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「新八~、ちょっと手を貸すネ」
久しぶりにあった仕事のお陰で、現在ちょっとだけ何時もより
懐具合が良い万事屋。
なので今日はちょっとだけ豪勢に・・・と、傍から見れば涙を誘う
ものだが、それでも立派なオヤツタイムを満喫し、
お茶を飲んでいた所、不意に神楽にそんな事を言われた。
「?はい、でも何・・・ってオイィィィィィィィ!!」
不思議に思いながらも素直に向かいのソファに座っている神楽に
手を差し出すと、すぐさまその手を掴まれ、人差し指を食べられた。
突然の訳の判らない行動に、焦りながら必死に手を奪い返そうとするが
残念な事に力の事では神楽の方が数倍上だ。
「何?何なにナニ~!?今オヤツ食べたばかりなのに
まだ食べる気?無理、無理だから本当!生肉はお腹壊すから!!」
焦るあまり、常識的ツッコミはなされていない・・・が、新八は
かなり真剣だ。
そして自分ではどうしようもないと判断し、神楽の隣に居る銀時に
助けを求める。
・・・が、銀時は目の前の状況にも関わらず、ボーッとしている。
「・・・って、え?ナニ・・・とちょっ・・・アレ?え?あの・・・
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!??」
と思っていたがそうではなく、かなり動揺していたようだ。
出てくる言葉は意味不明で、先程まで見ていたジャンプが
真っ二つにご臨終されている。
その間も神楽は歯は立ててないものの、フニフニと指を加えたまま
首を傾げている。
「ちょっ神楽お前何してんの!そう言うのは銀さんの役割でしょ!!
ほら、早くペッてしなさい!ペッて!!!」
そう言いながら神楽の額と新八の手を掴み、力任せに引き離す。
「あ~、良かった有難うございます
・・って銀さんの役割でもないでしょ、んなもん!」
それでも律儀に銀時に礼を言い、自分の指の無事を確認し、ホッと
安心する新八。
それと反対に、神楽は不満げな表情だ。
「は~・・・で、何だったの、今のは」
新八はそんな神楽に一つ息をつき、問い掛けた。
「全くだ、あんな羨ましい事をまぁ・・・銀さんだって日頃
我慢に我慢を重ねて、この突っ走りそうになる10代の如き少年魂を
押さえ込んでだな~。あ、でも夜は別だよ?夜はもう夕日に向かって
走る中二の少年の如く・・・」
「アンタは黙っててください」
「・・・はい」
「・・・・しなかったネ・・・」
ブツブツと文句を言い始める銀時を、低い声と冷たい視線で固めた所、
ポツリと神楽が声を発した。
が、小さい声だったのであまり聞こえず、再度問い掛ける。
すると神楽はムスッとした顔を上げ、答え始めた。
「前にでっかいゴキブリ出た時に銀ちゃんが言ってたネ。
新八は何味だったか~って。それはもう引くぐらい真剣に何度も
言ってたネ。だから味見したのに・・・」
無駄だったネ。そう言った神楽に、新八は大きく肩を落とした。
「だからって神楽ちゃん・・・そん事しなくても・・・」
「だって新八、料理してるから味が染み込んでるかと思ったヨ。
銀ちゃんもそう思ったから味見してたんじゃないアルか?」
「「はぁ!?」」
「この間ソファで新八が昼寝してた時、銀ちゃんが・・・」
「かぁぐらぁぁ!駄目だろ~が、人様の指なんか舐めちゃ~よ~!
お父さんはそんな娘に育てた覚えはないと思うよ~?」
「いや、銀さん、今なんか・・・」
「銀ちゃんに育てられた覚えはないアルネ。」
「や、そうじゃなくて神楽ちゃん。さっきの続きは・・・」
「い~や、ほら思い出せってあの頃の日々を!ホラ、アレだ。
この世に生きる喜び、そして悲しみを語りあったアレだ。」
「知らネーヨ。
って言うかマダオに育てられる程安い女じゃないネ、私は」
「安心しろ、お前は酢昆布で釣られる十分安いマスコットだ」
「酢昆布を馬鹿にするヤツは酢昆布で吐くアルよ!!」
「上等じゃねーか!吐くのなんかな~、得意中の得意だって~の!
罪暦以外ならなんぼでも吐いてやるわァァァ!!」
とんでもなく気になる事を神楽が口にしたのだが、それを聞く事は
もう無理であろう。
突如始まった二人のバトルに避難しつつ、新八はとりあえず
「・・・暫くここに泊まるのはやめよう」
と、硬く心に誓ったのであった。