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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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そろそろ日も落ちようとしている夕刻。
泣く子も更に号泣すると言われている真選組の沖田総悟は、
最早日常であるかの様に、本日も公園のベンチで惰眠を貪っていた。


怪我のおまけ


人をこ馬鹿にしたそのアイマスクの性か、それとも着ているその制服の性か、
誰も近づいてこないのを良い事に、呑気に眠っていたのだが、
不意に誰かの気配が近づいて来てるのを感じ、そっとアイマスクの下で
意識を浮上させる。


この気配は・・・?


まさかこの自分に近づいて来るなどと言う命知らずが居るとは・・・と、
寝ている振りをし、それでも何時でも動けるように・・・と身構えていると

「ぅわっ!本当に居たよ!!ちょっと沖田さん、起きてください!!!」

聞き覚えのある声が落ちてきた。その声にチラッとアイマスクを上げると、
そこには何やら怒ってるかのように腰に手を当てて立っている
一人の少年の姿が。

「なんでィ、仕事の邪魔をするもんじゃねーよ、新一君」

名前ぐらい覚えろ~っ!!って言うか仕事してないでしょ、ソレ」

「いやですねィ、これも立派な仕事でさァ。睡眠学習に良く似た
睡眠職務ってヤツで良かったですかねィ

人に問い掛けるなァ!!そんな仕事があるなら、率先してウチの
マダオがやってます!」

「確かに。で、仕事の邪魔までして何か用ですかィ、新二君

・・・あくまで仕事と言い張るか、コノヤロー。
しかも名前違うし!態とですか!?態とですね!!?

「被害妄想もその位にしときなせェ。一つずつ増えてんだから、
その内正解に辿り着きまさァ」

やっぱり態とか!!・・・と怒っている新八を尻目に、沖田は体を起こし
アイマスクを取る。
からかうのもいいが、日頃そんなに係わり合いの無いこの少年が
一体どんな用事で声を掛けてきたのかの方が気になったらしい。

「で、なんでさァ」

飄々と言う沖田に、新八も毒気を抜かれたのか一つ息を吐いて肩を落とすと、
漸くココまで来た用を話し出した。

「沖田さん、今日も神楽ちゃんと喧嘩しましたね」

「喧嘩?何言ってんでィ。喧嘩じゃなくて死闘でさァ

「尚悪いわっ!!も~、言っときますけどね、神楽ちゃんは女の子なんですよ?
怪我なんかさせちゃ駄目でしょ!!」

まるで子供に言い聞かせるかのように説教を始める新八に、沖田は少しだけ
目を丸くする。

「アイツがそんな可愛らしいもんですかねィ、大体戦闘民族で・・・」

で も 女 の 子 です!」

「・・・何千歩譲ってそうだとしても・・・」

「しかも沖田さんの方が 年 上 なんですよ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

判ってんですか!と言う新八の異様な迫力に、沖田も次の言葉を出せない。


いや、アンタこそ判ってんですかィ。俺はあの真選組の隊長ですぜィ。
そんな自分に物怖じせず説教を食らわすなんて、近藤さんと土方さんぐらいな
もんだと思っていたんですがねィ。


呆然とそんな事を思っていると、新八はもう一つ、今度は大きく息を吐き、
沖田の座っているベンチへと手にしていた荷物を置くと、自分も
しゃがみこんだ。
そして置いた荷物を解き、沖田へと手を差し出す。

「・・・何でさァ」

新八の行動の意味が判らず、問い掛ける沖田に苦笑すると、

「怪我、沖田さんもしてるんでしょう?手当てしますから、出して下さい」

と、更に手を差し出された。
その言葉に、今度こそ大きく目を見開くが、直ぐにニヤリと口元を上げた。

「何言ってんでさァ、俺がチャイナ如きに怪我なんざする訳・・」

「神楽ちゃん、半殺し+αにしてやったネ!・・・って言ってましたよ。
それと、暫く起き上がれないネ!!・・・とも」

ま、神楽ちゃんも相当フラフラでしたけど。と言ってニッコリと微笑む新八。

さっき、寝てましたよね、沖田さん

・・・何故だろう、先ほどの怒っている形相よりも、その笑顔の方が
数倍恐ろしく見えるのは。


・・・・・・・・・・・流石あの姉さんの弟でィ。


ニコニコと恐ろしい笑顔を崩さず、手を差し伸べている新八に、
顔を背けながら渋々といった感で袖を捲り上げる沖田。
すかさずその腕を取り、うわぁ~、コレ絶対明日には凄い色になってますよ。
と言いつつ、治療を始める新八。
まるで自分も痛いかの様に表情を顰めている。

「こんなもん、どーって事ないでさァ」

職業柄、慣れてまさァ。と、その様子を見て、ポツリと沖田が呟くと、
治療していた筈の新八の手が、何言ってんの! と、パチリと腕を叩いた。

「っ!!」

「真選組だろうと何だろうと、痛いものは痛いんですよ。
あんま心配させないで下さい!」

ホラ、次!!そう言って、また別の場所を治療し始める新八。
それを物珍しそうに見ていた沖田だったが、ブツブツと文句を言いながらも、
案外優しく手当てしていくその様に、緩く口元が上がっていく。


俺はアノ真選組の隊長で。
喧嘩相手の少女は、アノ夜兎族で。
なのに目の前の少年は、物怖じせず説教をし、怪我を心配し、
こうして手当てまでしてくれている。
きっとあの少女も同じように怒られて、心配されて、手当てされたんだろう。

・・・地味なだけの眼鏡だと思ってたんですがねィ。なんか・・・


「判りましたか、もうこんな喧嘩しないで下さいよ!」

「いやいや、新三君。特技はツッコミと眼鏡だけだと思ってたんですが、
中々どうして、手当ても上手いもんですねィ」

聞いてねーし!っつーか眼鏡特技じゃねーし!!
しかもまた間違った上に一つ増えてるし!!!

「いつか当たりに近づきまさァ」

今すぐ近づけ!って言うか新八ですから!!」


怒鳴る新八に、沖田は楽しそうに笑みを零すと、


「多分無理でさァ」


と、次の治療場所を差し出した。


喧嘩の後にこんな時間が過ごせるなら、
とうぶん止める事は出来ないだろう。


「無理!?それってどっちが?名前?それとも喧嘩!?」


叫ぶ新八に、とりあえずあまり心配させない程度にはしてやりまさァ。
と思う、沖田であった。

 

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明るい日差しの中、何時もの様に関わらず傘を差し、定春と一緒に歩いて
いると、前から見たくもないヤツが一人。
本来ならば有無を言わさず跳び蹴りの一つでもお見舞いしてやるのだが、
今日は、それはなし。
 

・・・大人な私に感謝するヨロシ。
 

ハンと鼻を鳴らし違う道を行こうとした所で、呑気でムカつく声が掛けられる。

「おぅ、チャイナ~。敵前逃亡ですかィ」

「誰がそんな事するアルカ。お前と違って暇じゃないだけネ」

「なんでィ、なんか犯罪でも起こすのか?なら自首だけはすんなよ。
俺がつまんねー」

「刺繍なんて誰がするカ。そういうのは新八が得意ネ」

聞き間違いをそのままに、フンと胸を張って得意げに言う神楽。
それに対して突っ込むでもなく、沖田は意外そうに目を見開いた。

「そんな事までしてんのかィ。新八も大変でさァ。
ますます欲しくなってきたぜィ、俺専用奴隷」

「絶対やらないネ。新八は万事屋のマミーあるヨ。
口煩いしオタクなダメガネアルけど、炊事洗濯ばっちりネ」

羨ましいカ。とニタリと笑って沖田を見る神楽。

「羨ましくはねぇな。ただ殴りてェ」

そんな神楽をこちらもニタリと笑って見返す沖田。

「フン、私もそれには同意ネ。でも今日は見逃してやるヨ」

「俺は見逃す気はサラサラねぇぜィ」

そう言って沖田は足を一歩前に出し、臨戦態勢を取るが、神楽はそれを
片手を出して制した。

「・・・なんでィ。なんか悪いもんでも食ったのかよ」

沖田は眉を顰めて言うと、神楽はこれまたニタリと笑い、

「違うネ。そんなモンで調子狂う私じゃないアルヨ」

コレアル。 と言って、手にしていた小さなビニール袋を
沖田の目の前に掲げた。
ますます訝しげな表情になる沖田に、神楽は自慢げに答えを差し出した。

「新八から頼まれてお遣いに行ってきたアル。だからお前に構って
られないネ」

そう言って神楽は背を向け、万事屋へと向かって歩き出した。
それに対し、沖田はやっと納得したかのように あぁ と頷いた。


多分この少女は早く帰って新八に褒められたいのだ。
きちんと言われた事をやり遂げて、褒めてもらいたいのだ。

そしてあの少年は、お遣いをきちんとこなしたこの少女を褒めるだろう。
優しいあの笑顔で、とても嬉しそうに褒めるのだろう。

本当ならば、神楽のそのお遣いを邪魔したい気持ちで一杯だが
そうなった後、原因が自分だと判れば、きっとあの少年は怒って来るだろう。
天下の真選組隊長と言えども、彼は物怖じしない。

怒ってる表情もきっといいだろうけどねィ・・・
でも今日はそういう気分じゃねェなァ。

どちらかと言えば、向けられるのが自分でないのが
とてつもなく面白くないが、あの笑顔を見てみたい・・・
 

「仕方ねぇなァ。それじゃあ今日の所は見逃すって事にしといてやらァ」

沖田は一つ息を吐き、肩を上げると神楽と共に歩き出した。



「・・・なんでついて来るアルカ」

「どっかの馬鹿チャイナが犯罪起こさないように護衛してるんでさァ」

「・・・お遣いが終わったら覚悟するヨロシ」

「望む所でィ」


ニヤリと視線を交わし、そのまま歩き続ける二人と一匹。

 


とりあえず今は我慢してやるネ。
余分なのがついて来てるけど、それは無視するヨロシ。
ついでにその余分なのが羨むほど、私を褒めるネ、新八。
 

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