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突然振り出した雨に、新八は荷物を抱えて全力疾走していた。
「あぁもうっ!予報では夕方まで持つって言ってたのにっ!!」
それは他の人も同じなのか、新八の様に走っている人も居れば、
軒先で雨宿りしている人も居る。
・・・と言うか雨宿りしている人の方が多いぐらいだ。
新八とて、幾ら今日買ったものの中に卵などの壊れやすいモノが
入っていないと言っても、態々雨の中走りたい訳ではない。
寧ろこれ以上洗濯物が増えないよう、じっと雨が止むのを
待って居たい位だ。
ならば何故走っているのか。答えは簡単。
・・・やっぱり洗濯物だ。
折角晴れたのだから・・・と外に干してきたのが間違いだった。
そんな後悔が頭を過ぎるが、やはり陽が出れば外に干したくなるし、
天気予報だって信じたくなるものだろう。
あぁ、でもこの時期は天気が崩れやすかったんだっけ。
だから銀さんも、今日は出掛けずにゴロゴロしてるって・・・
って、何時もだけどね、それ。
天候全く関係なくゴロゴロしてるけどね。
通帳残高も気にせずにゴロゴロしてるんだけどねっ!
本当、それなら少しぐらい家の事してくれても・・・
「っあ!」
ソコまで考え、新八は忙しなく動かしていた足を止めた。
そうだよ、銀さんが家に居るじゃん!
なら洗濯物だって・・・
「なんて奇跡がある訳ないだろぉぉ!!!
夢見る少年は卒業しろ、僕ぅぅぅ!!!」
一瞬、雨に気付いた銀時が洗濯物をよせてくれる光景を
思い浮かべようとしたが、
想像ですら無理だった。
新八はそう叫ぶと、立ち止まっていた時間を取り戻すかの
様な勢いで再び走り出したのであった。
「あ、洗濯物ならよせといたから」
息を弾ませて漸く着いた万事屋。
階段を駆け上がり、勢い良く玄関を開けた新八を迎えたのは、
何処かに出掛けようとしていた銀時だった。
銀時は、雨に濡れている新八にタオルを持ってくるから・・・と
暫し待つ様に言って身を翻した。
だが、その暫しの時間でさえ、今の新八には惜しい。
大丈夫です、それよりも・・・と新八が言いかけた所で、
中へと入っていった銀時が告げた言葉が・・・それだ。
「・・・・・・・・・・・・・え?」
「だぁかぁら、もうよせといたってぇの。」
どうやら銀時の言った暫しの時を、呆然としたまま過ごしてしまったらしい。
気がつけば銀時が戻ってきており、バサリとタオルを
被せられていた。
「あ~あ、こんなに濡れちまって。
どうせ洗濯物が気になって走ってきたんだろ?」
俺が家に居るってぇのによ。そう言って新八の頭をワシワシと
タオルで拭き始める銀時。
「いや、確かにそうですけど・・・え?あの
よせたって・・・誰が?」
銀時の意外にも優しい手付きに身を委ねながら、とりあえず
停止していた頭を動かして問い掛けてみる。
「誰って銀さんしかいねぇだろ、ここには」
神楽は遊びに行ったままだしよ。銀時の言葉に、
そう言えば・・・と、朝方家を飛び出していった少女の姿を
思い浮かべる。
確か今日は友達のトコで夕飯をご馳走になってくると言っていたっけ。
ま、例え居てもよせてはくれないだろうけど。
でも、それは目の前に居る人物も同じ筈だ。
「じゃあよせたって・・・何を?」
思わず出た言葉に、銀時が盛大に眉を寄せる。
「あぁ?んなの洗濯物に決まってんじゃねぇか。
それとも何か?寄せて上げろってか?
銀さんの胸の谷間でも見たいんですか、
コノヤロー」
「見たくないけど出来そうですね、銀さん」
「うん、実は出来る。
こうぎゅ~っと力篭めて腕を寄せると胸筋がムキッと・・・」
「わ~本当だ、ある意味目と教育に悪いですね、それ。
・・・・って違ぇぇぇぇっ!!!」
手を離して実践して見せる銀時に、新八はタオルを
頭から取って叩きつけた。
そしてその勢いのまま、ガシッと銀時の顔を両手で掴む。
「何したんですか?
どうしちゃったんですか?
自分が何したか判ってんですか、
アンタッ!」
「え?何その剣幕。洗濯物よせただけだよ?銀さん。
別にオマエのパンツに頬擦りなんてしてないよ?
抱き締めたけど」
「本当何してんですか
アンタ。」
あぁ、それよりもっ!と、新八は掴んでいた銀時の顔を
思いっきり下へと下げた。
そしてゴツンと自分の額と銀時の額を合わせる。
「熱は・・・あっ!なんかちょっと熱い!!」
「・・・や、それは多分オマエが冷えてるからで・・・」
合わせられた額の痛みを堪えつつ、銀時がそう言うが
新八の耳には入っていない。
顔を掴んでいた手を銀時の喉へと移し、腫れ具合を
確認し始める。
「喉は・・・大丈夫かな?ね、銀さん。
何処か頭の他に調子悪いトコはないですか?」
「別にないし頭も絶賛大丈夫だからね、銀さん。
ちょ、止めてくんない?
何かその言い方だと頭が可哀想な子みたいに聞こえるから」
「あぁ!!既に熱で朦朧としてるんですね。
それ以外の何に聞こえるって言うんですかっ!
どうしよう、風邪かな?それとも悪い物でも食べたのか・・・
この時期傷むの早いから・・・
冷蔵庫のイチゴ牛乳だって、まだ賞味期限四日しか
過ぎてないのに・・・」
「えぇ!?ちょ、あれ過ぎてたの!?
後三日は持たせろって言ってたのにっ!?」
「大丈夫、きっと持ちます。
知らなければいけます」
「いや知ったからね、今。
後、完全に銀さんの心に傷を残してったから、それ」
「傷跡は男の勲章です、銀さん。
大体何時も大丈夫なんですから平気ですって」
「何時もなの!!?え、何コレ。
何か知りたくもなかった事がワサワサ出てくるんですけど!?」
「なら知らない事にしときましょうよ。
それよりも銀さん、とりあえず病院に行きましょうか。」
注射して貰えば直ぐ治りますよ。そう告げてくる新八に、
銀時が懸命に抵抗したのは言うまでもない。
「ったく酷ぇよなぁ」
あの後、必死の説明・・・と言うか説得が漸く新八の耳へと入り、
銀時への疑いは晴れた。
晴れた・・・が、銀時の気持ちは一向に晴れない。
ムッスリとした表情で洗濯物を畳む新八に、ネチネチと
突っかかっている。
「だからさっきから謝ってるでしょ!」
新八はそう言うが、やはり銀時としては納得できない。
座る新八の腰に後ろから寝転んだ状態で腕をまわし、
ギュッとしがみ付く。
「そうだけどさぁ、やっぱ酷ぇよ。
言っとくけど銀さんだって雨が降れば洗濯だってよせるからね?
迎えに行こうかな?ぐらい思うからね?
それによって新八が、感激して惚れ直してくれるだろう
ってこと位計算出来るからね?」
「んな計算してんじゃねぇよ。
どんだけ簡単な恋愛回路してんですか、僕」
呆れたように言い、銀時を見下ろして来る新八に、
銀時はやんわりと口元を上げる。
「でもあんなに滅茶苦茶心配してくれるぐらいには
惚れててくれてんだろ?」
銀さん、良い事知っちゃったな~。ニヤける銀時に、
新八はフイッと顔を背ける。
「・・・それは一番知らない事にしといて下さい」
なんか僕の方が具合悪くなってきちゃった。
そう言った新八の顔は、確かに赤くなっていた。
****************
四万打企画第五弾。蒼月様からのリクで
「原作銀さんが珍しく常識人的な事をして、新八に
「具合でも悪いんですか!?」と心配される。」
と言う事でしたが・・・これ原作銀さんですかね?(まずそこ!?)
ってか常識的な事をする坂田はやっぱ無理・・・と言うか
想像すら出来ませんよ、えぇっ!(ちょ、待て)
こんな感じになりましたが、少しでも気にいて頂け、
そして最後の方で黒いナニかを燃え滾らせて頂ければ
嬉しい限りですvv
企画参加、有難うございましたv