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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「お妙さぁぁぁぁぁぁあああん!!!」

その日志村家は澄んだ空気の中、小鳥の囀りをBGMに既に日課になりつつある

『お妙さん参り』

を一方的にされ、お妙の

「散り去れ、ボケェェェェェェェェェ!!!!!」

との言葉と共に、容赦なくストーカーをこれまた日課になりつつある
花畑へと直行させる事に成功していた。

 

 


「・・・またか・・・」

朝食の後片付けをしていた所、この世のものとは思えない声と、
この世のものとは思いたくない破壊音が聞こえ、新八は大きく息を吐いた。

そこに、トコトコと足音をさせ、ヒョイと昨日妙に誘われこちらに
泊まった神楽が顔を出した。

「新八~、ゴリが死んだアル。スコップどこアルカ?」

「いやいやいや、まだ死んでないから、多分。
てかなんでスコップ!!!?ウチにこれ以上危険なモノを
埋めないでくれるぅぅぅ!!!?」

不穏な発言をする神楽を窘め、新八はもう一つ息を吐くと
とりあえず縁側にでも運んどいて。と神楽に頼み、再び洗い物へと視線を戻した。

 

 

「あれ?姉上は?」

洗い物を片付け、最早近藤専用となってしまった志村家の救急箱
片手に縁側へと行くと、ソコには未だ意識不明な近藤と、暇そうに
縁側から足を投げ出し、プラプラさせている神楽が居た。

「姉御なら風呂入って寝るって言ってたネ」

今なら安心だからって。そう答える神楽に、新八は引き攣った笑いを浮かべた。

確かに・・・近藤がこの状態ならば安心だろう。

新八は横たわる近藤の傍に座ると、持ってきた救急箱を開けながら
怪我の具合にさっと目を通した。

・・・顔面に明らかに引きずられた後が見えたが、
そこは無視だ。
加害者は一人でいい。

「うわっ!すっごいタンコブ!!」

近藤の頭に物凄いタンコブを見つけ、新八は思わず体を引いた。
そんな新八の隣で、神楽が興奮気味に言葉を発した。

「今日の姉御はまた一段と凄かったヨ!シュッ!!と行って
ゴギョッ!!!となったネ!!!」

「・・・うん、アレだね。人って色んな音が出せるんだね」

説明にはなっていなかったが、物凄く状況が判る。

新八はカクリと項垂れ、恐る恐るタンコブへと指を伸ばした。
やっぱり大きく腫れあがっている。

「・・・タンコブ出来れば安心なんだよね・・・確か

内出血してない証拠とかなんとか聞いた事があるような気がする。
でも、先程の効果音といい、タンコブの大きさといい、流石に
さっさと真選組へと連絡して回収して貰った方がいいのかもしれない

「なら私が早く回収に来るようお百度参りしてやるネ」

「いや、それより電話した方が早いからね?
明らかに簡単だからね、その方が」

悪いけど連絡してきてくれる?と神楽に頼むと、新八もタオルを濡らす為
その場を離れた。

 

 


引っ込め~、引っ込め~、回収に来るまでに少しでもいいから引っ込め~。

・・・と念じながら濡れタオルを近藤の頭に当てていると、漸く
神楽が縁側へと帰って来た。

「電話してきたアルヨ~」

ゴリはまだ起きないアルカ?そう言って新八の座っている所とは反対の
場所へとしゃがみ、近藤の顔を覗きこんだ。
それに苦笑して頷くと、新八も同じように覗き込む。

「だけどよく体、壊さないよね、近藤さん」

ウチの庭はどんどん破壊されていくのに・・・そう呟く新八に、
神楽も深く頷いた。

「ゴリなだけアルネ。あれだけのモノ食らったら、普通骨の二三本逝くヨ」

「あれだけってどんだけのモノ!?
・・・にしても、やっぱ体とか鍛えてるからかな?」

そう言って新八は何気なく近藤の胸元に手を置いた。
そしてその厚さと固さに驚く。

「うわっ!すっごいカチカチ!!」

「本当アルカ?・・・ってぅおお!!凄いネ、めっちゃ固いヨ!!」

神楽も胸元に手を置き、目を輝かせるとバシバシと叩いて
その固さを試していた。

その衝撃に、咳き込みながら薄っすらと近藤の目が開いていく。

「ゲホッ!!・・・て、アレ?なんで俺・・・」

「あ、近藤さん、気が付きました?」

目を覚ました近藤に気付き、新八がそう言うも神楽の手は止まらない。
楽しそうにバシバシと叩きながら近藤に告げる。

「ゴリ!!スッゴイね、ガチガチのムキムキヨ!!」

「え?ッゲホ!・・そ、そうかな~・・ッグ!!」

近藤はそれに時々咽ながらも照れ臭そうに笑みを浮かべた。
新八は慌てて神楽を制しながらも、やはりどこかキラキラした目で
近藤を見詰めた。

「本当凄いですよ、やっぱり毎日鍛えてるんですか?」

「う、うん、まぁね・・グェッ!・・や、やっぱり体・・・ゴッ!が
基本だか・・ゲフッ!!」

「うぉぉぉお!!カッチンカッチンネ!!」

「あ、また!!もう神楽ちゃん、止めなよ」

「い、いやいや・・クッ!こ・・れくらいは・・・カハッ!!」

新八に止められながらも止めようとせず、それ所か段々と強くなっていく
神楽の手に言葉を詰まらせながらも近藤が律儀に答えていると、

「いやだわ~、何の為の基本なのかしらぁ?ストーカー?」

 

 

 

 

 

        メキョ

 

 

 

 

 

「「あ・・・」」

何時の間に来ていたのか、先程まで新八達が触っていた近藤の
胸元に、お妙の踵が
いい具合に埋まっていた。

「あ・・・姉上・・・」

ちらりと見れば、先程漸くこちらへと帰って来た近藤は再び旅立ったらしい。
カクリと力なく横たわっている

そんな近藤から妙はそっと足を下ろすと、未だに近藤の胸元に
ある新八達の手に目をやり、

「ダメよ?新ちゃんも神楽ちゃんも。
ウチでは飼えないんだから気軽に触っちゃあ」

勘違いして懐いちゃうでしょ?と、聖母の如き笑みを浮かべた。
その言葉に二人はさっと手をどかすと、少しだけ近藤と距離を取る。
妙はそれを満足げに見詰めると、 じゃあもう寝るわね。 と
告げ、その場を後にしたのであった。

 

「・・・神楽ちゃん、救急車・・・」

「判ってるアル。今ちゃんと祈ってるネ、早く来いって」

「いや、それ電話した方が早いからね」

とりあえず・・・と、新八は近藤の頭に当てていた濡れタオルを取り、
寧ろ微かに凹んでいそうな胸元にそっと当てなおしたのであった。

*********************************
近藤さんが大好きです(え?)
 

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「おぅ、相変わらず暇そうなツラしてるアルネ、お前ら」

巡察に出た瞬間、すぐさまサボりに行こうとする沖田を捕まえ、
どうにか職務を全うしている土方に、軽い口調が掛けられた。

その瞬間、土方の眉がピクリと動く。

・・・・・またか。

見なくても判る声の主に、げんなりとした顔で肩を落とす土方を余所に
隣にいた沖田がこれまた軽い口調で返事を返す。

「おいおい、聞き捨てならねぇなァ。暇で辛気臭ぇツラしてんのは
お前らと土方さんだけでィ」

「いや、辛気臭ぇのは当たってるがな?
寧ろ疲れきってるツラだと思うがな?
誰のせいだと思ってやがるよ、おい。
てか暇してねぇよ、思いっきり仕事中だよ!!」

どこ見て言ってんのぉぉ!!!と、怒鳴り返せば、何時の間に傍に来ていたのか、
神楽と沖田の二人に同時に鼻で笑われた。


な、殴りてぇぇぇぇえええええ!!!!
って言うかなんでこんな時だけ仲良しぃぃぃ!!!?


心底そう思うが、ここで暴れてしまったら、どさくさに紛れて
総悟が逃げ出す可能性がある。
折角どうにか捕まえてここまでやって来たのだ、一時の感情で
それを無にするのは虚しすぎる。

土方は思わず握り締めてしまった拳をなんとか解き、微かに震える手で
タバコを取り出した。

それを口元に持っていき、火をつけた瞬間、神楽と共に居た新八の
目が煌いた。
それに気付いた土方が、訝しげな視線を送ると、新八はハッとした様に
視線を下げ、恥ずかしそうに頬を染めた。

「?どうし・・・」

「どうしやした?セクハラビームでも送られやしたかィ?
最悪だなぁ、おい。目ん玉抉り出せよ、土方ぁ」

「ちょっ!何言ってんのぉぉぉお!!
ってかその指を近づけるなぁぁぁぁ!!!」

人差し指と中指を立て、所謂チョキの形の手をじわじわと近づけて来る沖田
の手をガッチリと掴み、顔を背ける。・・・と、

「んだよぉ、そんな腹の足しにもならない目ん玉なんかいらないネ。
どうせなら慰謝料寄越せヨ」

徐に土方の懐へと手を伸ばす神楽。

「なんの慰謝料!!?ちょ、本当誰か警察呼んで・・・って
俺かぁぁぁぁああ!!!!」

使えねぇ!!と、土方は叫びつつ、それでも二人の手を振りほどき距離を取る。

その目は瞳孔が開ききっており、警戒心バリバリだ。

「「ちっ!」」

そんな土方の様子を見て、二人は盛大に舌打ちをしながら各々の手を
降ろした。

・・・本当、なんでこんな時だけ仲良いんだよ、
テメー等はよぉぉお!!

血管がプチプチ浮き上がるのを感じながらも、二人から視線を
外さないでいると、不意に新八が視界の中に入り込んできた。

「もう、何やってんですか、二人とも!」

「いや、新八がエロ方のセクハラビーム受けたみたいだったもんで
その元凶をぶっ潰してやろうと・・・」

「いや、受けてませんから、そんなの。
ってかエロ方って誰?
エロリストといい、
どんだけその言葉が好きなんですか」

「言葉だけじゃなく
そのものも好きでさァ」

「んな事爽やかに断言しないで下さい!!!」

アンタの方がセクハラじゃん!!!腰に手を当てそう怒ると、次に新八は
神楽へと視線を移した。

「神楽ちゃんも!他人の懐に手を突っ込もうなんてしちゃダメでしょ!!」

「何言ってるネ。自販機を見付けたらお釣りの所に手を差し入れ、
酔い潰れてるヤツみたら懐に手を入れろって銀ちゃんが言ってたネ」

「それ、明らかに犯罪だからぁぁぁぁ!!!!!」

「それに人類みな兄弟ネ。助け合うのが当たり前ヨ」

「一方的に助けられてるだけだからね!?
片方搾取される一方の片道通行だから。
・・・てか、それも銀さんが言ってたの?」

低い声で新八が問えば、コクンと神楽が頷く。
それを見て、新八は そう・・・ と小さく呟いた。

・・・新八のメガネが怪しく光ったのは、多分土方の見間違えでは無い。

そんな新八に沖田は一つ息を吐くと、軽く肩を窄めた。

「ならどうしたんでさァ。土方さんのツラ見て照れるなんて・・・
それ程のもんでもないでしょうに、この程度のモン」

「いや、確かにそうだろうけどよ」

なんか腹立つわぁ、マジで。そう頬を引き付かせるが、総悟の疑問も
もっともだ。・・・と、土方は目の前の新八へと視線をやった。
すると、新八は焦ったように手を振り、

「いや、別に意味はないんですけどね?その~・・・」

と、視線を上へとやった。
思わず他の三人の視線も上がる。
しかしあるのは青い空と、土方の口元から登るタバコの煙のみで・・・

と、そこで漸くある事が土方の頭を過ぎった。
そして、

「もしかして・・・これか?」

と、タバコを吸うと、以前やったように口を窄めて頬を軽く叩いた。
そして出てきた煙の輪っかに、新八の頬が柔らかく緩んだ。

「おぉ!ドーナッツネ!!」

「なんでィ、こんなのが見たかったんですかィ」

そう言いながらも、沖田の目も浮かんでいく輪っかを追って行く。

自分からやりだした事ではあるが、三人の視線を集めてしまった事に
土方は僅かながらも恥ずかしさが出てくる。

・・・まぁ満更でもねぇがな。

だが流石に往来でやり続けるのも・・・と、普通にタバコを吸い込んだその時、

「・・・僕もやってみたいなぁ」

と言う新八の呟きが耳に入った。
それに土方の目が少し見開く。

タバコに興味があるようには見えなかったが・・・と、意外な思いで
見ていると、新八は苦笑し、

「でも不器用だから、そんな綺麗には出来ないですよね」

と続けたので、土方も苦笑を浮かべる。
どうやら目の前の少年は、タバコよりもその煙の方に興味があったらしい。

「バッカ、その前に未成年だろうが」

笑って軽く新八の頭を掻き混ぜると、判ってますよ。とムッと口を
尖らしながらも、名残惜しそうに消えていく輪っかを見送る姿に、
土方は一瞬悩む。
そして、

「ならやってみるか?」

と新八に提案した。

「え?」

「喫煙は認められねぇがな。・・・ホレ」

そう言って頬をチョイチョイと指差す。
その意味が判らず、カクリと首を傾げるが、直ぐに理解し、
新八は嬉しそうに笑みを深めた。

が、戸惑うように土方の顔を覗う。

「えっと・・・本当にいいんですか?」

「あぁ、構わねぇぞ」

土方も柔らかく笑い、煙を口に含んだ。
新八は覚悟を決めると、その頬にオズオズと指を近づけ、ポンポンと軽く
指を当てた。

「わ、出来た!」

出てきた輪っかに嬉しそうに笑う新八。
それを見て神楽が ずるいネ! と拳を握り締めた。

「新八、私にもやらせるヨロシ!」

「って待て待て待て!!!
オマっ!それ思いっきり拳じゃねぇか!!!
輪っかが出る余地もねぇよ!!!」

「そうだぜィ、チャイナァ。ここは俺に任せろィ」

そう言って沖田がチャキッと刀を煌かせる。

「任せられるかぁぁぁあ!!!!
何それ、お前!!
普通に刺す気満々じゃねぇか!!!」

「安心して下せェ、土方さん。きっちりでかい輪っかを
アンタの頭上に掲げ上げてみせまさァ」

「それ天使の輪っかぁぁぁ!!!!」

「あ、私もそっちの方がいいネ!」

「ってホントなんでこんな時だけ仲良しぃぃぃ!!!?」

「ちょ、じっとしてて下さいよ、土方さん。
輪っかが崩れちゃうじゃないですか~」

「その前に俺の人生が崩れ落ちるわぁぁぁ!!!!」

 

その後、暫くの間巡察中に喫煙する土方の姿は見られなかったと言う。

**********************************
大人を弄り倒す子供達が大好きです。

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「あ、マヨネ」

巡察の最中、タバコが切れたので近くの自販機で買い、一服しようと
した所で、不意に耳に入ってきた声があった。

一瞬振り向きたくなるが、つい先日の事を思い出し、なんとか押し止まる。

ってかマヨネってなんだ、マヨネって!!
なんか中途半端な略語になってんじゃねぇかぁぁあ!!
って、アレ?この場合『マヨ』+『ネ』??

一瞬悩んでいると、第二段が容赦なく耳に入ってきた。

「おいコラ、シカトしてんじゃねーよ。可愛い女の子が
声掛けてやってるんだから、咽び泣いて金を置いていくヨロシ。
それが真のマヨヨ?」

「っておぉぉぉい!!それを言うなら
真のマヨラーだろうがァァァ!!!」

てかそんな事誰がするか!!と、先程の決心も忘れ、つい振り向いてしまう。
と、ソコには予想通りの二人が・・・

「いや、アンタも何処に
突っ込んでんですか」

「馬鹿アル」

半目でこちらを見ながらそんな事を吐き捨てる二人に、土方は
ヒクリと頬が引き攣るのを感じた。

しかし、ここで怒鳴りつけるのも大人気ない。
ってか関わり合いたくない。

先程叫んだ自分を遠くの彼方に放り投げ、土方は気持ちを落ち着かせるように
持っていたタバコを開け、一本に火を着けた。

「・・・何か用か?お前ら」

保護者はどうした、保護者は。本来ならば決して顔を見たい相手ではなかったが、
大抵見かける時は三人一緒の為、聞いてみる。

と言うか、この鬼っ子達を相手にするよりまだマシな気がする。

すると、半目だった二人の目が、クルリと丸くなる。
そしてカクリと首を傾げたと思うと、二人顔を見合わせ、再びカクリ。

「おい・・どうし・・・」

「やだな~、土方さん。僕等二人で万事屋ですよ?」

「そうアル。私が万事屋の工場長・グラさんネ。で、こっちが万事屋メガネ・
ぱっつぁんヨ」

「いや、万事屋メガネって何?
なんか店名っぽくなってない?それ」

あはは・うふふ。と言う笑い声まで聞こえてきそうな顔で、そう言い合う二人に
土方は一瞬身を引き、そして煙と共に小さく息を吐いた。

・・・また何かやったのか、あの天パ。
存在を消されてんじゃねぇか!!

数日前の事を思い出し、土方は呆れたように肩を落とした。
実際には何もやらないが故に、何かやられた訳だが、
そんな事を土方が知る由も無い。

まぁ何処でもいいからさっさとココから離れてくれ。と、力なく手を振るが、
目の前の四つの目は、未だ真ん丸くこちらを見詰めていた。

しかも何故だか、目がキラキラだ。

先程の胡散臭い笑顔も怖いが、こちらも怖い。

「・・・・なんだ?」

訝しげに見詰め返すと、神楽が期待の篭った目で問い掛けてきた。

「お前、ドーナッツ作れるアルカ?」


・・・・・・・・・はい?


驚きのあまり、口元に持ってきたタバコがポロリと落ちそうになる。

って何て言った、このチャイナ。
ドー・・・ナッツ?あれ?何語だ、コレ。
俺の知ってる単語か?
ってか俺に向ける単語か?

自分では判らないが、多分とんでもない表情をしたのだろう。
期待の眼差しを送る神楽の横で、新八が小さく噴出しながら土方の名前を呼んだ。

「土方さん、神楽ちゃんが言ってるのは、煙のワッカです」

ほら、こういうの。そう言って新八はタバコの煙を指し、次にクルリと
輪を描いた。

「あぁ、アレか・・・」

そう言って軽く上を向きながらタバコを吸い、そのまま口の中に煙を
溜めて唇を尖らすと、空いている手でポンポンと頬を叩いた。
すると、綺麗な輪になった煙が、次々と土方の口元から飛び出てくる。

「「おぉぉおおぉぉ!!!!」」

それを見ていた二人が歓喜の声を上げ、新八に至っては軽く拍手まで付けてきた。

「・・・別に珍しいもんでもねぇだろ」

二人の喜びように、少し照れながらぶっきら棒にそう告げると、
神楽と新八は勢い良く首を振ってそれを否定した。

「そんな事ないネ!私、初めて見たヨ。」

「そうですよ!僕達の周りに世間の白い目にも負けず、
タバコを吸い続けてる人なんてそうそういませんもん!」

「と言うかたかが煙に金を使うヤツなんかいないネ!」

「お金出して害を買ってる様なもんですもんね!!」

「・・・・あ、そう」

本当、凄いな~。そう言う二人に、土方はヒクリと頬をヒク付かせた。

 

キラキラと目を輝かせてはいるが、既に何処の部分を
褒められているのか判らない。

と言うか、
褒められているのかすら判らない。


とりあえず、霞んできた視界を再び上げ、土方は請われるまま
次の輪っかを吐き出したのであった。

**************************
なんと言われようが止められません、タバコ(涙)

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「おぅ、トッシー。今日はなんのコスプレしてるネ」

「って誰がトッシー!!!?
しかもコスプレってオマッ!!
何処から見ても普通の格好だろうが、コレェェ!!!」

久しぶりの非番、昼飯でも食べに行こうと街をぶらついてたら、
前から歩いてきた見慣れた二人に(と言うか一人に)暴言を吐かれた。

とりあえず湧き上がる感情のまま叫び返す。・・・が、
悲しいかな、ちらりと自分の格好を確認してしまう。

・・・よし、普通の着流しだな、うん。

だが、そのちらりと見た一瞬をきっちり見られたのか、目の前の
チャイナ娘に鼻で笑われた。

「何言ってるネ。何時もはもっと無駄に暑苦しくて金が掛かってそうな
『血税を何だと思ってやがる、
もしかしてクリーニング代も
そっから出てんじゃねぇだろうなぁ、おい』
みたいな格好してるネ」

「・・・おい、今喋り口調明らかに変わったよな?」

不審げにこちらを睨みつけてくる神楽に、思わずピキリと青筋が
浮かびそうになるが、その前に一緒に居た新八が神楽の肩を叩いた。

「神楽ちゃん、そんな事言ったらダメだよ。あれは制服なんだから。
・・・でも本当の所、どうなんです?」

おいこらメガネ。なんでソコでメガネを光らせる!!
諭してたんじゃねぇのかよ!!!!

キラリと光ったままこちらを見ているメガネに頬が引き攣るが、
それを一つ息を吐く事で逃がし、簡潔に答える。

「・・・きちんと屯所で洗ってる」

大体毎日着てるんだ、一々クリーニングなんかに出せる訳ねぇだろ。

そう告げると、安心したかの様に新八がほっと笑みを浮かべた。

・・・いや、なんだよその反応。
そんなに無駄に税金使ってる様に見えんのか、俺等は!!!
一応アレ、支給品だから!
貰える数、決まってるから!!
お陰で染み抜きやら裁縫やら、
無駄に上手いヤツが多いから、真選組!!!

そう言いたくなるが、ギュッと口を閉ざす。
そんな切羽詰った現実はあまり知られたくない。
まだ税金ドロボーと思われてた方がマシだ。

「でも珍しいですね、私服の土方さんって。
今日はお休みなんですか?」

「まぁな」

「そうですか・・・」

じゃあな・・・とその場を去ろうとした所で、目の前の二人が
少し困ったような表情をしているのに気付いた。

基本的に万事屋は気に食わない。
しかも今日は久しぶりの休みだ。
腹も減っているのだ。

そうなのだが・・・・

土方は眉を顰め、乱暴な手付きで頭を掻くと、

「どうかしたのか?」

ボソリと問い掛けた。

結局、なんだかんだ言っても見捨てておけない自分に少し呆れる。
だが仕方ない、こう言う性分だ。

些か開き直り、懐からタバコを取り出すとその場で火をつけた。
すると、話を聞いてくれると判ったのか、新八が少し戸惑いながらも
口を開いた。

銀さんを探して欲しい・・・と。

その言葉に、土方の眉が上がる。

なんだ?まさかまた厄介な事に首でも突っ込んでんのか?
いや・・・だがそんな事があれば大抵自分の耳に入って来るはず・・・

「・・・いねぇのか?」

どうせそこらで油でも売ってんじゃねぇのか?そう言うと、
そんなんじゃないんです。と、深刻な表情で首を振られた。

だろうな。この二人が助けを求めてくるとなれば、それなりの事だろう。

土方はタバコのフィルターをギリッと噛み締める。

ちっ、山崎のヤローは何してやがる!!きな臭い事があったら
きちんと報告しやがれってんだ!!

江戸の町を守るのも真選組の仕事だ。
土方は監察である山崎を脳内でボコりながら、とりあえず
詳細を聞こうと新八達へと視線を戻した。そこに・・・

「・・・おい、アソコに居んのはなんだ」

頬を引き攣らせながら指差す先には、遠目にも目立つ銀髪頭が
ヒョコヒョコと歩いている。

いや、ヨタヨタか?
てか寧ろボロボロ!!?

だが、確かにあの銀髪だ。
そう思い、二人を見るが、新八達はちらりと視線を向け、
すぐに土方へと戻した。

「さぁ?
それよりも銀さんです!土方さん、探してください!!」

「いや、探すも何もソコに・・・」

「さっさと探すネ!きっと何処かに居るヨ、
財布が空じゃない銀ちゃんが!!!」

「はぁ!?」

「そうです!何処かにきっと居る筈なんです!
食費ぐらいは持ってる銀さんが!!!」

「いや、あの落ち着・・・」

「ご飯が塩ってどう言う事ネ!!同じ白でも私はが食べたいヨ。
米粒が!!!
そんな乙女心を判ってくれてる銀ちゃんを探してヨ!!!」

「せめて一日二食食べられる経済状況を持ってる
銀さんを探し出してください!!」

「出来れば卵も付けてくれる銀ちゃんがいいネ!!!」

そう言い募る新八達は、かなり真剣だ。
土方は身を乗り出して訴えてくる新八達から少しだけ逃げつつ、
大きく息を吐いた。

要するにアレだ。

馬鹿馬鹿やって新八達を怒らせたのだろう。

・・・やっぱりこいつ等に関わると碌な事にならねぇ。

そう思いつつもこのままにしておける筈も無く、土方は力なく
新八達を昼飯へと誘ったのであった。

**********************
書き始めたら楽しくなってきました(笑)

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「あ、税金ドロボーネ」

街の中、突然そう言われ血管が浮かび上がるのを感じた。
日頃からチンピラ警察と恐れられている為、ある程度の視線や
陰口には慣れっこだが、慣れればいいってもんでもねぇ。

と言うか、態々この俺に対して言うとは、いい度胸してんじゃねぇか。

鬼の副長と言われ、一般市民からも攘夷志士からも恐れられている
土方は、一切の感情を隠しもせず、声の発生源を振り返った。

するとソコには、口を塞がれたチャイナ服の少女と、その口を塞ぎつつ、
引き攣った笑みを浮かべて軽く頭を下げている眼鏡の少年が・・・

「・・・テメェらか・・・いい度胸してんじゃねぇか」

あぁ!?と声を低くし言えば、新八が慌てて謝罪の言葉を出す。
そして神楽にも謝るように言うが、神楽は力任せに自分の口を
塞いでいた手を叩き落し、フンとふんぞり返った。

「何でヨ。だってコイツ振り向いたネ。自分でも自覚がある証拠ヨ」

う・・・神楽の言葉に、土方は一瞬言葉が詰まる。
確かに今、土方の名前は呼ばれなかった
しかも背後からだった為、面と向って言われた訳でもない。

なのに振り返ったって事は・・・いやいや、違う。
違うぞ、俺。これはアレだ。
警察としてのカンが働いたんだ!!!
悪口に対して!!!!!
・・・アレ?やっぱ何か違くね?
なんか警察関係なくね?

「だからってダメだよ!言っていい事と悪い事があるでしょ?」

叩き落された手を摩りながら、新八が言い聞かせるようにそう言うと、
神楽はプーと頬を膨らませた。

本当の事は言っても良い事ネ。私、陰口嫌いヨ」

「本当の事だから言っちゃダメな時もあるの!ほら、銀さんの枕に付いてる
抜け毛の本数とか、幾らなんでも面と向って言えないでしょ?」

「・・・確かに・・・あれは言えないネ」

新八の言葉に、神妙に頷く神楽。

なんだ、ソレ。そんなにヤバイのか、あいつの髪。
ってかオイコラ眼鏡。それ、俺等が税金ドロボーっての
否定してねぇだろ。
寧ろ肯定してるよな?なぁ!?

「ホント、すみません、土方さん」

ちゃんと言い聞かせますから。ほら。申し訳なさそうに頭を下げ、
隣の神楽の背に手を回す新八。
それに押されるように一歩前に出ると、俯き加減の為、少しだけ上目遣い
になった状態で口を尖らした神楽が、

「悪かったネ。」

と小さく謝罪の言葉を出した。


いやいやいや。あれ?何コレ。
なんかすっげー居心地
悪いんですけどぉぉぉぉ!!!?
なんでそんなに心底反省してます!って顔してんの?
アレだよな?お前ら、悪口に対してじゃねぇよな、それ。
明らかに
『本当の事言ってごめんなさい☆』
って感じだよなぁ!!?


そうは思うものの、突っ込んで肯定されたらそれこそ辛い。

土方は曖昧に返事を返すと、すぅ~っと視線を逸らした。

「あ、でもあれですよ!土方さんはそんな事ないって
信じてますから、僕!!」

ね、神楽ちゃん。少し上擦った声でそんな事を言う新八。

いや、もういいから。
なんかどんどん胸が痛くなるから、ホント。

「そうネ!私も信じてやるヨ!!だから世間の声なんて
気にする事ないネ!!!ったく、あいつ等は
何も判っちゃいねぇんだからよぉ」

そう言って土方の背をドン!!と力強く叩く神楽。

いやいや、そんな慰めもいらねぇから。
ってかまずお前等が判ってねぇからな?
マジで。

ってそうだよ!判ってねぇんだよ、こいつらは!!
何雰囲気に飲まれそうになってんだ、俺は!!!!
きっちり仕事してんじゃん!
テロリスト追って、書類書いて、事件収めて見回りして・・・
色々してんじゃん、俺等!!!!

ハッとその事に気付き、言い返してやろうと視線を戻したその時、

「あ、そう言えば近藤さんがまたウチに来ててそのまま倒れてるんで
迎えに行って上げて下さい」

と、にっこり笑った新八に告げられた。
それにつられるように隣の神楽も手をポンと叩く。

「そう言えばこの先の公園でサドが昼寝してたネ。
目障りだから早く回収するヨロシ」

「後、山崎さんが一本向こうの道でカバディの練習してましたよ?」

「幾らジミーでも、その服のままだと流石に目立つネ」

「神楽ちゃん、それも言い過ぎ~」

そう言って笑い合う二人。

次の瞬間、土方が物凄い形相でその場を後にしたのは言うまでもない。

***********************
無邪気に弄り倒すお子様コンビ(笑)

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無駄語りご案内
銀魂の新八受け中心、女性向けブログです。 BL、やおいなどの言葉を知らない方、また、知っていて嫌気をを感じる方は、ご注意を。 また、出版社様、原作者様、その他関係者様方とは一切関係ありません。
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太門
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