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その日、珍しく入ってきた仕事は思いっきり
体力勝負でした。
「大丈夫ですか?銀さん」
風呂から上がり、そのままソファに仰向けに倒れ込んだ
銀時に、心配そうな新八が声を掛ける。
だが、銀時は顔を腕に埋めたまま、唸るように返事をするのみ。
「腰が痛いなんて年寄りな証拠ネ」
そんな銀時に、向かいのソファに座っていた神楽が
ボソリと呟いた。
それに対し、銀時が反論しようと体を起こすが、
直ぐに短い悲鳴を上げて再び沈没した。
そして恨めしそうな顔を、ゆっくりと神楽へと向ける。
「・・・言っとくけどな、直ぐに痛みが出るのは
若い証拠だから!
この痛みはその証拠だから!!」
「銀ちゃんのはただの腰痛ネ。
筋肉痛はニ・三日後にきっちり年寄りと言う証拠と共に
やって来るから安心しろヨ」
「安心出来ねぇよ、何その最悪コンボ。
違うから、ちゃんと腰以外も痛いから!
ただ腰の痛みが凄すぎて他の痛みに
気付いてないだけだから、銀さん!」
「はいはい、判りましたから。
とりあえず湿布貼りましょうね」
ギャーギャーと言い合う二人に新八は苦笑しつつ、
薬箱から取り出した湿布を手に、銀時の寝転ぶソファの横へと
膝を付いた。
「おぅ、頼むわ」
縦に真ん中と左右な。湿布を貼る場所を指定し、
銀時は顔を戻し、腕に顎を乗せ、深々と息を吐き出した。
「ってかアレだわ。腰痛は本当シャレになんねぇわ。」
「そんなに大変だったんですか?今日の仕事。
・・・だったら明日は僕が行きましょうか?」
銀時の甚平を捲くりながらそう言えば、パタパタと手が振られた。
「いい、いい。
オマエの細腰じゃポキッていきそうだから。
・・・あ、でもアレだけ酷使してんだから結構
頑丈に出来てんのか?オマエの腰って。
や、でもそれ言ったら銀さんも同じだよな?
やっぱ使う筋肉が違ってんのか?これって。」
な、どう思う?新八。・・・と言いかけた所で、
バシンと良い音が銀時の腰から放たれた。
「っ!!!!!」
「あ、すみません。湿布貼ろうとしたら
間違えて手だけいっちゃいました。
でもそうですね~、掃除とかで中腰になるから
毎日酷使してるって言えばしてますもんね、僕。
あ、でもまだ腰痛は経験ないや。
やっぱ年の差ですかね?」
あまりの痛さに文句を言おうと振り向いた銀時を迎えたのは、
とんでもなく良い笑顔の新八で。
「あれ?どうかしました?
銀さん、なんか涙目になってますよ?
そんなに腰が痛いんですか?
そう言えば銀さんも毎日ダラダラ寝こけたり
変な姿勢でジャ○プ読んでたり、
長時間パチンコで座りっぱなしになってたりと
腰を無駄に酷使してますもんね。
なのにそれだけ痛いって事は、相当きつい仕事だったんですね。
なら明日も頑張ってください。
痛みで他の事が考えられないぐらいに。」
「いや、あの・・・新ちゃん?」
「おぉ!新八、銀ちゃんの背中に
真っ赤な手形がついてるネ!」
何時の間に来ていたのか、背凭れの部分から身を乗り出した
神楽が感嘆の声を上げた。
「マジでか!?
ちょ、新八。オマエ何銀さんの腰に追い討ちかけてんのぉぉ!?」
「ちっ!止めにはならなかったか・・・」
「え?なんか今恐ろしい言葉が聞こえたよ?
幻聴だよね?さっきまで優しさの塊だった
新八がそんな事言う訳ないもの!
それに銀さんの腰は新八にとっても大事だし!
壊れたら困るのは銀さんだけじゃないものぉぉ!!」
「あ、また手がっ!!!」
「っ!!!!!!!!!」
「おぉ!また綺麗に赤くなったネ!」
「ふふ、本当だ。
銀さんてば色が白いから大袈裟に見えるよね?」
楽しげに覗き込む神楽に、小さく笑う新八。
そして痛みにプルプルと震える銀時。
「・・・すみません。
もう大人しくしてるんでちゃんと手当てして下さい」
「やだな~、何人聞き悪い事言ってんですか。
そもそも手当てとは、手を当てると書くんですよ?
これも立派な手形・・・手当てです」
「本音出した上に言い切った!?」
「新八~、私も手当てしたいヨ~」
「そうだね、バランスも悪いし。
じゃあこの辺りに・・・」
「手当てにバランス関係なくね!?
ちょ、マジで勘弁して下さい。
神楽がやったら赤い痕ってよりも
赤い何かが噴出してきそう・・・て、え?
あの・・・聞いてる?
銀さんの声、ちゃんと届いてるぅぅ!!?」
その日、気持ちがいいぐらいの乾いた打撃音と、
気持ちが萎える位の凄まじい悲鳴が万事屋から
聞こえてきたと言う。
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ちなみに数日後に筋肉痛も出てダブルパンチな坂田(笑)