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巡察のルートに、ムカツク場所がある。
と言うより、嫌な野郎がいる場所がある。
・・・ま、滅多に会う事もねーけどな。
そう、どう言う訳か滅多に会わない。
寧ろ他の場所で会う方が多い気がする。
特に非番の日とか、休みの日とか、休日とか。
だからいつか叩っ斬ってやろうと思います。
え、何コレ、作文?
・・・等と考えていたら、その滅多に会う筈の無い野郎が居やがった。
って言うかなんでそんな陰に潜んでんだ?
・・・よし、挙動不審で捕まえよう。
「何してんでェ、旦那ァ」
土方がそう思ってる間に、隣を歩いていた筈の沖田が声を掛けていた。
「っ!!!!お、おぉ~沖田君じゃないか~」
別に何にもしてないよ~。と、変な笑いを浮かべながら手を振る銀時。
その顔には大量の汗が流れていて。
「そんな事言って、今滅茶苦茶ビビッてませんでしたかィ?」
「いやいやいやいや、そんな事ないって!本当もう何でもないんで
さっさと通り過ぎてください~。と言うか税金払ってる人達の為に
馬車馬の如く働いてこいや、コノヤロー」
「よーし、じゃあとりあえず目の前の不審者を
ひっ捕まえろ、総悟」
「了解でさァ~」
「冤罪以外の何物でもねぇぇぇ!!
ちょっ、誰かお巡りさん呼んで、お巡りさん!!」
物陰から銀時を引っ張り出そうとすると、物凄く慌てた様子で
抵抗し始めた。
なんだ、コイツ。何時もと勝手が・・・・
そう思い、ふと少し先にある万事屋へと目をやると、そこには見慣れない
人影が・・・
いや、そこに居る人物は見慣れてるのだが、ソイツがしている行動が
見慣れないと言うか・・・
思わず凝視してしまった土方に、必死になって物陰から出ようとしない
銀時をつついて遊んでいた沖田も気付き、その視線の先に目をやって
少し首を傾げた。
「・・・・おい」
「・・・・なんだよ」
「テメーんトコは大掃除かなんかやってんのか?」
「・・・・・・・・・・」
問い掛けても答えは返ってこない。
「って言うかすげーなァ。ここからでも物凄い気迫が伝わってきますぜィ。
なんか恨みでもあんですかィ、あの看板に」
そう、この寒空の下、どうした訳か物凄い勢いで万事屋の看板を
磨いているのである。
万事屋のメンバーである、志村新八が。
「違うネ、新八が恨んでるのは看板じゃなくて、そのマダオネ」
ボーッとその姿を見ていると、不意に後ろから声が掛けられた。
振り返れば其処には大きな犬を連れた少女、神楽が呆れ顔で立っていた。
「おう、チャイナ。相変わらず暇が寄り集まった集合体のようなツラしてんな」
「オマエの全世界の腹黒さが集まったツラよりマシネ」
「そりゃ~褒め言葉だねィ、気分わりィや」
「こっちこそネ。吐き気がするヨ」
「って待てこらチャイナ娘。無理矢理吐こうとすんじゃねーよ!!
総悟!テメーもすんじゃねーよ!!こっちが吐くわァァァ!!!」
会って早々バトルのゴングを鳴らし始める二人に少し待ったを掛け、
先ほどの言葉の意味を問い掛ける。
「・・・で、なんだ、アレ。それとコレ」
土方が視線を万事屋に、そして未だに物陰に身を潜めている銀髪頭に向ける。
すると神楽は白けた顔で腕を組み、答え始めた。
「何時もの事ネ。銀ちゃんが新八を怒らせたヨ。で、喧嘩してアレネ」
「いやだから、それでなんであの行動に繋がるんだ?」
喧嘩してなんで看板磨きなのか判らない。
土方は再度神楽に問い掛けた。
「なんでも何もないネ。新八、最初は普通に怒るネ。でも凄く凄く怒ると
あぁやって掃除しまくるネ、無言で。呆れたマダオアル。」
お陰でトイレも台所も鍋もピカピカネ。そう言う神楽に、しゃがみ込んでいた
銀時が
「・・・鍋はオマエの時じゃん」
ボソリと声を挟んだ。その言葉にウッと声を呑む神楽。
どうやらその時の状況を思い出したらしい。
「・・・でもちゃんと謝ったネ。銀ちゃんはまだ謝ってないアル」
「いや、だってホラ・・・まだ磨いてる最中だから・・・」
全部磨いてからの方がいいかな~・・・なんて。と、ヘラッと力なく笑う
銀時に、土方達は大きく溜息を吐いた。
「なんだよ!テメーらは知らねーかもしんねぇがなぁ、あぁ言う時の新ちゃんは
本当、もうマジでこえぇんだぞ!!」
更に情けない事を力説する銀時にますます脱力する。
「アホか。大体にしてテメーが悪いんだろうが、さっさと行って魂込めて
謝罪してきやがれ」
「そうでさぁ、ついでに土方さんは魂飛ばして逝ってくだせぇ」
「よぉし、総悟。とりあえず首を出せ、叩っ斬ってやらぁ」
そんな事を言いつつ、どうにか銀時を物陰から引っ張り出し、万事屋へと
向かわせる。
見れば看板磨きも終盤だ。
「見捨てられんのも近いな」
「全くでェ。そん時はウチに来いって伝えといてくだせェ」
笑ってそう言葉を投げると、背を向けていた二人がクルリと振り返り、
「それはないネ」
「そうそう。新ちゃんはどんなに怒ってそれを鍋とか磨くのに向けても、
キチンと家に居てくれるからね~。」
と言って、ニッと笑った。
「確信犯・・・てヤツですかねィ」
「だろーな。」
なんとなく面白くなくて、二人その場に佇んだまま、去っていく二つの背中を
眺める。
多分あの白髪頭は謝るのだろう。そしてあの少年は怒りながらも許すに
違いない。
この先もきっとあの少年は何かある度に、何かを磨くのだろう。
けれど、彼等の言った通り、アソコからは出て行かないのだ。
やっぱりあの銀髪はヤな野郎だ。
そして無性にムカツク場所だ、アソコは。
土方は口にしていたタバコをギュッと噛み締めた。