の中で寝転んだままそう反撃すると、新八は俺を見下したまま
軽く鼻を鳴らした。
「確かに留まってはいそうですけどね、
誰かさんの頭の中に。」
「誰かの頭ってなんだよ、頭って。
寧ろ俺達の中に春は留まっていると
思うんですがどうでしょう?」
「どうもしねぇよっ!
あ~、もう本当うっさい。
兎に角、今日こそ仕舞わせて貰いますからね!?」
そう言って炬燵に手を掛けようとする新八に、慌てて
俺は体を起こし、その手を止めた。
「いやいやいや、落ち着け新八。
何も今日今すぐやらなくてもいいだろうが。
もう少しだけ時間を下さい。せめて心の準備が出来るまで」
「どんな心の準備ですかっ!
大体炬燵があると、掃除の時大変なんですよっ!」
「んだよ、それが理由かよっ!」
「最大の理由だよっ!
上げ下げする労力舐めんなぁぁ!!!」
怒鳴りながら炬燵を上げようとする新八と、
それを押さえ込み、なんとか阻止しようとする俺。
ちなみに神楽も居たりするのだが、どうやらどっぷりと炬燵の
魔力に取り付かれているようで、ピクリともしねぇ。
チクショウ、誰がその眠り守ってると思ってんだ。
俺の眠りも誰か守ってください。
っつうか今現在、オカン・フルチャージな新八から
炬燵の国を守ってください。
「ほら、いい加減諦めてくださいぃぃ!!」
「ちょ、本当待てって。ホラ、アレだよ?
もしかしたらまた寒くなるかもしれねぇじゃん。
寒くて寒くて仕方ない日が来るかもしれねぇじゃん。
そんな時、炬燵が仕舞ってあったら目も当てられないよ?
風邪とかも引いちゃうかもしれねぇよ?」
「その前に炬燵で汗掻いて風邪引きます。
ってかそんな日が来たら、
まず服装を整えろぉぉぉ!!!」
大体っ!炬燵を挟んで一進一退の攻防を続けていると、
不意に新八がギンッと力を込めてこちらを睨みつけてきた。
「そんな寒い日が来たら、責任取って僕が暖めてあげますよっ!!」
「・・・へ?」
「ぅわっ!!」
その瞬間、俺の抑えていた手が緩み、新八は持っていた炬燵の板と共に
後方へと勢い良く飛んで行った。
・・・ので、すかさず手を伸ばし、その背中を支える。
「えっと・・・銀さん?」
戸惑い気味にこちらを見る新八の頭をポンポンと撫で、
俺は本格的に腰を上げると、そのまま
炬燵布団を引っぺがしにかかった。
うん、やっぱアレだ。
春もとっくに過ぎたってぇのに、何時までも炬燵なんか
出してちゃいけねぇなぁ、いけねぇよ。
さくっと仕舞おう。とっとと仕舞おう。
寧ろ今度の冬はなしな勢いで行こう。
「わっ!ちょ、何してるアルカ!?」
炬燵布団が取られ、炬燵の魔法が解けた神楽が目を覚まし、
何かギャーギャー騒いでいるがしるもんか。
炬燵布団にしがみ付く神楽を、布団を振って落とそうとする。
・・・が、ヤツも必死なようで、中々振り落ちやしねぇ。
ったく、誰に似やがった、この無精者がぁぁ!!
「まだ炬燵出しとけばいいネっ!」
「うっせぇよっ!掃除の時どんだけ大変か判ってんのか、テメーっ!!」
「・・・や、掃除してんの僕ですけどね」
「また寒くなるかもしれないヨっ!」
切々と訴える神楽を、容赦なく振り落とし、俺はフンとばかりに
炬燵布団を肩に担いだ。
んなもん、望むところだ、コノヤロー。
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ウチはまだ出してます。
だって新ちゃんいないし(←当たり前です)