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人には何かしら得意とするものがあって。
例えば絵を描くのが得意だったり、走るのが得意だったり。
他の人にはけっして考え付かないような物凄い食べ物を
創作したり、
どんな状況、どんな場所でも直ぐに眠る事が出来たり、
例えどんな目に合わされたとしても、常に無駄に前向きに
物事を考えて諦めなかったり・・・
・・・うん、言葉って本当すごいね。
言い方次第で印象が全く違うや。
まぁそれは置いといて。
そんな僕の得意とするものは、
どんな事でもきっちり拾って対処する。
・・・って事らしい。
・・・ね、それって前に癖だとか言ってなかった?
「あ、あった。ほらここですよ」
雨の日の午後、暇潰しにでもと神楽ちゃんが友達から
借りてきた昔懐かしい『ウォー○ーを探しやがれ』を
三人で眺めていた。
と言っても銀さんは、本の上で頭をつき合わせている僕達を
呆れ顔で眺めているだけだが。
「ぅおっ!マジでか!?
また先越されたアル~ッ!!!」
そんな中、僕は見つけたウォー○ーを指差して教えると、
神楽ちゃんは悔しそうに顔を歪めた。
「なんでそんなに直ぐに見つけられるアルカ。
メガネか?そのメガネに何か
秘密でも隠されてるアルカ?
ズルイネ!ちょっと私に貸せヨ~」
「ちょ、ないから!
メガネに秘密なんかないからっ!
第一目がいい人がメガネなんか掛けたら、
グラグラでフラフラになるよ!?」
「面白そうだから余計貸せヨ」
「墓穴掘った!!?
ちょ、本気で駄目だって。
壊れる!フレームが壊れるっ!
ってかレンズに指紋をつけるなぁぁ!!!」
なんとかメガネを無事な姿のまま取り返し、
袂から出したハンカチでレンズを拭いていく。
ったく、指紋て結構残るのに!
神楽ちゃんがブーブーと文句を言っているが知るもんか。
メガネは本当、大事なんだからね?
もう顔の一部だから。
掛けてない時でも、つい押し上げる仕草をしてしまう程
馴染みまくってるからっ!
「オマエなぁ、あんま新八で遊ぶんじゃねぇよ。
壊れたらどうする気だ。」
「僕はそう簡単に壊れませんけどね!?」
ってかメガネ=僕って図式、何時まで引きずんの?
いい加減ウザいんですけど!
チキショー、次言ってももう突っ込まないからなぁ!!
心に固く誓い、僕はメガネを掛けなおした。
そして小さく息を吐くと、神楽ちゃんへと向き直る。
「メガネとか関係なしに、こう言うの見つけるのって
昔から得意だったんだよ、僕。」
そう言うと神楽ちゃんに小さく舌打ちをされた。
「・・・地味な特技アル」
「・・・そう言わないでよ」
僕もそう思ってるから。
神楽ちゃんの言葉にカクリと肩を落とす。
子供の頃はちょっと得意気味だったけど、今考えて見ると
本当地味で使えない特技だ。
あ、でも周りをよく見てるって事にならないかな、コレ。
微かな変化も見逃さない、故に気が回る・・・みたいな。
・・・って、そうなると・・・と、僕はペラペラと
何気なく本のページを眺めている銀さんへと
視線を移した。
考えて見れば、銀さんだって結構周りの変化に
敏感だ。
神楽ちゃんや僕がちょっと前髪切った時も
直ぐに気がついたし、
買い物帰りに土方さんと偶然会って、お茶に誘われた
時なんて、直ぐに見抜かれた。
(どうやらタバコと甘味の匂いがしたらしい)
他にも銀さんは細かい所まで結構気がつく。
・・・まぁそれが回るかって事は
別の話なんだけど。
でも、それだけ気がつくんだから、こう言うのだって・・・
そう思っていると、僕の視線に気付いた銀さんが
ふっと視線を上げた。
「何?」
不思議そうに微かに首を傾げる銀さんに、僕は
銀さんの手元にある本を指差した。
「いえ、銀さんもそう言うの得意そうだな~って」
だって、今も僕の視線に気付いたし。
そう言うと銀さんは、あ~無理無理。と軽く手を振って
本をテーブルの上へと放り投げた。
「こう言うチマチマしたのって見てるだけでイヤんなるしな。
ってか、こんな奇抜な格好したおっさんを
好き好んで探したくはねぇ。
何、コレ。なんでこんな格好してんの?
隠れたいんじゃないわけ?ウォー○ーは。
見つけて欲しくないんじゃないの?ウォー○ーは。
それをオマエ、こんな格好・・・あ、アレか。
孤高の旅人気取っておきながらも、実は寂しがり屋って奴か?
実は見つけて欲しくて仕方ねぇって奴か?
おいおい、面倒臭ぇなぁ、コノヤロー」
「いや、そんな事考えてるアンタが
一番面倒臭いよ」
やだやだ。なんて言いながらソファに身を沈めて
テレビをつける銀さんに、少し呆れる。
「新八ぃ、銀ちゃんにこう言うの求めても無駄ネ。
自分のパンツも将来見付け出せないのに、
本気を出してるウォー○ーは探せ出せないヨ」
「あぁ、それもそっか」
確かに、禄に見もしないで直ぐに僕を呼ぶ銀さんに、
こう言うのは無理だろう。
神楽ちゃんの言葉に納得していると、不意にテレビを見ていた
銀さんが声を上げた。
「おい、オマエテレビに出てるぞ、新八」
「え?」
その言葉に慌てて神楽ちゃんと共にテレビへと視線を向ける。
が、画面には沢山の人が映っていて、僕達は揃って首を傾げた。
「ほら、見てみって。あの左の奥の方っ!
あ~・・・もしかしてアレか。
この間休み取ってお通のライブに行った時か~。
チキショー、駄目だって言ったのによぉ」
そう言われ、もう一度よくテレビの画面を見て見る。
確かに、今画面に映っている場所はその時に行った場所だ。
でも、銀さんの言った場所に僕の姿は見えない。
・・・なんとなく、青い色の塊があるようには見えるけど。
「自分のパンツと将来は見つけられないけど、
新八探すのだけは得意ネ、銀ちゃん」
未だ画面を見詰めて何やらぼやいてる銀さんに、
神楽ちゃんが呆れたようにボソリと呟いた。
・・・うん、それ反対にして欲しいな、僕。
新八レーダー、年中無休で作動中。