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「銀ちゃん、太ったアルカ」
風呂から上がり、熱くなった体を冷まそうとイチゴ牛乳を
飲んでいた所、背後からポツリと呟かれた。
振り向けば、半目でじーっと俺の腹部分を
見ている神楽の姿が・・・。
あ、ちなみに下は穿いてるからね、一応。
流石にソコまでオープンにはいけないから、銀さん。
「突然何言ってんの?オマエ。
んなの気のせいだろ、気のせい。
ってか見てんじゃねぇよ、金取るぞコノヤロー」
「その前に慰謝料ぶん取ってやるネ。
トラウマ要素を視界にいれるんじゃねぇよ。」
それに気のせいじゃないネ。そう言って見下げ果てた視線を
寄越す神楽に、思わずちらりと視線が降りる。
そんな事は・・・ねぇよな?
だってまだ弛んでないもん。
全然分かれてるからね、銀さんの腹筋っ!
もう軽く火を吹く勢いで分かれてるからっ!!
・・・あ、でも最近新八が
「そんなにダラダラしてると太りますよっ!
少しは動いてください。ってか仕事しろや、おい」
とか、
「糖分ばっか取ってると、駿足でメタボまっしぐらですよ」
とか言いまくってたっけ・・・
これってもしかして・・・ってかもしかしなくても、その・・・
いやいや、違うぞ?
新八はただ単に万事屋の財布と俺の体を心配してただけであって、
別に俺が太ったとか、そんなんじゃ全くないってっ!
「銀ちゃん、太ったアル」
「だから気のせいだってっ!
ってか断言してんじゃねぇよっ!
せめて疑問系でお願いしますっ!!!」
そう言いながらも、とりあえずイチゴ牛乳を冷蔵庫に仕舞い、
ソコラ辺に置いてあった上着を着込む。
その際、神楽が小さく、ハッ と鼻で笑った気がしたが、
それも多分気のせいだろう。
言っとくけど、銀さん全然気にしてないからね。
イチゴ牛乳は、もう十分堪能しただけだし、
上を着たのもそろそろ寒くなってきただけだから。
ちなみにその夜、寝る前に少しばかり腹筋したのはアレだ。
眠れなかったから、少しだけ体を動かして寝ようと思っただけだから。
やっぱ適度な運動は大切だしねっ!
だから少しぐらい物音がしても
怒鳴り込んでくんじゃねぇよ、神楽ぁぁ!!
「銀さん、朝ですよ、起きて下さいっ!」
次の日、何時もの様に新八に起こされて目が覚めた。
「お~・・・おはよ、新ちゃん」
「お早うございます・・・って銀さん、どうしたんですか?
なんか物凄く疲れた顔をしてますけど・・・」
「え?そう?銀さん、全然大丈夫だけど?
がっつり睡眠とれて、気分爽快なんですけど?」
うん、やっぱり適度な運動って大事だ。
たった二時間の睡眠で、
とんでもない回復力だよ、これ。
「そう・・・ですか?」
俺の言葉に、あまり納得していないのか、訝しげに首を
傾げた新八だったが、神楽の朝ごはん要求の声がかかり、
急いで和室を出て行った。
それを見送り、俺はモソモソと体を動かし、着替えを始める。
なんとなく視線が腹に行くのは、この際無視だ。
そしてズボンを穿いた所で、ふとある違和感が俺を襲った。
・・・っつうかこれ、少し緩くね?
下を向いてウエスト部分を引っ張れば、やはり少しだけ隙間が空く。
その隙間に、ニンマリと口元が緩んでいく。
おいおい、何だよ。
やっぱ適度な運動凄くね?
じゃなくて。
やっぱアレだ。完璧神楽の気のせいだったな、うん。
あ~、今日もいい一日になりそうだなぁ、おい。
そんな事を思いつつ、朝飯が準備されているだろう和室へと向う。
「おぅ、お早うさん、神楽」
「お早うネ、銀ちゃん。今日も寝癖がものっそい事になってるネ。
序に顔の寝癖も酷いもんヨ。
グチャグチャのダラダラに緩みまくってるネ」
「や、頭も顔も癖じゃないからね。
全て生まれつきの純正だから、これ」
寝惚けてんじゃねぇぞ?と言い、神楽のまだ結ばれていない頭を
グリグリと撫でてやった。
「・・・どうしたネ、銀ちゃん。
朝から満遍なく気持ち悪いヨ。
昨日殴った所が悪かったカ?」
そう言い、酷く眉を顰めて体を引かれた。
おいおい、本当に口が悪い子だね、オマエ。
どんな大人、見本にしてんの?
ま、いいけどね。銀さん、出来た大人だから。
おまけに今日は朝から気分がいいからね。
ふふんと笑い、さり気なくウエスト部分に手を添える。
「別に~?あ~、しっかし腹が減ったな。
もうなんて言うの?腹が減りすぎてズボンが
緩い緩い」
「・・・銀ちゃん、見てて痛いからやめて。
なんかもう・・・本当、痛い。」
「あれ?なんか口調違ってない!!?
違うから、見栄とかじゃ全然ないからっ!
ほら、本当に緩いじゃん、コレェェ!!!」
そう言って服を掻き分け、先程見た隙間を見せ付ける。
と、その瞬間頭に衝撃が走った。
「って、何してんですか、銀さんっ!!」
見れば足元にはお玉が転がっており、居間の入り口で
新八が仁王立ちされていた。
「新八ぃ、銀ちゃんが無理矢理見たくもないもの見せ付けてくるネ。
もうトラウマ決定ヨ。これは銀ちゃんの分のオカズでも
食べなきゃ、立ち直れないネ」
「ちょっ!それただ単にテメーの食い意地がはってるだけじゃねぇかっ!
ってか違うからね、無理矢理とかじゃ全然ないから。
ただ真実を神楽に見せつけようと・・・」
「やっぱ見せ付けてんじゃねぇか。
も~、やめて下さいよ。その内捕まりますよ?」
段々と低くなっていく新八の視線に、俺は慌ててズボンに手を掛けた。
「だから違うって。コレだよ、コレ。
ズボンが緩くってよぉ。ホラ、こんなにガバガバ・・・」
「そんなに緩くもないネ。
微かに隙間があるぐらいヨ」
「って、トラウマがどうとか言ってた癖に、
自ら覗き込んでるんですけど、この子ぉぉぉぉ!!」
それにバッチリガバガバですっ!と言い返しつつ、
俺のズボンに手を掛けて覗き込んでくる神楽から
体を逸らす。
「神楽ちゃん、女の子なんだからそんな事しちゃダメでしょ。
でも、なんでそんなに緩い・・・って、あぁっ!」
首を傾げ、不思議そうにしていた新八だったが、何か思い出したのか
足早に近付くと俺の背後へと回った。
そしてペロリと服を捲る。
「あ、やっぱりこれ、破れてるヤツですよ。」
「・・・・へ?」
ほら、ここ。そう言って新八はウエストの後ろ部分を
ポンポンと叩いた。
「この部分、ものっそく破れてるんですよね~。
繕おうと思ってて忘れてました」
そう言われ、手を回してみると、なるほど。
確かに後ろの真ん中の部分が破れてる。
それもさっくり。
「コレじゃ緩いはずですよ。
すみません、直ぐに変えのズボン出しますね」
「あ・・・いや、うん、いい。
自分で出すし」
申し訳なさそうな顔でそう告げる新八に、俺は軽く頭を振って
答えた。
新八は そうですか? と普通に返してくれたが、何故だろう。
神楽からの視線がものっそく生暖かい気がする。
それを気のせいだと言い聞かせつつ、俺は和室へと引き返した。
・・・うん、とりあえずアレだ。
やっぱ適度な運動は必要だ。
ご飯を美味しく食べる為にも必要だし、
気持ち良く寝る為にも必要だ、うん。
・・・でも、今一番必要なのは、部屋の片隅だよな。
俺はそっと部屋の隅で膝を抱える事にした。
うん、ちょっと体勢がキツイ気がするけど、
それもきっと気のせいだ。
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この後、長谷川さんあたりに
「幸せ太りじゃね?」と言われて完全復活(笑)