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外から帰ってくると、家の中が静かだった。
神楽暴れる音も、定春のノシノシ歩く音も、新八のものっそい歌声も
聞こえてこない。
んだよ、誰も居ねぇのか?
ダメだろ、銀さんを出迎えなきゃ。
寧ろ三つ指突いて、にっこり出迎えなきゃ。
特に新八。
とりあえず最早習慣となってしまった手洗いをし、
居間へと行くと、その向こうの和室で新八の姿が目に入った。
「あれ?いんじゃん。何?シカト?」
そんな事を思いつつ近付いてみると、どうやら新八は
寝ているようで、穏やかな寝息を立てていた。
「・・・って言うか、器用だな、おい」
どうやら雑誌を読んでいるうちに寝てしまったらしい。
壁に背中を預け、スヤスヤと寝ている新八の膝には、
広げられた雑誌が置かれている。
特集は勿論お通だ。
ってか殆ど伏字になってて
読めないんだけど、この記事。
新八の前にしゃがみ込み、雑誌をチラリと見た後、
そのまま目の前にある寝顔へと視線を移す。
本当、気持ち良さそうに寝ちゃってまぁ。
確かにこの場所は日差しが当たってポカポカと暖かい。
その上季節は春だ。
何処をとっても襲い来る睡魔に勝てる要素が見当たらねぇ。
だが、幾ら暖かくても、まだ流石に肌寒いだろう。
何か掛けてやるか・・・と思いつつも、視線は一点集中だ。
だって何かこう・・・可愛くね?
普段も可愛いけどな?寝てるとまた子供っぽさが増すって言うか、
心が癒されまくるってぇか・・・
なんだろう、新八からマイナスイオンが
バリバリ出てる気がする。
ってかこのほっぺもまたプクプクしてていいんだよなぁ。
そう思い、つい手を伸ばしてしまった。
その瞬間、ビクリと新八の体が振るえ、ゆっくりと閉じられていた
目が開けられていった。
「・・ん・・・冷たい?」
あ、そう言えばさっき手ぇ洗ってきたっけ。
ちょっとだけ反省。
今度からは十分温めてから触ることにしよう。
「あれ、銀さん?何時の間に・・・ってぇ!!」
目の前の俺を確認し、動こうとした新八が突然短く声を上げて
両手を前についた。
「・・・どったの?」
見れば小刻みにプルプルと震えている。
その姿を膝に肘をつき、その上に顎を乗せて眺めていると、
プルプルしたまま新八が顔を上げた。
その目にはうっすら涙なんか浮かんでいたりして。
「・・・もしかして足、痺れてる?」
そう問えば、コクコクと無言で頷かれた。
ま、そりゃ~そうだろ。
だってオマエ、正座して寝てたもん。
本当、何処まで行儀良いんですかって話だ。
だが、そんな新八に呆れる前に、ニヤリと口元が上がる。
「え~、どれどれ?」
「ちょっ!止めてくださいよ、銀さんっ!
僕、今マジでやばいんですからっ!!!」
ソロリと手を伸ばせば、新八が慌てたように逃げようとする。
だが、生憎痺れた足では逃げる事も出来ないようだ。
「いやいや、そんな事言われたら銀さんの
方がやばいからね、これ」
ニヤニヤと笑ったまま、ツンと新八の足を指で指せば、
途端に んにゃぁぁぁぁ!!!! と声を上げられた。
ちょ、何その鳴き声。
銀さんの心の方が痺れたんですけどぉぉ!!!!
再び指で突こうと近付くと、じわじわと新八が逃げ始めた。
「本当、止めてください・・・ってか止めろよ
このサディストォォォォ!!!!」
「よし、褒め言葉だな」
「褒めてねぇぇぇ!!!!本当、怒りますからね!
ってかもう怒ってますからね!!」
そんな事を言う新八は、顔を真っ赤に染めて
目をウルウルさせている。
「そんな顔して怒られても、嬉しいだけだから、銀さん」
「この変態ぃぃぃ!!!!!」
「うん、それも褒め言葉だな」
ニヤニヤ笑って新八の足をツンツン突く俺と、
なんとか逃げようとしながらも、怒鳴る新八。
「・・・何してるネ、そこのバカップル」
不意に背後から酷く呆れた声が聞こえ、ちらりと見てみれば
何処に居たのか、神楽が白けた視線をこちらに向けていた。
うん、それは最高の褒め言葉だ。
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ポジティブ坂田。
ちなみに育つのはサド心と歪んだ愛(笑)