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「お義兄さんってのはアレですけど、
実は昔、ほんのちょこっとだけ欲しかったんですよね」
お兄ちゃんって。日差しは強いが風は大分涼しくなってきたオヤツ時。
新八は公園のベンチに座り、奢ってもらったジュースを
片手にそんな事を沖田に話した。
「なんでィ、別に姉ちゃんがそんなの超越した存在なんだから
別にいらねぇだろ」
そう答える沖田は、新八が持参したパンの耳を揚げた物を
パクリと口にする。
本来ならこれは銀時の口に入る筈のものだったのだが、
運悪く銀時の隠し持っていたお菓子が新八に見付かり、
問答無用で没収となってしまったのだ。
で、どうしようかと新八が悩んでいる所へ、サボリ中の沖田が声を掛け、
急遽公園でのオヤツタイムとなり、先程の会話へとなったのだが。
「や、姉上は姉上ですからね?
何にも超越してませんからね?」
まぁ親代わりではありましたけど。
・・・ほんのちょっと、時折だけど
人間のレベルを超えてね?って思う時はありますけど。
そう告げる新八の瞳は何処か遠くを見ていた。
「あぁ・・・今朝の近藤さんも物凄かったですからねィ」
「もう衝撃映像スペシャル、しかも特盛・・・て感じでしたからね」
って、それは何時もの事としてっ!新八は軽く首を振ると
沖田へと向き直った。
「沖田さんもそう思った事、ありません?」
それか妹か弟!そう聞いてくる新八に、沖田はふと視線を上げた。
「そうさねィ。・・・どっちかってぇと姉上以外の人間は
要らねぇ、消えろ、特に土方って思ってたんでねィ」
「すみません、聞いた僕が馬鹿でした。」
沖田の言葉に即座に頭を下げる新八。
「何でィやっと自覚したんですかィ。
あ、ちなみにペットとかも別に欲しくなかったですぜィ?
もうゴリラが居たんで」
「え?ペット扱い?
いいんですか、それ。アリなんですか、それ。
ってかそう思ってんなら少しは躾しといて下さいよ」
「・・・新八も大概酷いねェ。」
「被る被害と比例してますから仕方ないです」
しれっと言う新八だったが、直ぐにあっと小さく声を上げた。
それに対し、沖田が何でィ?と聞くと、新八は頬を
やんわりと緩めた。
「考えてみれば沖田さんの周りって年上の方ばかりですもんね。
お兄さんが要る、要らないじゃなくて既にもう居るような
もんなんですね」
だから考えもしなかったんだ。ニコニコと笑って言う新八に、
沖田は深く眉間に皺を寄せた。
「おいおい勘弁しろよなァ、あんな連中を兄と呼ぶくらいなら
舌ぁ切ってそこに塩を塗りたくってゴミ詰め込んでやる方が
マシってもんでさァ」
「・・・自分に対してじゃないんですね、それ。」
「当然でィ。第一俺がそんな事してみやがれ。
向こうだって気色悪いと・・・て、あぁ、精神攻撃には
丁度いいかもしれねぇなァ。
あ、でもそれ以上に俺の心がヤバイ。
耐えられねぇや、きっと。硝子のハートだから。
精々下僕呼ばわりしか出来ねぇや」
「それ、どっちも精神的に痛いですよ。」
あ、でも。と沖田は新八の頭に手を置き、容赦なく
ガシガシと撫で付けた。
「新八は弟と言う名の下僕扱いだから
安心しなせェ」
「それ、全く微塵も安心出来る要素が
ないんですけどぉぉ!!?
ってかお兄ちゃんは弟をそんな風に扱いません!」
第一沖田さんってお兄ちゃんって感じじゃないですよ。
沖田の手から逃げ出し、簡単に乱れた髪を直しつつ告げる新八に、
沖田は少しだけムッと口元を曲げた。
「何ででィ、一応新八より年上だぜィ?」
「ん~、でもなんか違うんですよね~。
幾ら年上でも年が近すぎて・・・」
「ならどんなお兄ちゃんがいいんでィ」
沖田の問い掛けに、新八は顎に手を添えて
ほんの少し空中を見上げた。
「そうですね~・・・例えば優しくて、お願い事とか
聞いてくれたり、時々お小遣いとか欲しい物とか買ってくれたり、
雨の日とか迎えに来てくれたり・・・」
次々と出てくる新八の言葉に、沖田も うんうん と頷き。
「でも、それなら下僕で十分だろ?」
ってかそのものだろ、それ。とぶっちゃけた。
「・・・もうすっかり秋ですね~」
「お、スルーですかィ?」
「うっせぇよ!そう言うのはやんわり八橋にくるむものなんです!!
ってかそんなお兄ちゃん降ってこいや、コラァァァ!!!」
で、とりあえず夕飯代下さいぃぃ!!
新八の八橋から零れた本音は、秋の空にスゥと吸い込まれていった。
「・・・ってかそれこそお義兄さんに頼んでみたらどうでィ。
あの人なら喜んでそれ以上出してくれやすぜィ?」
「それだと変わりに僕が姉上に
命差し出さなきゃいけなくなるんで嫌です」
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新ちゃんはしっかり者です(そう言う判断!?)