[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
その日の天気は日中曇り、夕方からは雨という予報だった。
「あ~、本当に降って来ましたよ~」
新八は窓を少し空け、既に暗くなった空を見上げた。
しとしとと降る雨は、このまま明日の朝まで残るのだと言う。
「酷くならなきゃいいけど・・・」
「・・・別に酷かったら泊まってけばいいんじゃね?」
その言葉に、それまでジャ○プを読んでいた銀時がポツリと
口を開いた。
「・・・で、明日の朝御飯を作らせる気ですか」
明日はアンタの当番でしょ。じとりと視線を寄越す新八に、
銀時は や、それもあるけどよ・・・とジャ○プを上げて視線から逃げた。
全く・・・と文句を言おうとしたその時、玄関から来訪を告げる
音が響き、新八の意識がそちらへと向いた。
「お、客だ客」
それに ナイスタイミング とばかりに銀時が腰を上げ
玄関へと急ぐ姿に、新八は深々と溜息を零した。
でも、本当に酷くなるようだったら泊まっていってしまおうか。
ただでさえ寒くなってきてるのに、雨にまで濡れたら
それこそ風邪をひいてしまう。
雨の降る窓を見上げながらそう考えていると、
玄関の方で銀時の声が響いてきた。
もしかして何かの勧誘だったのだろうか。
不思議に思った新八が、玄関へとひょっこり顔を出す。
生憎銀時の体で誰かは判らないが、聞こえてくる声は
見知った人物を現していて。
「あ、やっぱり沖田さんだ。」
銀時の体から顔だけ出してみると、そこには隊服に身を包んだ
沖田が軽く手を上げて新八へと挨拶をしてきた。
それに対し新八も軽く頭を下げる。
・・・だが、何故こんな時間に沖田がここに居るのだろう。
コトリと首を傾げる新八に、銀時は頭を掻きながら
嫌そうな声を出した。
「雨が降ってきたから雨宿りさせろってよ。
全く、ウチは『警察立寄り所』なんて看板出してねぇっての」
「沖田さん、傘持ってないんですか?」
「おぅ、まさに水も滴るいい男でさァ」
言われて見れば肩等がうっすらと水気を帯びている。
あ、タオル!と気付いた新八が慌てて踵を返す。
呆れたような声が銀時から聞こえたが、流石にそのままでは
可哀想だろう。
新八は風呂に入っている神楽に一言声を掛けながら、
洗面所からタオルを一枚、手に取った。
そして足早に玄関へと戻ると、沖田へと手渡す・・・が、
何故か沖田はそのまま新八へとタオルを差し出してきて。
「・・・なんですか、その手は」
「序だから拭いて下せェ」
ニンマリと笑顔で言われ、今度は新八の口から呆れたような
溜息が零れた。
だが、それなりに長い付き合いだ。
こうなったらどんなに拒んでも、やるまで言い続けるだろう。
新八はもう一度大きく息を吐くと、渡したタオルを手にとって
ガシガシと力任せに頭を拭き始めた。
「いててて。ちょ、もう少し優しくして下せぇ。
現在進行形で硝子の十代なんで」
「防弾硝子の癖に何言ってんですか。
いいからじっとしてて下さい!」
「や、その前になんで拭いてやってんの!?
あれ?前銀さんがお願いした時、全くの無視だったよね?
全力でスルーだったよね!?」
「そう言やぁ新八は帰りどうするんでィ?」
「え、今もスルー状態!!?」
煩い銀時の言葉はそのまま無視して、新八は沖田の髪を拭きながら
微かに首を傾げた。
「どうするって・・・普通に帰りますよ?」
傘持ってますし。そう言う新八に、段差のせいか何時もより
下にある沖田の口元がユルリと上がった。
「なら早いトコ帰った方がいいですぜィ?
なんでもこれから酷くなるらしいからねィ」
「え、そうなんですか?」
「ご心配ど~も!
でも全然大丈夫だからっ!」
沖田の言葉に驚く新八を、横に立っていた銀時がグイッと自分の下へと
引き寄せた。
「酷くなったら新八は泊まってく予定だしな。
あ、なら別に傘いらなくね?沖田君に貸してやればぁ?」
「や、別にそう決まったわけじゃ・・・」
「いやですねィ、旦那。
俺は貸しを作るのは嫌いなんでぇ。
返すのも面倒臭ぇし」
って事で。と、沖田は銀時の腕の中の新八の腕をギュッと掴む。
「新八ぃ、送ってってやるから家まで入れてって下せぇ。」
「はぁ!?ちょ、沖田君、君の住処は新八とは反対方向ですけどぉ?」
「や、どうせ明け方にはゴリ・・・近藤さんを迎えに行かなきゃ
いけねぇですし、序に泊まらせて貰おうかなぁ・・・と」
「やな序だなぁ、おい。
ってかそう言う理由だったら、毎日新八の家に泊まれる事に
なんだろうがぁぁ!そんなの銀さんは認めませんよ!?」
「なら住み着いてからの
事後承諾コースを狙いまさァ。」
「余計ダメだろうがぁぁぁ!!!!
オラ、傘なら貸してやるからとっとと帰ぇれ帰ぇれ」
「判りやした。
じゃあ新八、帰りやしょう」
「銀さんの傘を だ。
新八の傘も、新八も貸しませんっ!!」
結局・・・
「・・・なんでコイツが居るネ」
神楽が風呂から出てくれば、何故だか力なく項垂れている銀時と、
先程まで居なかった・・・と言うか基本この家に居ない存在が
楽しげにソファに座っていた。
「・・・雨が酷くなったんだよ」
「はぁ?」
「あ、旦那ぁ。布団足りねぇようなんで、
俺は新八と一緒の布団でいいでさァ」
「テメーはソファに決まってんだろうがぁぁ!!」
「おいおい、お客に向ってソファで寝ろってんですかィ?
流石俺を上回るドS性質でさァ」
「そうですよ、銀さん。
一応、歓迎もしてないですけどお客様なんですよ?
そんな事出来るわけないでしょ」
「な、なら銀さんと新八で!
ほら、沖田君お客様だから。
お客様にそんな狭い思いさせられないからね?」
「や、そこまで気を使って貰うほどの客じゃねぇんで。
そこは構わねぇで下せぇ」
「そうですね~。銀さんと僕じゃどっちかはみ出しちゃうし。
いいですか?沖田さん」
「我が侭言える立場じゃねぇしねェ・・・
願ったりでさァ」
「や、十分我が侭言ってるよね?
寧ろ我が侭しか言ってないよね?
って言うか本音丸出しなんですけどぉ!!」
「・・・と言うか電話して引き取りに来させればいいネ」
神楽の当たり前の発言に、騒ぐ三人は気づく事はなく、
定春だけが呆れたように一声だけ鳴いたのであった。
**********************
六万打企画第二段。とむ様からのリクで、
「本気を出した沖田の沖新話」と言う事でしたが、
如何だったでしょうか?
多分まだまだ本気を出してはいないと思われます、この沖田(笑)
ウチの10代組みを気に入って頂けてるようで嬉しい限りです~v
これからもチョクチョク書いては坂田に嘆いてもらう
つもりですので、これからもどうぞよろしくお願いしますv
企画参加、有難うございましたv