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―――坂田銀時、そろそろ覚悟を決めようと思います。
新八の帰ってしまった夜、神楽にそう宣言すると、非常に残念な顔をされた。
「銀ちゃん・・・とうとう覚悟を決めて糖尿と共に
生きて行く事にしたアルカ」
「いやいや、なんで?何度も言うけどまだギリギリセーフだから!
ってか共に生きるのは新八と決めてるから、銀さん!!」
「新八と同じ年月生きてられると思ってるアルカ、
この糖尿が。
身の程知らずもいいとこネ」
「いやいやいや、そういう意味じゃねぇから。
ってか糖尿じゃねぇって言ってんだろうがぁぁ!!」
机を力強く叩きながらそう言うと、神楽は不思議そうに首を傾げた。
どうやら目の前の小娘は、まだ俺のとんでもない覚悟が判らないらしい。
俺は深々と息を吐き出した後、仕方なく教えてやる事にした。
「・・・坂田銀時、そろそろ告ろうと思います」
重々しくそう告白すると、重々しい拳が俺の頬に炸裂した。
くだらねぇことに時間を使わすんじゃねぇよ。と吐き出すように
神楽に言われた気がしたが、多分気のせいだ。
だってもう、記憶飛んでたからね。その時の銀さん。
「銀さん、起きて下さい!」
愛しい声に呼ばれ、目を開けばそこにはやっぱり愛しいあの子。
・・・が、その向こうは何時もの和室の天井ではなく、居間のものだった。
・・・あれ?なんで俺、こんなトコで寝てんだ?
おまけになんか頭ってか顔が痛いんだけど・・・あれ?
昨日酒呑んだっけ??
理由が判らず、頭を掻きながら起きれば、そこには呆れた顔をした
新八が腰に手を当ててこちらを見ていた。
「全く・・・なんでこんなトコで寝てんですか」
「いや・・・なんでだろ??」
素直にそう言うと、新八は大きく息を吐き出した。
「新八~、そんなに溜息吐いてると幸せが逃げんぞ?」
「誰がそうさせてんですか」
新八の言葉に一瞬頭を捻る。
誰って・・・俺だな。銀さんだな。
出てきた答えに、少し頬が緩む。
なんにせよ、新八が俺の事で・・・ってのは嬉しい。
あ、大丈夫だから。溜息吐いても全部銀さんが
吸い込んでやるから。
それでもって全力で幸せにしてやるから、銀さんが。
って・・・・
そこまで思い、漸く昨日の事がおぼろげに思い出されてきた。
そうだよ、俺重大な決意したじゃん!!!
朝食を作りに行こうとしたのだろう。台所へと向かおうとしている
新八の手を慌てて掴む。
それに新八は、キョトンとして振り返った。
よし、言うぞ!
言っちまうぞ!!
俺はゴクリと唾を飲み込むと、新八を見詰める目に力を入れた。
そんな俺を不審に思ったんだろう、新八はコトリと首を傾げて
未だ上半身を起こしたのみの俺に合わせ、腰を曲げてきた。
「どうかしたんですか?銀さん」
いや、どうしたもこうしたも・・・ち、近くね?
どう見ても近いよね、この距離!!
だっておまっ!
軽くいつもの距離超えてんじゃねぇかぁぁ!!!
いつもはさ?身長差もあってさ?ある程度取られてるじゃん?距離。
しかも上から目線だから、そんなにきっちり見えねぇんだよ、顔とか。
・・・ま、その分鎖骨とか項は見放題だけどな。
アレだね。色んな意味で背が高くて良かったと思ったね、銀さん。
初めて真剣に自分を褒めたよ、
本当。
あ、いや、それは今は置いといて。
・・・だからよぉ、こんな真正面で・・・とか。
しかもこんな至近距離で・・・とか。
心臓に超悪いんですけどぉぉぉぉぉ!!!!
もう信じらんねぇぐらい心臓バクバクだから、銀さん!
今までで一番活発に活動してるから、心臓ぉぉぉ!!!
お陰で、血流がものっそい勢いで流れまくってるからね。
あ、主に頭ね。ってか顔ね。
それは仕方ないと諦めてやるから、
下には行くなぁぁぁぁ!!
「銀さん?本当どうしたんですか?ってか大丈夫ですか?」
無言のまま固まってしまった俺を益々不審に思ったらしい。
新八は心配げに眉を下げ、俺に掴まれていない方の手を、
俺の額へと伸ばしてきた。
どうやら具合が悪いと思ってるらしい。
そりゃそうだろ。だって俺、きっと今顔赤いしな。
あ~、でも心配してくれんだな、新八。
嬉しいなぁ、おい。・・・ってダメだろ、自分。
このチャンスを逃がしてどうすんだ!
奮い立て、俺の覚悟!!
そして今は立つな、俺のナニか!!!
俺はもう一度コクリと喉を鳴らすと、伸ばされたもう一つの手も
ギュッと握り締めた。
そして・・・
「新八・・・オマエの味噌汁を毎日飲ませてくれ」
覚悟を決め、そう告げた。
俺の決死の言葉に、新八はキョトリと目を丸くしたが、
すぐにクスリと笑みを浮かべてきた。
その笑みに、俺は何処かでラッパの音が鳴るのを聞いたような気がする。
思わずそれまで緊張していた距離を気にせず、
新八の方へと身を乗り出そうとしたが、何故か距離は離れてしまった。
「し・・・新八?」
見れば辛うじて手は握られているものの、新八の腰は伸ばされていて。
戸惑う俺に、新八は一つ息を吐くと、苦笑を浮かべ、
「仕方ないですね、今日は豆パンの予定でしたけど
特別にご飯にしてあげます」
そう言い、両手を握っていた俺の手を一纏めにすると、ポンポンと軽く
叩き、そっと手を離した。
ダラリと落ちるのは、俺の手と気合を入れた心。
「でも、ちゃんと毎朝飲みたいなら、サボらず仕事して下さいよ?」
お味噌もただじゃないんだから!人差指を立て、俺にそう言うと
新八は今度こそ台所へと向っていってしまった。
「・・・馬鹿丸出しネ、銀ちゃん」
何時の間に起きたのか、居間の入り口で非常に残念そうな
顔をした神楽がこちらを見ていた。
どうやらラッパの音だと思ったのは、神楽が襖を開けた音だったらしい。
・・・いや、て言うか今銀さん、全力で告ってたよね?
「寧ろ全力でヘタレだったアル」
「って心の声に返事してんじゃねぇよ、
ゴルァァァ!!!」
「顔に書いてあるヨ。そんな男と共に生きていってくれるのは
最早糖尿しかないヨ。覚悟決めるヨロシ」
「マジでか!?
ってかそんな覚悟はいらねぇんだよぉぉぉぉ!!!!」
「・・・って僕、毎朝作るっての拒否してないんだけど」
判ってんのかな、あの人。そう言って微かに頬を染め、
照れ臭そうに笑う新八を、居間で絶叫している銀時が知るのは
まだまだ先のお話・・・。
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二万打お礼企画第七弾。
もんちょ様からのリクで「すれ違い銀新(ギャグ)」と言う事でしたが
如何だったでしょうか?
こんな感じのすれ違いで良かったでしょうかι
再びのリクエスト、お待たせしてすみませんでしたι
これからも楽しんで頂けるよう頑張りますので、
お付き合いよろしくお願いしますvv
企画参加、有難うございました♪