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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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その日珍しく仕事があり、帰りが遅くなったので泊まっていってもいいか
と銀さんに聞いたら、微妙な顔をされた。

いつもならこっちが引くぐらい泊まっていけと言うのに・・・

少し変だな。とは思ったものの、時間帯が遅かったのもあるだろう、
仕方ねぇか・・・とばかりに渋々了承してくれた。

・・・変な銀さん。

そうは思ったものの、疲れているのも確かなのでさっさと休みたい。
疑問は明日、元気な時に解き明かそう。と、風呂を沸かし、
順々に入ってもらった。

最後に僕が入り、出てきた時にはもう神楽ちゃんは眠っていた。
何時もならまだ起きている時間だが、やっぱり疲れてたんだな。
僕も早く休もう・・・と思ったんだけど、銀さんは居間のソファに
座ってボンヤリしていた。

銀さんも疲れているだろうに・・・と不思議に思い、声を掛けると

「ん~、一杯ひっかけてから寝るわ」

オマエは先に寝てろ。と言うので、呑み過ぎないように注意をし、
お言葉に甘えさせてもらった。

 

どれくらい時間がたったのだろう。
不意に目が覚め、僕は辺りを見回した。
まだ部屋の中は暗く、まだ寝られそうだ。
再び目蓋を閉じ、眠ろうとした所で、何かの声が微かに聞こえてきた。

声・・・というよりこれは・・・お経??

野太い男の声で聞こえてくるその音に、瞬間鳥肌が立つ。

だってこんな時間帯に、そんなモノが聞こえてくるなんて!!

慌てて隣に寝ている筈の銀さんを見れば、そこには主のいない布団が。
僕はサッと血が下がる音を聞いたような気がする。

だって銀さんはお化けとかそう言うものが大っ嫌いなのだ!
なのにこんな夜中に、こんな声を聞いてしまったら!!

僕はそれまでの恐怖を忘れ、布団から飛び出した。
そして銀さんの名を呼びながら、和室を出ると・・・

「あれ?どったの、新ちゃん」

寝る前と同じ格好をした銀さんが迎えてくれた。

・・・いや、テーブルの上にあるお酒のビンとコップが増えているか・・・
てか、呑み過ぎるなって言ったじゃないか!
なんだ、その赤い顔は!!

安心と怒りに、僕はカクリと肩を落とした。
それが不思議だったのか、銀さんは微かに首を傾げる。

どうしたのじゃないですよ。と言い掛けたその時、再びお経のような声が
聞こえ、僕は体をビクリと震わせた。
そして辺りを見回すが、ドコにも音の発生するような物はない。
テレビだって消えてるし・・・てか、銀さんは!?

慌てて見ると、キョトンとした顔で僕の方を見詰めていた。

もしかして、これが聞こえてるのって僕だけ?

そう考え、恐怖に固まっていると、

「あぁ、オマエにも聞こえてたのか・・・」

と銀さんが呟き、コイコイと指先で僕を呼んだ。
その表情がとても柔らかく、僕は足早に近寄ると銀さんの腕にしがみ付いた。

「こ、これって何ですか!?」

恐る恐る聞いてみると、銀さんはお酒を一口飲んだ後、

「念仏って言うらしいんだわ、これ」

そう言って、僕の頭をポンポンと撫でてくれた。
その手の優しさと、銀さんの柔らかい表情から、固まっていた僕も
段々と和らいでいくのを感じた。

だってお化け怖い人がこんなにのんびりしてるんだもん、
違うものだよね、これ。
・・・って言うか念仏って?

僕の疑問が判ったのか、銀さんは僕の頭を撫でながら言葉を続けた。

「地方のお盆の習慣らしくてな、初盆を迎えた家へ笛やら太鼓やらを
持った集団が行って供養する事らしい。
庭先で歌枕に合わせて踊るんだと」

で、今聞こえてるのがその歌枕なんだろ。銀さんにそう説明され、
僕は耳を澄ませてみた。
確かに聞きようによっては歌に聞こえるかも知れない。
けど、それがなんで今?

「その地域ではな、七月がお盆なんだわ」

「そうなんですか・・・でもなんでそれが今、ここで聞こえるんです?」

そう聞くと、銀さんはヘニャリと泣きそうな顔で笑った。

「・・・昔の知り合いでな、その地方のヤツが居たんだよ。
そいつはそれが好きらしくてな、近くに来る度見に行ってたらしい。
しかも最後には菓子とかも配られるだと!いい習慣じゃねぇか。
だからよ、その話を聞いた時、見てみてぇなぁ。って言ったら、
是非一度見に来てくれって言われてな」

結局、まだ見に行ってないんだけどよ。銀さんはそう言うと視線を上げ、
窓の外へと向けた。

「何時ごろからか、毎年この日になると歌だけ聞こえてくる
ようになったんだよなぁ」

ったく、律儀にも程があらぁ。そう言って笑う銀さんに、僕は
それ以上何も聞けず・・・

ただ、今ではない、ドコカを見詰めているその視線が
これ以上離れていかないよう、しがみ付いた腕にギュッと力を込めた。

*********************
念仏は私の地域の習慣です。
てか、夜中に聞こえてくるとマジで怖い(笑)
けど、つい見に行ってしまいます。
ちなみに今隣の家に来たので、これから行って来ます。

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