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「おい、どうした」
「あ、土方さん」
巡察中、道端で蹲っている見慣れた姿を見つけた。
調子が悪いのかと、少しばかり慌てて声を掛けのが悪かったのか、
返ってきたのはきょとんとした顔と声。
この場合、不思議そうにするのはこちらの方だと僕は思いました。
・・・て、あれ?また作文???????
コホンと一つ咳を吐いて気を取り直し、既に立ち上がって
呑気に挨拶なんぞしてくる少年、志村新八に向かって
土方は先程の体勢の理由を問い掛けた。
すると、恥ずかしそうに視線を伏せ、首筋を掻きながら
ちらりと袴の裾を上げた。
って、上げた!!!???
思わず視線が普段晒される事のない素肌に目がいき、固まってしまう
土方を余所に、新八はそのまま軽く足をあげ、プラリと振った。
「どうも鼻緒が切れちゃったみたいで・・・」
使い込んでたから、寿命ですかね?気恥ずかしげに告げる新八に、
土方は漸く視線を草履へと移した。
「あ?・・・あぁ、鼻緒・・・」
確かにプツリと切れているらしく、新八の足から離れ、プラプラと
揺れている。
それを見て土方は片膝を着くと、新八の足をそっと掴んだ。
「ぅわっ!ちょ、土方さん!!」
「あ~、本当だ。こりゃダメだな」
突然足を取られた事でバランスを崩しそうになった新八から、焦った
声が聞こえたが、土方はそれを無視して繁々と原因の箇所を見詰めた。
「ちょっ、いいですから離して下さいよ~」
「ん?いや、ちょっと待て。っつうかバランス悪いなら俺の肩に手ぇ
乗っけとけ」
そう言うと土方は新八の足から草履を取り、足袋のみとなった足を
自分の膝へと乗せてそのままポケットを探りだした。
ちなみに乗せられた足は、土方の手によってガッチリと掴まれている。
新八はそんな土方に、離してくれる気がない事を悟ると、
諦めと共に小さく息を吐いた。
「・・・面倒見いいですよね~」
「そうか?」
何でもなさそうに言う土方に、新八は姉と毎日の様に繰り返される攻防戦の末、
屍となった近藤を迎えに現れる姿を思い出していた。
・・・性分なんだろうな、きっと。
ほんの少し涙を滲ませながら、新八は土方の言葉に甘えてそっと肩に手を置いた。
そして待つ事暫し。
だが、土方のポケットから、探していた物が出てくる事はなかった。
「すまねぇ、何時もはハンカチぐらい持ってるんだが・・・」
朝、近藤の血止めに使ってしまって、そのまま忘れていたらしい。
土方は申し訳なさそうに黒い髪を項垂れさせた。
それは手助けできなかった事からか。
それとも、毎朝の様に繰り返されている自分の上司の
行動を思い出したからか。
本当はいい所を見せられなかった悔しさからだが、
新八には判らない。
どちらにせよ土方に非はないのだ。と、
新八は慌てて手を振り、気にしないでくれと告げた。
「どうせもう万事屋に帰るだけですから、このままで行きますよ」
裸足って訳でもないし。そう言って新八は土方の膝から自分の足を
どかした。
土方も 仕方ねぇか。 と呟き、その場に立ち上がる。
そして土方から草履を返して貰おうと、手を伸ばした所で
目の前の人物にクルリと背を向けられ、新八は目を丸くする。
「あの・・・土方さん?」
「ん?おら、早く乗れ」
既に土方はしゃがんでおり、後ろ手でコイコイとばかりに新八を呼んでいる。
その姿に新八は俯きそうになる額に手を当て、そっと息を零した。
「・・・何してんですか」
「なんだ、横抱きがいいのか?」
「いや、人の話聞けよ。
ってかなんで負んぶなんですか!」
「幾ら足袋履いてても危ねぇだろ」
いいから早くしろ。土方はそう言うと、体を少し捩って新八の手を引き寄せ、
近付いた両足の膝の裏に手を廻すと、そのまま勢い良く立ち上がった。
「ぅわっ!!!」
突然の出来事に、慌ててしがみ付いてくる新八に、土方は一つ頷くと
軽くその体を持ち上げ、ちゃんとした負んぶの格好を取った。
そしてそのままなんの躊躇もなく歩き出す。
「うぅ・・・恥ずかしい・・・」
新八は真っ赤になっているだろう自分の顔をその背中に押し付けた。
そしてこの姿のまま万事屋に帰った時の事を予想し、
ガクリと肩を落とした。
「絶対からかわれる・・・」
「誰にだ?」
独り言よろしく、小さく呟いたつもりだったが、密着している為
土方には聞かれたらしい。
新八はウンザリした声で土方に答えた。
「銀さんと神楽ちゃんですよ」
あの人達、こういうのを見逃すほど大人じゃないんです。そう告げる新八に
土方は あ~、確かにな。 と同意した。
「安心しろ、向かってるのはそこじゃねぇ。屯所だ」
「え?」
土方の言葉に驚き、顔を上げれば確かに万事屋へと行く道ではない。
「・・・なんで?」
不思議そうに問い掛ける新八に、土方は小さく笑うと、
「落し物はまず警察に届けなきゃなぁ?」
「・・・僕、物じゃないですけど」
「落ちてた事には変わりねぇ」
「いや、座ってただけですけどね?」
「で、落とし主が半年現れなかったら、拾ったヤツのもんになる」
半年後は真選組隊士だな。視線をちらりと向け、ニヤリと笑う土方に、
新八は遠くの方からド○ド○の曲が流れてくるのが聞こえた気がした。
その後、半時も待たずに真選組屯所に現れた銀時に
無事引き取られたのだが・・・
「いいから!ちゃんと書いとかなきゃダメなんだよ!!」
「うるせーよ!ってかなんで『万事屋 坂田銀時』??」
書くなら僕の名前でしょうが!!と、サインペン片手に迫ってくる銀時相手に
熱い攻防を繰り広げていた。
「ばっか!こう言うのは所有者の名前を書くんだってぇの!!」
「馬鹿はオマエだぁぁぁぁぁあ!!」
「っち!やっぱペンだと消えちまうか・・・
・・・いっそ墨でも入れるか?」
「ぎゃぁぁぁぁあ!!
助けて、お巡りさぁぁあん!!!」
「ばっ!!待てって、
まだ名前書いてねぇぇぇええ!!!!」
・・・その後、暫くの間、志村新八が一人で外を出歩く事はなかったと言う。
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ちなみに場所は太ももでv(最悪だぁぁぁ!!)