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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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冷たい雨の降る午後、新八は買い物帰りの道を急いでいた。

買い忘れた物をを買いに行っただけなので、荷物は軽いが
雨が足元に滲みこんできて、流石に冷たい。

パシャパシャと足音を立てつつ、新八は近道の為、普段あまり通らない
裏道へと足を向けた。

細い道をどれだけ歩いたのか、表通りと違い、人のあまり通らない
この道で、自分の足音と傘に降り注ぐ雨音。
それに加え、もう一つ、誰かの足音らしきものが存在している事に
新八は気付いた。

別に裏道だろうが自分以外誰も通らないと言う訳ではない。
寧ろ、午後とは言え薄暗いこの道、自分以外の誰かが居るという事は
少しだけ心強いかも・・・

そんな事を思い、新八は何の気なしに後ろを振り向き、次に
ピキリと固まってしまった。

別に足音だけで誰もいなかったとか、そう言うオカルトなモノではない。
現に人は居て、段々と新八の方へと歩いてきている。


しかし、人にも色々な人が居るわけで・・・ 


あ~・・・アレだよね。僕、安心してる場合じゃなかったんだね。
寧ろ深夜の道を一人で歩いてて、背後の足音に警戒する女性の
心境にならなきゃいけなかったんだよね。
や、別に女性じゃなくてもいいんだけどさ。
物取りとかの可能性もあるし。
本当、物騒な世の中になっちゃったよね。
・・・でもさ・・・

 

「あ?んな所に突っ立ってんじゃねぇよ」

 

テロリストに遭遇し、尚且つガンつけられる程
物騒じゃなくてもいいと思うんですけどぉぉ!!!


雨の中、傘も差さずに歩いてきた人物は、そんな新八の心境を無視して
邪魔臭そうに包帯で覆われていない方の目で睨みつけてきた。

その鋭い眼光に、新八は無意識に足を一歩引いてしまう。
それにより開いた道を、高杉は何事も無かったかのように進んでいく。

通り過ぎる瞬間、新八はハッと我に返り、急いで傘を降ろして
自分の顔が隠れるように持ち直した。

もう遅いかもしれなないが、念の為だ。
それにホラ、僕って地味だし、何処にでもある顔だし。
うん、気付いてないって、絶対。
ってか気付くな。地味でいいから気付くな!!

そんな祈りが通じたのか、高杉の足音はそのまま新八の横をすり抜け、
遠くなっていく。

「・・・良かった~」

流石にこんな所で顔を突き合わせたくない。
と言うか何処だろうと出会いたくなど無い。

が、とりあえず気付かれなかったようなので一安心・・・と。

新八は緊張しすぎて固まった肩をホッと撫で下ろしたが、次の瞬間、
前方に過ぎていった筈の足音が、勢い良く戻って来るのが聞こえ、
再び体を強張らせた。

そして逃げる間もなく、斜めに差していた傘が上げられ、
誰かが横に入り込んでくるのが判る。

恐る恐る視線をやれば、そこには先程真剣に祈りつつ見送った
高杉の姿が・・・

「やっぱり銀時のトコのヤツじゃねぇか。
地味過ぎて眼鏡がなかったら気付かなかったぜ」

「って何処で判断んん!!?」

新八はつい勢いに任せ、それまでの緊張が無かったかのように
突っ込みを入れてしまう。

それに気付き急いで口に手を当てるが、高杉は雨に濡れてしまった着物の
水気を払うのに気がいってるらしく、少しも気にしていないようだ。

パンパンと着物を叩きながら、

「だから眼鏡しかあるめぇよ」

と、至って簡潔に答えを返してきた。

「や、こんな眼鏡、何処にでもありますからね?
限りなく普通の眼鏡ですからね?
ってかこれがなかったら気付かなかったのかよ
コンチキショー!!」

気付かれたのはイヤだが、その気付かれ方はもっとイヤだ。

「大体なんでこんな所に居るんですか!」

「何でって・・・雨降ってるのに傘がなかっただからだろ?」

「そうじゃねぇよ!僕の傘に入ってる理由じゃなくて!!」

「そこの表通りに出るまでで勘弁してやらぁ。さっさと行け。
寒い」

新八の叫びを無視し、顎で歩けと指示する高杉に思わず溜息が出る。

・・・なんでだろう。さっき気付かれない様に緊張してた時も
妙に疲れたけど、今のほうが何倍も疲れてる気がする。

しかも現在進行形で。

「・・・そりゃぁそうでしょうよ。ってか傘、持って出なかったんですか?」

再び出て来そうになる溜息を押し殺し、新八は渋々足を動かした。
それに続いて高杉の足も動く。

「オメー、テロリストが傘さして歩けってぇのか?」

そいつぁ粋じゃあるめぇよ。新八の問い掛けを鼻で笑い飛ばす高杉。
どうやら彼には彼なりのポリシーがあるらしい。だが・・・


それなら知り合い・・・?の傘に入れてもらって寒さに震えているのは
粋なんだろうか・・・


そんな考えが頭に浮かぶが、とりあえず言葉にはしない。

ツッコミが担当な僕だけど、命までは掛けていないし。

「ってか、もしあれだったら送ってきますよ?」

依然止みそうも無い雨に、ついそんな事を提案してみると、
呆れた視線が返って来た。

「・・・オメー、俺の立場を知ってて言ってんのか?」

「・・・ですよね~」

うっかりしてた、本当に。
さっきの緊張感は何処に行った、僕!
順応が早すぎるにも程があるだろぉぉぉ!!!
ってかアンタも早すぎだぁぁ!!!
何当然の様な顔して隣に居るの!?
せめて傘を持つぐらいしろよ。
・・・て、するわけないよね。
寧ろしたら怖いよね、それ。


「すみません。じゃあ、そこまで・・・」

「あぁ」


とりあえず小さい声で謝罪し、これまでの人生の中で
一番のドキドキ感溢れる相合傘
に、新八はそっと息を吐いたのであった。

********************************
この後、相合傘がトラウマに(笑)

 

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