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買い物の帰り、今日は大丈夫かな・・・と通り掛った公園に寄った。
・・・時々ここで昼寝してる沖田さんと格闘・・・と言うか死闘?を
繰り広げてるんだよね、神楽ちゃん。
はははっ、と幾分乾いた笑いを零しながら一応一回りしてみると、
良い事と悪い事があった。
良い事は神楽ちゃん達が居なく、公共物が壊された気配も
なかった事。
悪い事は・・・公園の隅にある大きな木の下に、何処かで見た
お方がいらっしゃる事。
お陰で僕は思わず、公園の真ん中辺でフリーズしてしまった。
や、別に何も見なかった振りしてその場を後にすれば良かったんだけどね。
でもあまりの事に、思わず二度見してからガン見しちゃったから。
相手もなんか気付いちゃってるみたいだから。
・・・ま、公園内に僕とその人以外誰も居ないからね。
度々行われる神楽ちゃん達の死闘に、ここって人が
寄らなくなっちゃったんだよね・・・
思わず遠くに視線を飛ばしたくなるのも仕方がない。
・・・が、このままだと視線所か魂も
遠くに飛ばされそうだ。
とりあえずジリジリと後ずさりしてみる。
よく見れば、向こうはまだはっきりと僕が誰なのか確定していないらしく、
僅かに首を傾げているのが見えた。
なら思い出される前に立ち去ってしまおう。
僕はそれでも軽く頭を下げ、そのまま公園を出ようと後ろに足を一歩
踏み出した・・・が、既に遅かったらしい。
木の下の夜兎族な片腕のお方は、
「あぁ、あの時の坊主か」
・・・と、軽く人差指を立てて下さった。
「あ~、そんな警戒しなくていいから。言ったろ?あん時は仕事。
俺ァ案外平和主義でねぇ」
そう言ってニンマリと笑う男に、それでも警戒を解かずに
少しだけ近付いてみる。
幾らそう言われても、出会い方が出会い方だ。
神楽ちゃんの事もある。
しかも居る場所がこの公園だ。
何か考えているのかもしれない。
「じゃあなんでこんな所に居るんですか?」
僕はとりあえずこの場所に居る理由を聞いてみた。
誤魔化されるかもしれないけれど、やっぱり聞かずにはいられない。
すると男は大きく肩を竦めると、小さく首を横に振った。
「団長の御守も大変でねぇ・・・坊主は買い物帰りかい?」
「坊主じゃなくて新八です」
「あぁ、新八ね。・・・そういやぁ団長の妹がそう呼んでたっけなぁ」
思い出すように視線を上に向け、顎を摩ると、自分も名乗ってくれた。
が、だからって警戒を解く事は出来ない。
じっと見詰めていると、向こうも繁々とこちらを見詰めてきた。
な、なんだろう?なんかイチャモン付けられるのかな?
そりゃ~流石にあんな事があったんだし・・・や、でも
酷い目に合ったのは僕の方だよね?
刺したって言っても、既にない腕の方だったし!!
あ、でも仕事を邪魔したってのには変わりないのかな?
あ~もう、なんで僕公園なんかに寄っちゃったんだろう!!
グルグルとそんな事を考えてると、阿伏兎さんはしみじみとした
口調で言葉を発してきた。
「しかし・・・ぱっと見気が付かなかったぜ。
そんな格好してたから」
そう言われ、僕は首を傾げる。
そんな格好も何も、至って普通の格好だと思うんだけど・・・
ってそうだった!!僕、あの時女装してたじゃん!!
「や、違いますよ!?アレはあの時だけですから!
非常事態故の格好ですから、あれはぁぁ!!」
女装が趣味だと思われては困る!とばかりに力説すると、
阿伏兎さんはゆっくりと顎を摩り、
「そうなのか?結構似合ってたと思うがねぇ」
こう、ミョーンと髪縛って。と、妙に可愛らしい効果音と共に
額に持って来た手を上に上げた。
「あ、あれは銀さんが調子に乗って無理矢理・・・」
その時の事を思い出し、僕は顔に熱が集まるのを感じた。
や、あの時は別になんとも思わなかったけどね。
僕もテンション高かったし・・・けど、いざ全て終わって
自分の格好を認識した時の恥ずかしさと言ったら!!
真っ赤になっていると、阿伏兎さんは少しだけ首を傾げ、小さく
何かを呟いた。
「・・・あぁ、あの団長が気に入ってたのね。
いやいやどうして。いい趣味してんじゃねぇか」
ニマニマと笑う阿伏兎さんに、少しだけ身を引いてしまう。
先程とは違った意味で。
「・・・や、ソコで同意されても、ものっそく反応に困るんですけど」
「そうか?ま、若者にはまだ理解できないかねぇ」
まぁいいか。そう言うと阿伏兎さんはチラリと空を見上げた。
つられて僕も見るが、ソコには何もない。
不思議に思ってたのが顔に出たのだろう、阿伏兎さんは少し苦笑を
浮かべると、どうも陽射しがねぇ。と口にした。
その言葉に夜兎族の特性を思い出したけど、やっぱり不思議だ。
だって阿伏兎さんの傍には、木に立て掛けられてる傘がある。
僕の視線に気付いたのか、阿伏兎さんは傘を手に取ると
パンと勢い良く広げた。
一瞬攻撃されるかと身構えたが、ただ開いただけのようだ。
「なんもしねぇよ」
苦笑したままそう言うと、ゆっくりと開いた傘を僕へと向けた。
少しだけホッとしたと共に、小さな声が飛び出る。
「・・・穴?」
その声に、阿伏兎さんは少しだけ肩を竦め、傘をその肩に寄せた。
なんでもここらを歩いている途中、何処からか
鉄の塊が飛んできたらしい。
それも強硬さを誇る傘を突き破るほどの勢いで。
「ま、これぐらいならそんなに不自由はないんだがねぇ」
休憩もかねて、ここで一休みしてたんだよ。そう告げる阿伏兎さんに、
僕は少しだけ嫌な汗をかいてしまった。
だって、そんな物凄いのが飛んできたって!!
多分その犯人であろう二人に思い当たり、ヒクリと頬が引き攣る。
「そ、それは災難でしたね~」
「本当にな。しかしあんなモノが自然発生する訳ねぇし、
一体どんなヤツが・・・」
「あ!僕いいの持ってますよ!!」
思案するように眉を顰める阿伏兎さんに、僕は慌ててそう告げると、
持っていた風呂敷へと手を突っ込んだ。
た、確かこの中に・・・って、あった!!
目当ての物を無事見つけ、僕はそれを取り出しながら
阿伏兎さんへと近付いた。
そして阿伏兎さんにさしている傘を少し下げてもらうよう告げる。
僕は開いている穴に手を伸ばすと、取り出したものを数枚、
その部分に貼り付けた。
「絆創膏?」
貼られた物を見ながら、阿伏兎さんが呟く。
「ってかえらく可愛らしいんだなぁ」
笑う阿伏兎さんに、僕も苦笑する。
そう、絆創膏は絆創膏でも、可愛らしいイラストのついたものだ。
神楽ちゃんが怪我した時の為に、何時も持ち歩いてたんだよね。
「すみません。でもこれで少しはマシになるんじゃないですか?」
貼った場所も内側だし、そんなに目立たない・・・と思う、うん。
阿伏兎さんは傘を上にあげ、クルリと回すと ま、そうだな。と
言って笑った。
そして傘を首と肩で挟むと、一つしかない腕を僕へと向けてきた。
って僕、気が付けばメッチャ至近距離にいんじゃん!!
思わず首を竦めたが、伸ばされた手はそのまま僕の頭へと乗せられ、
やんわりと優しく撫でられた。
想像もしていなかった行動に、思わず顔を上げると、
やんわりと笑っている阿伏兎さんの顔が。
「目が転げ落ちそうだな、それ」
落っことすなよぉ。そう言うと仕上げとばかりにポンポンと叩かれ、
阿伏兎さんは木の下から出て行った。
さよならの変わりか、緩く傘を振りながら。
「・・・なんか変な人」
あ~疲れた~。そうぼやくものの、ほんの少しだけ口元が
緩むのを感じた。
「・・・ね、新ちゃん。今日の午後、何処行ってたの?」
「午後?別に買い物に行ったぐらいですけど・・・
ってか銀さん、顔怖い」
「大丈夫、銀さんそんなに怒んねぇから。本当の事言ってみ?な?」
「いや本当も何もそれだけですけど・・・って銀さん、顔怖いですって」
「違うだろ?買い物だけじゃねぇだろ?言ってみって、マジで」
「しつこいなぁ、それだけですよ。
って本当、顔怖いんですけど!?」
「怖くもなるわコノヤロー!!ネタは上がってんだぞ!!
真昼間の公園で堂々浮気しやがって!!!」
「はぁ!?何言ってんですか、そんなのしてませんよ」
「してましたぁ、長谷川さんが見てましたぁ。
木の下で他の男とイチャコライチャコラ・・・なんだオイ!
伝説の木気取りですかコンチキショー!!!」
「・・・あ」
「あ!?あ ってなんだおいぃぃ!!
やっぱりか、やっぱりなのか!?
お仕置きじゃコノヤロー、
お願いだから捨てないで下さい!!」
「って足に縋りつきながら
脱がそうとしてんじゃねぇぇ!!!」
その晩、強制的にお泊りとなった新八は、昼とは違った意味で
疲労困憊となり、二度と寄り道はしないと固く誓ったのであった。
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二万打お礼企画第八弾。
Mag.様から、どちらでも書き易い方で・・・と
リクを頂きましたが、こちらも書いてしまいましたι
「銀新前提なあぶはち(阿伏兎×新八)」です。
すみません、調子に乗ってι
私もちょっと気になったんで(笑)
こんな感じになりましたが、少しは楽しんで頂けたら
嬉しいですvv
企画参加、本当に有難うございました♪