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くるくると思ってたら、とうとう来たらしい。
突然の激しい雨音と、新八の残念そうな声が聞こえてきた。
「何?雨?」
目隠し代わりにしていたジャ○プを上に上げ、ちらりと見れば
新八が窓の外を眺め、
「えぇ、それも結構な激しさで・・・」
神楽ちゃん、大丈夫かな?と心配げに呟いた。
それを聞き、昼ごはんを食べた後、新八の言葉も聞かずに
弾丸のように飛び出していった少女の事を思い出す。
・・・確か曇ってたから、傘持って行かなかったんだよな、あいつ。
夜兎族としては納得できる行動だが、普通は反対だ。
見れば置いてかれた定春も、幾分心配そうに外へと視線を
向けている。
「大丈夫だろ。アイツだって雨宿りする知恵ぐらいあらぁな」
「アンタ、それ聞かれたら問答無用でぶん殴られますよ?」
早めにお風呂入れちゃいますから、後頼みますね。
そう言うと新八は風呂場へと足を向け、そのまま外へと出て行った。
多分迎えに行ったのだろう。
「全く・・・心配性なかぁちゃんだねぇ」
とりあえず言われた事をする為、渋々体を起こす。
そしてお湯の加減を見る為、風呂場へと行こうとし、少し考えて
箪笥からバスタオルを数枚、玄関へと持っていった。
・・・いや、銀さんのは心配とかじゃなくて
気遣いだからね。
「ただいまヨ~」
「ちょ!神楽ちゃん、そのまま上がらないで!!」
雨音の激しさが収まらないまま、それ以上の激しさで万事屋の
玄関が開けられた。
どうやらきちんと弾丸少女を見つけられたらしい。
「はい、これで拭いて!お風呂出来てる筈だからそのまま入っちゃって」
「はいヨ~」
そのまま居間へは来ず、風呂場へと走っていく音が聞こえる。
それから少しして、バスタオルを持った新八が
居間へとやって来た。
「おぅ、ご苦労さん」
「はい。銀さんも有難うございます」
そう言って微かにバスタオルを上げられ、俺は寝たまま軽く手を振る。
「ってかアイツ、やっぱ濡れてたのか」
「えぇ、しかも雨宿りもせずヒョコヒョコ歩いてましたよ」
大きく息を吐き、新八は肩を落とした。
せめて走ってくるぐらいの事はして欲しかった。と苦笑するが、
神楽の気持ちも判るのだろう。そんなに怒っておらず、
寧ろ心配げだ。
「風邪、引かなきゃ良いんですけど・・・」
「そんなチャレンジャーな菌はいねぇだろうさ」
そう告げた時、風呂場から大きな声が発せられた。
「新八ぃ、着替えよろしくネ」
「あ~、はいはい。今持ってくから」
新八は返事を返すとバスタオルを抱えたまま箪笥へと行き、
神楽の着替えを持つと風呂場へと行ってしまった。
あ~、本当。甲斐甲斐しいったらないね。
・・・・ってアレ?なんか変じゃね?
いやいや、幾ら家族っぽいって言ってもさ?
幾ら脱衣所と風呂場が仕切られてるって言ってもさ?
お前ら、思春期じゃね?
ぼんやりと新八を見送ってしまった後、不意に沸いた疑問に
グルグル頭を回していると、遠くの方で
「着替えここに置いとくからね。ちゃんと暖まるんだよ~」
という声が聞こえた。そして、
「判ってるネ。あ、序に一緒に入るカ?新八も濡れたアル。
迎えに来てくれた礼に、特別に許してやるネ」
と言う呑気な神楽の声も・・・っておい!
何ソレ、どんなギャルゲー的フラグゥゥゥ!!?
ちょ、待て神楽。オマエはそんなキャラじゃねぇだろうが。
違うから。お前はそう言っていいキャラじゃねぇから!
そう言う台詞は銀さんに任せときなさいぃぃ!!!
思わず体を起こし、いざとなったら乱入してでも
止めてやろうと決意していると、
「え~、やだよ。狭いし神楽ちゃん暴れそうだし」
・・・と言うこれまた呑気な新八の返事。
って新ちゃんも違うよね、その答え。
ここは普通恥ずかしがってドモリながらも
神楽の発言を窘める所でしょぉぉぉぉ!!?
で、頬染めながらこっちに帰って来て、俺にブチブチ文句を
言いながらも
「でも・・・銀さんとなら一緒でもいいかも・・・」
とか言ってますます顔を赤らめる場面だよねぇ!?
あ、いやこれ妄想じゃないから。
前に見た予知夢的ものだから、本当。
そんな事を思っていると、普通の顔をした新八が
居間へと帰って来た。
恥ずかしがっても、照れてもいない。
・・・なんかやっぱ違うな、コレ。
俺は一つ息を吸うと、新八へと声を掛けた。
「ん?なんですか?」
「や、なんですかって、おま・・・今の会話、何?」
そう言うと新八は不思議そうに首を傾げた。
「会話って、風呂が狭いってやつですか?」
本当なんだから仕方ないじゃないですか。文句を言われたと
思ったのだろう、新八は少し口を尖らせてそう答えた。
いやいや、そうじゃなくてね。
「新八のキャラで言うと、ああいう時って恥ずかしがらね?」
湾曲に言っても伝わらないだろう・・・と、直球で聞くと、
新八は あぁ と軽く頷いた。
「アンタがどんなキャラ設定で僕を見てるか知りませんが、
神楽ちゃんの洗濯物、誰が洗ってると思ってるんですか?」
パンツも漏れなく洗ってんですよ、僕。そう冷静に告げ、新八は
そのまま和室へと戻っていった。
・・・へ~、洗ってんだ、新ちゃん。
で、洗わしてんだ、神楽は。
・・・ね、君達思春期だよね?
花も恥らうお年頃ってやつだよね?
男の子と女の子だよね?一応ぉぉぉ!!
いや、安心したよ?銀さんめっちゃ安心した!
・・・でも・・・あれぇぇ!!??
風呂場から聞こえる神楽の鼻歌と、和室から聞こえる新八の鼻歌を
聞きながら、とりあえず思春期って何だっけ?と
一生懸命考えてみた。
・・・多分俺の知ってる思春期と、
ヤツラの過ごしている思春期は性質が全く違うと思う。
って言うか、まだ思春期とかに入ってないんじゃね?
とりあえずそういう考えに落ち着いた。
けれど、俺が一度冷静になろうと洗面台に顔を洗いに行った時、
神楽と新八から非常に鋭い軽蔑的視線を送られたのは何故なのか、
誰か説明してください。
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蒼さんとの考察の結果、こうなりました(笑)
新ちゃんも神楽も、お互いは別に大丈夫でも
坂田は別(大笑)