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既に日付も超えようとした時間、新八は呑み屋から連絡を受け、
昼間とは違った賑わいを見せる街並みを歩いていた。
幾らこの街で働いていると言っても、流石にこの時間帯には
慣れていない。
見渡す限り大人ばかりで、新八は少しだけ顔を俯かせ足早に歩いていると、
不意に路地を曲がってきた人と肩がぶつかってしまった。
「あ、すみません!」
慌てて振り返り謝れば、なんだか迫力のある美人・・・
「いや、こちらもすまなかった・・・と、新八君か」
・・・訂正、なんだか見覚えのある指名手配犯が居ました。
「なんだ、銀時を迎えに行くのか?」
ならば途中まで送っていこう。そう言う桂に連れられ、新八は
先程よりもゆっくりとした足取りで呑み屋へと向った。
「しかし新八君。幾ら迎えと言っても、未成年がこんな夜遅くに
出歩いてはいけないだろう。危機感がなさ過ぎるぞ?」
「いや、その台詞はそのまま桂さんにお返ししますよ。」
「その上ここは繁華街だ。未成年が居ていい場所ではない」
「・・・その台詞も一部変えてお返しします。
ってか桂さん、自分の立場判ってますぅ!?
何堂々と街中歩いてんですかっ!」
幾らか声高にそう言う新八に、桂は器用に眉を上げると、
「だから変装をしているのだろう」
と言って、ユルリと艶やかな色合いの袖を振った。
「ちなみに今はヅラ子と呼んでくれ」
真面目な顔で言う桂に、新八は大きく息を吐き出した。
「じゃあヅラ子さん・・・」
「ヅラじゃない、桂だ」
「・・・面倒臭ぇなぁ、もう。
それよりですね、本当いいですから。僕一人でも大丈夫ですから」
送ってくれなくていいですよ。そう言う新八に、桂は
そうもいくまい。と、返事を返した。
「大人として、こんな夜道を子供一人で歩かせる訳にはいかんだろう。」
変な所で律儀な桂に、新八はクスリと苦笑する。
「まぁ出歩く理由を作ったのも、その大人の人なんですけどね?」
「あれは大人の前に『馬鹿な』がつく大人だ。
一緒にするものではない。」
そう言い切る桂に少しだけ同意したくなるが、目の前にいる大人も
結構『馬鹿』が付く大人だ。
現に今だって、指名手配犯なのに女装姿で堂々と歩き回っている。
・・・ま、似合ってるんだけどね。
そこがまた怖いと言うかなんと言うか・・・
背丈が高いだけに、迫力のある美人に仕上がっている。
そう言えば自分の上司の女装も中々似合ってはいたな・・・と、
今頃呑み屋のテーブルで潰れているだろう銀時を思い浮かべた。
・・・まぁタイプは違うけどね。
しかも無駄に迫力あるけどね。
ってかなんで変装に態々女装を選ぶんだろう。
そんなに自信があるのかな?
新八はソロリと隣を歩く桂に目を向けた。
・・・確かに他の変装よりはマシ・・・か。
未成年の僕よりも、今の桂の方がこの場所には合っている気がする。
けれど・・・
「それなら僕だって子供の前に男です。
その姿の方に送ってもらうなんて、ダメだと思いません?」
意識返しのつもりか、ニンマリと悪戯っ子のように笑って告げる新八に、
桂は一瞬目を丸くすると、次にクスリと苦笑を浮かべた。
「確かに・・・そうだったな。
では新八君の行く呑み屋の近くまで、送っていって貰えるだろうか?」
「それならいいですよ。女性の一人歩きは危ないですから」
そう言って笑いあい、明らかに未成年な少年と
異様に迫力のある美人の不釣合いな二人は、
見た目とは裏腹に、仲良く夜の街へと消えていった。
「だが、やはり子供がこんな時間に出歩いてはいけないぞ?
遅くても夜八時には就寝しなければ・・・」
「だから子供扱いし過ぎですって!
ってかそれって何歳設定!?
僕の年齢、知ってますぅぅ!!?」
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この後妙な噂が流れて、坂田大ショック(笑)