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晴れ晴れとした空の下、元気良く神楽ちゃんと定春が駆けて行く。
それに転ばないように声を掛け、僕と銀さんは大きな木の下に
腰を降ろした。
「気持ち良いですね~」
柔らかに頬を撫でていく風にそっと目を閉じ、そう呟けば、
隣から肯定の返事が返ってくる。
今日は天気も良いので、三人でお買い物だ。
だけどまだタイムサービスには時間があるから・・・と
川原へと寄り道してみた。
「・・・あ、つくしだ」
ふと見れば、腰を降ろした傍に、数本のつくしが生えている。
本当、もう春なんだな~・・・
「ってか夕飯にどうかな?」
「いや、排気ガスとかあるから無理じゃね?」
思わずポツリと考えたことが出てしまい、銀さんから突っ込まれる。
あ、そうか。ここら辺も車とか通る時があるから無理か・・・
う~ん、残念。
オカズが一品浮くかと思ったのに。
「っつうかオマエさ、ここは普通に春を感じとこうぜ?
常に感じている万事屋財布事情じゃなくてよ」
「常に感じてなきゃどうしようもないんですよ、
その事情は」
呆れた顔で告げてくる銀さんに、僕もシラッとした視線を返す。
あぁ、でも銀さんの言う通り、ちょっと切羽詰りすぎかな?
・・・ま、リアルに切羽詰ってはいるんだけどさ。
そう思っていると、ゴロリと横になった銀さんがチョイチョイと
下の方を指差した。
それにつられ見てみれば、ソコには楽しそうに花を摘んでいる
神楽ちゃんの姿が。
その光景に、やんわりと頬が緩むのが判る。
「そうですね・・・折角ですもん、偶には嫌な現実を
忘れてゆっくりするのもいいですよね」
「そうそう。序に昨日パチンコですった金額も忘れてください」
「や、それは未来永劫確り記憶しておきますから」
きっちりと言い捨て、僕は後ろ手に手を付いて、空を見上げた。
その瞬間、そよそよとした風が体を撫でていく。
あ~、やっぱり気持ち良いや。
と、不意に手首に感じたくすぐったい感触。
なんだろうと視線をやれば、ソコには可愛らしい花が咲いていて。
「そう言えば昔、姉上がこう言う花で花冠を作ってくれました」
「へ~、結構そう言うの得意そうだもんな、オマエのネェちゃん。
今だって絶賛天使の輪っか作りまくってるし」
思わず一輪摘んで、そう言う僕に、肩肘を突いてこちらに
体を向けている銀さんが答えた。
「いや、あれは好きで作ってる訳じゃないですからね。
人の可愛らしい思い出を、
スリル満点な現実と比較しないで下さい」
とりあえず一言言ってから、そう言えばどうやって作ったっけ・・・と
首を傾げる。
そこで銀さんに聞いてみたが、どうやら銀さんも判らないらしい。
なんだ、折角神楽ちゃんがあんなに摘んでいるのだから、
作ってあげたかったのに。
「俺が知ってるってぇのは、せいぜい花占いぐらいだな」
そう言うと銀さんは、僕の持っている花へと手を伸ばした。
「確か・・・新八は銀さんの事が好き。大好き。
超好き。すっげー好き。
寧ろ愛してる・・・っておいおい、参ったね。
愛されちゃってるよ、銀さん」
「っておぉぉおいっ!!!違いますよね、
全然違ってますよね!?」
普通は『好き・嫌い』でしょっ!と言うと、
そんなありもしねぇ可能性は含めない。と言い切られた。
・・・や、全然有り得るから含めろよ。
寧ろ四分の三ぐらいの配分で。
「じゃあ、今日新八は泊まってく。連泊してく。
毎日泊まってく。
寧ろ引っ越してく・・・」
「最早占いでも何でもねぇぇ!!!」
だが銀さんは何処吹く風。
後は~・・・と呟いてうつ伏せになり、ゴソゴソと手元を動かした。
そして僕の名を呼ぶと、チョイチョイと手招く。
なんだろう・・・と不思議に思いながら近付くと、
銀さんは僕の左手を取り、そっと何かを指へと嵌めていく。
見れば僕の指・・・(しかも薬指!)には、可愛らしい花の
指輪が。
「春は恋の季節・・・ってね」
その言葉と視界に入るモノに、急激に頬が熱くなり
下を向いたところで、上半身を起こした銀さんの唇が
ちゅっ
と押し付けられ、僕の頬はますます熱さを増す事になった。
・・・花占いって案外馬鹿に出来ないかも。
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春なのでイチャコラさせてみようと思ったら、
こいつらは季節関係なくイチャコラしてると気付いた。