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ややこしい事この上ないので、子供の銀さんを『ぎんときくん』と
呼ぶ事にしました。
そう決めた時、視界の隅で妙な声を上げながら身悶えていた
マダオは見ない方向とします。
ってか年上プレイって何だ、コノヤロー。
とりあえず、ぎんときくんを外に出すと余計な混乱を招く・・・と言う
銀さんの強い要望により、今日は一日家で大人しくしている事に・・・
って言っても、何時もとやる事は変わらないんだけどね。
だって今日も仕事ないし。
と言う事で僕は洗濯機をまわしつつ、部屋の掃除をしている。
ちなみに神楽ちゃんは、ぎんときくんの反応が詰まらないらしく、
早々に外に遊びに行ってしまった。
確かに、夢の中で見た時から思ってたんだけど
子供にしては反応が薄いんだよね、ぎんときくん。
あんまり笑ったりしないし。
でも・・・と、窓を拭きながらチラリと視線を後ろにやる。
すると直ぐにキョトリとした目がこちらを見返してきた。
「・・・なに?」
「ん~・・・いや、詰まらなくないかな~って思って」
「別に。大丈夫」
そう言うぎんときくんは、何が楽しいのか先程から
ずっと僕の後を着いてきている。
移動すればテコテコと。
立ち止まればその場でジッと。
時折、何をしているのか聞かれて。
これは・・・懐かれてるのかな?
だったら嬉しい。と僕は掃除を再開させながらクスリと笑う。
だってずっと触りたかったフワフワの頭が僕の後を着いてきてるのだ。
・・・ま、掃除の途中だから触らないけどね。
触るのは、掃除を終えてちゃんと手を洗ってからだ。
あ、そう言えば以前、僕が二・三日休みを貰って出勤した後の銀さんが
まさにこんな状態だったな~と思い出す。
何処に行くにもついてきて、でも手伝う事なんかせず
只ひたすら話しかけてきて後ろにはっついていたっけ。
あの時は本気でウザイだけだったけど・・・子供って凄い。
普通に可愛くてどうしようもないよ、コレ。
最終形態がアレなのに。
そんな事を考えていると、不意にじっとりとした視線が
ソファから投げかけられた。
「・・・ね、新ちゃん。何か酷い事考えてない?」
「いえ。ただ時の流れの恐ろしさを実感してただけです」
「あれ?何でだろ。
銀さん突然泣きたくなったよ?」
「なら本格的に泣く前にどいて下さいよ。
ソコも掃除するんですから」
そう言って銀さんが寝転んで居るソファほ指差す。
さっきから言ってるのに、ダラダラと交わして動こうとしないんだから。
今度こそ立ち退かせてやるっ!と気合を入れていると、
不意に袖をクイクイと引っ張られた。
「新八、んなおっさんほっとけって。
年寄りだから動きも頭もにぷいんだよ」
「誰がおっさんだコノヤロー!
言っとくけどな、銀さんまだ若いから!
終始動いてないと死んじゃうぐらい
フットワークも軽いからっ!」
蔑むように言葉を吐くぎんときくんに、勢い良く銀さんが
立ち上がってぎんときくんと向かい合う。
・・・ってか銀さん、終始動いてないと・・・って
それ、なんて魚類?
まぁソファは空いたから良しとするか・・・とさっさと窓を
拭き終え、今度はソファへと移動する。
その間も、背後の口喧嘩は続いていて・・・
・・・って、だからなんで銀さんまで着いてきてるの?
ちなみに一緒に掃除しますか?と誘ったら、二人とも同じように首を振った。
全く、変なトコばっか同じなんだからっ!
呆れながらも付き合っていられない・・・と、僕は後ろに大小の
白い毛玉を伴ったまま、掃除に洗濯と仕事に励んだ。
ちょっとだけ・・・本当にちょっとだけ
嬉しかったのは内緒だ。
その後、帰って来た神楽ちゃんも加わってお昼となった。
凝りもせず銀さんは顔中にご飯粒をつけてきたので、
今度は雑巾を投げつけてやった。
・・・うん、夕飯は麺類にしよう。
「そう言えば今日は空、見てないね」
夕方、和室で洗濯物を畳みながら
隣に座っているぎんときくんに問い掛ける。
本当は買い物に行きたかったのだけど、僕が行こうとすると
ぎんときくんも付いて来ようとするので、銀さんにお願いしたのだ。
最初は渋っていた銀さんだったけど、流石に僕とぎんさきくんを
外に出す勇気はなかったらしい。
ま、知り合いに会った日には、その後何を言われるか
判ったものじゃないしね。
神楽ちゃんも酢昆布が切れたらしく、銀さんに付いていって・・・
・・・若干悪い予感がするのは、気のせいだと思うことにしておく。
で、今現在万事屋に居るのは僕とぎんときくんの二人だけで。
じっと洗濯物を畳む僕を見詰めているぎんときくんに、
そう言えば夢の中ではボーっと何処かを見上げていたっけ・・・と
思い出して聞いてみたのだけれど。
「空?」
不思議そうに答えられ、あれ?と僕は首を傾げた。
「違った?なんか何時も上を見てたから・・・」
空が好きなのかと思ってたんだけど。そう言うとぎんときくんは
あぁ・・・と頷き、
「別に。あれはただ何も見るものがなかったから」
だから、見てても見てなかった。
何の感情も浮かんでいない顔でそう言われ、僕は少しだけ言葉に詰まる。
確かに夢の中の彼はいつも一人で。
どんな場所でも、その目には映していなくて。
でも、僕は知っている。
知らないけど、知っているんだ。
いつの日かその目が、辛いけれどかけがえのない道を
見つける事を。
そして、その途中に僕や神楽ちゃん。
大勢の人が待っていると言う事も。
けれどそれを上手に伝える言葉を見つけられず、
僕はぎんときくんを引き寄せて、そっと小さな体を抱き締めた。
そしてゆっくりとフワフワの頭を撫で付ける。
どうか少しでも、この想いが伝わるよう願いを込めて。
ぎんときくんはそれが擽ったのか、僕の腕の中で身じろぎ、
小さな笑い声を上げた。
「でも、今日は新八が居るから、見るのが大変だったな」
クスクスと笑う声に、その小さな呟きに。
そして遠慮がちにしがみ付いてくる小さな手に。
僕の視界は滲んで・・・消えた。
「・・・帰ったか」
「銀さん・・・」
あれからどれだけ時間が経ったのか、俯いた顔を上げて見れば、
部屋は既に暗くなっていて、苦笑を浮かべた銀さんが立っていた。
勿論、腕の中に居たあの子はもういない。
「あ~あ、こんなに新ちゃん泣かせやがって。
仕方のねぇガキだなぁ、おい」
銀さんは僕の前にしゃがみ込むと、ホロホロと流れる涙を
そっと拭い、そのまま僕の頭を抱え込んだ。
そして
「・・・有難うな、新八」
そう言って旋毛に落とされた銀さんの唇に、
僕の涙はまたポトリと落ちて、
その先で、笑っているぎんときくんの顔が見えた気がした。
その後、ぎんときくんの夢を見る事はなかった。
・・・のだけど。
「・・・ね、新ちゃん。
なんかものっそく見覚えのある光景と顔があるんですけど」
「偶然ですね~、僕もですよ」
ある日の朝、布団の上で上半身を起こして頬を引き攣らせている
銀さんに、僕は乾いた笑みを浮かべる。
や、だってさ、これ・・・
「おい、聞いてんのか?俺の名前、銀時だってんだよ。
ま、今は白夜叉とか言われてたりする時もあっけど、
それは却下な。銀時さんって呼べ、銀時さんって」
そう言ってくるのは、見慣れた顔よりも若干若かったりする訳で。
「何だ、テメー!んな事要求してんじゃねぇよ!
ちょっと萌えるじゃねぇかぁぁぁ!!!」
「あ?なんだ、この白モジャ・・・ってあれ?
なんか今ズキンて来た。
言ってて胸がズキンって来たぞ!?」
「ザマァミロ、この腐れ天パッ!!
ってあぁぁ!!
こっちもズキンて来たぁぁぁ!!!!」
・・・うん、やっぱ笑うしかなくね?
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六万打企画第六弾。ののじ様からのリクで
「現在VS過去」と言う事でしたが・・・如何でしょうか?
あんな素敵なものを戴いたと言うのに、何時も以上に
纏まりのない話に・・・orz
しかも白夜叉、最後だけだし(笑)
こんな感じになりましたが、少しでも楽しんで頂けたら
嬉しい限りですv
企画参加、有難うございましたvv