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なんとなく遊びに行く気にもならず、ソファにダラリと寝転びながら
雑誌を読んでいると、サカサカと箒片手に動き回っていた
新八に、自分のモノ位少しは片付けなさい。と小言を言われた。
全くケチ臭い事を言うヤツアル。
たかが読み終わった雑誌やら酢昆布の空き箱やらを
そこら辺に放置しといただけでこれヨ。
どうせ掃除してるんだから、序にやっちゃえヨ。
ってか年頃の娘の世話が出来るんだから、有難く
進んで行動するヨロシ。
そう言い返したら、じっとりとした呆れたような視線と
「・・・それ、銀さんも同じこと言ってたよ」
年頃の娘じゃなくて、愛しの旦那とか言う妄想をほざいてたけど。
と言う事を言われ、私が颯爽と片付けを始めたのは言うまでもない。
とりあえず雑誌を適当に積み上げ、空箱をゴミ箱に捨てると
新八から 有難う とにっこり言われ、ちょっと気分が良くなった。
良い事すると気持ちが良いってこう言う事ネ。
序とばかりに他に手伝うことはないカ?と聞くと、新八は
少しだけ目を大きく広げ、次にヘラリと頬を緩ませた。
「有難うね、神楽ちゃん。そうだね~、掃除はもう終わるし、
後は洗濯物干すだけだから・・・あ、銀さん起こしてくれるかな?」
「え?銀ちゃん寝てるアルカ?
ってか居るアルカ?」
「あはは・・・朝方までは居なかったけどね。
で、グダグダ煩いから寝かしたまんまにしてるけど、
そろそろ・・・ね?」
そう言われ時計に目をやれば、確かに例えどんな状態であっても
起こしたくなる時間だ。
「了解ネ。
グダグダ言ったら首の骨が逝かれるぐらい容赦なく
揺すり起こしてやるヨ」
力強く宣言する言葉をそのまま表すように
拳を握り締めると、新八の口元が少しだけ引き攣ったような
気がしたが、気のせいと言う事にしておいた。
マダオに容赦も同情も必要ないネ!
「銀ちゃ~ん、いい加減起きるヨロシ。
いつまでも夢の世界にしがみ付いてんじゃねぇぞゴラァァ!!!」
「ギャホッ!!!!!」
和室の襖を開けると共に、叫びながらジャンピングアタックを
決めたが、敵もさる者。
目蓋は開けたものの、
未だ起きる気配がないネ。
「おいコラ、銀ちゃん。
起きろヨ、起~き~ろ~っ!!!!」
なのでそのまま銀ちゃんの腹の上に腰を降ろしたまま、カクリと
力なく寝こけている首元を掴むとガンガンと揺らしまくる。
・・・が、首はカクカクと揺れるだけで、
指一本動く気配がない。
本当、マダオもここまで極めると凄すぎるネ。
ある意味感心しつつも、ここで諦めてたまるかと
揺する手に力を篭めた。
それからどれくらい時間がたったのだろう。
襖の向こうから新八がヒョイッと顔を出した。
「どう?銀さん起きた?」
「全然ダメネ。全く起きる気配がしないヨ」
そう言って手を離せば、ドサリと銀ちゃんの体が布団へと沈んだ。
「・・・・・・・・ぅわ・・・」
「それより見るヨロシ。
銀ちゃんてば目ぇ開いて寝てるヨ。
間抜け面もいいトコネ」
ぷぷっと笑って銀ちゃんの顔を指差せば、何故か恐る恐る
近付いてきた新八がそれを覗き込んで はは、本当だ。 と
ボソリと呟いた。
「ってか銀ちゃん、髪と同じで目も白いネ。」
「・・・・そだね」
「こんなに全開にしてて、目が乾かないアルカ?」
「・・・・そだね。可哀想だし、閉じとこうか。
ちょっと怖いし」
そう言うと新八は少し震える手で銀ちゃんの目元を覆い、
開いていた目蓋をそっと閉じさせた。
「?何やってるネ、新八。
別に口は開いたまんまでもいいネ」
「あ~、うん。そうなんだけど、ちょっと息の確認を・・・
あ、大丈夫だネ。微かだけど」
新八は少しだけホッと息を吐くと、ニコリと私の方へと
顔を向けた。
「有難う、神楽ちゃん。もういいから買い物にでも行こうか?」
「銀ちゃん起こさなくていいアルカ?
甘やかしたら付け上がるネ」
「・・・うん、多分起きれないだろうし、
甘やかしてもいないから、きっと」
そう言った新八の口元は、緩やかに笑っていたけど、
なんとなく頬が引き攣ってるような感じがした。
うん、やっぱりあの寝汚さは誰でも呆れる程ネ。
「新八も苦労するアルナ」
あれじゃあ毎朝起こすのも一苦労だろう。
そう思いしみじみと呟けば、
「・・・本当にね」
と、滅茶苦茶心の篭った声で返された。
よし、そんな新八の為に、これからは私が銀ちゃんを起こしてやるネ!
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それ以降、誰よりも早起きな坂田。