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今日は週に一度の特売デーだ。
なので神楽ちゃんを誘って、僕は買出しに出掛けた。
本当は銀さんにも来て貰いたかったんだけど、
気が付いたら、既に出掛けた後だった。
・・・ったく、こんな時だけ無駄に実力発揮しやがって。
ま、いいけどね。
お徳用チョコが安かったけど、無視してきたし。
少しだけそんな事で溜飲を下げる自分が可哀想な気がしたが、
あの人にとってはこれが結構きくのだから仕方が無い。
あれ?じゃあ可哀想な人は銀さん??
「本当、銀ちゃんは使えないマダオアル」
ぼんやりとそんな事を考えていると、隣を歩く神楽ちゃんが、
お手伝い賃としての酢昆布を噛み締めながらそう吐き捨てた。
「きっとパチンコネ。玉遊びが好きなんて、どこまで子供アルカ」
「や、その言い方はダメだからね?
なんかダメだからね?」
そう言いながらも、やっぱりパチンコ行ってるんだろうなぁ、と
気が付いたら居なかった上司を思い浮かべる。
本当、勝つ時なんて偶にしかないのに、なんで
あんなに好きなんだろう?
暇があれば行っている気がする。
僕にしてみれば、煩くて仕方が無い場所なのに。
しかもお金があっという間に吸い込まれていく、恐ろしい場所だ。
現に銀さんは、毎回のように憔悴しきった感じで帰ってくる。
肩をダラリと落とし、序にお金もごっそりと落として。
「新八もよく見捨てないネ、銀ちゃんの事」
「・・・神楽ちゃんこそ」
そう返すと、酷く嫌そうな顔を返される。
ってか女の子がなんて顔してんのっ!
「私のは情けアル。情が深いのはいい女の証拠ネ」
そうでなきゃ今頃土へと還ってるヨ、銀ちゃん。そう言う神楽ちゃんに
僕だって。と返した。
「パチンコでお金捨ててくるし」
「そうでなきゃ、ダラダラ何時も寝こけてるネ」
「お酒弱いくせに呑みに行くし」
「次の日お酒臭くてヤーヨ。
その上加齢臭は常時装備ネ」
「糖尿寸前だって言うのに糖分欲しがるし」
「この間、親切にも隠し糖分食べたら真剣に怒られたヨ」
「え?僕この間全部探し出せたと思ってたのに、まだあったの?」
驚いて見返せば、神楽ちゃんは何故だか自慢げな笑みを浮かべていた。
「私の目と鼻は超一流ヨ。ま、ガキの好きそうな甘ったるいもんばっかで
食べれたもんじゃなかったけど、腹の足しにはなったネ」
その言葉に僕は盛大に息を吐いた。
ったく、いい大人が何隠してんだか・・・
や、大人らしいもの隠されても困るんだけどね!?
そんなの神楽ちゃんに見付けられたら、本当ヤバイから!!
あ、でもそれは大丈夫かな?
なんかそこら辺は気を使ってくれてるみたいだし。
「ちなみに腹の足しにもならない薄っぺらい本は無視したネ」
・・・見付かってんじゃねぇかよ。
ってか気を使えよ、そこは本気で!!
思春期舐めてんじゃねぇぞぉぉぉぉ!?
見下げ果てた視線を送りつけるぞコノヤロー!!!!
あ、でもそれでか。
最近神楽ちゃんが銀さんを見る視線が冷ややかだったのは。
よし、僕もそれに参加しよう。
「特集はコスプレ眼鏡っこだったネ。」
そう言って神楽ちゃんは微妙な視線で僕を見てきた。
や、判らないからね、その視線。
なんでそんな可哀想な目で僕を見るのぉぉぉ!!!?
やめてくなんい!?なんか怖いから止めてくなんい!!?
「いつか新八が私の知らない新八になっても、
きっと大丈夫ネ。」
「何が大丈夫ぅぅ!?全然大丈夫な気がしないんだけど!!?」
ってか神楽ちゃんの知らない僕って何!?
そんなの僕も知らないから。知りたくも無いからっ!
「あれ?お前ら何してんの?」
何時の間に着いたのか、不意に万事屋の前で反対から歩いてきた
銀さんに声を掛けられた。
どうやら珍しく勝って来たようで、大きな紙袋を抱えてヘラヘラと
笑っている。
・・・ってかやっぱパチンコかよ。
僕と神楽ちゃんはチラリと銀さんに視線を向けると、さっと
逸らして足早に万事屋の階段へと足を向けた。
「え?何、無視?あ、もしかして買い物に付き合わなかった事
怒ってんの?悪かったよ、でもさぁ、ホラ見てよコレ。
新装開店でさぁ、やっぱこう言うのは朝から行って
良い台取らなきゃダメじゃん?お陰でもうウハウハよ?
あ、勿論金にも換えてきたから。お菓子だけじゃないからね?
ちゃんと銀さんも考えてんだからね?だからさ、無視とか
子供っぽい事止めようよ、軽い苛めだよ?それ。
あ、かと言ってそんな目で見るのも禁止な。
なんかものっそい心が痛くなるから。
見てらんないから、ソレ。
え?じゃぁ見んなって?や、それは出来ないでしょ。
見ちゃうでしょうが、普通。・・・て、あれ?
なんか益々視線が痛くなってきたよ?
ちょ、本当止めてくなんい?
なんか真剣に泣きそうになるんですけどぉぉぉ!!!!」
「なら遮りましょう」
にっこり笑って、追ってきた銀さんから紙袋と財布を
奪うと、ぴしゃりと目の前で玄関の扉を閉めた。
それに続き、神楽ちゃんが鍵を閉め、序に留守番をしていた定春を呼ぶ。
定春は言われるままやって来ると、大人しく玄関へと座り込む。
うん、これで最強のバリケードの完成だ。
僕は満足げに頷くと、家捜しするべく部屋へと足を踏み入れた。
とりあえず本気で泣き出すまでそこに居やがれ、コノヤロー。
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途中までは甘々で行く筈だった、成れの果て(おいι)