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「銀さんって手、おっきいですね」
ぼんやりと茶を飲んでいると、突然隣に座っていた新八から
そんな事を言われた。
ちらりと見れば、じ~っと俺の手を凝視しているでっかい目が。
いや、そんな風に見るほどでかくはねぇだろ。
そう思いながらも湯呑みを置き、じっと手を見てみる。
・・・うん、至って普通の大きさだ。
だが新八はそう思っていないようで、ホラ。と俺の手を取ると
自分の手と比べるように合わせた。
「ぅわっ!こんなに違うんだ」
そう言って珍しそうに色んな角度から眺めると、向かいに座っている
神楽を手招きした。
どうやら神楽も暇をしていたようで、素直にこちらへとやってくる。
そして合わさったままの俺と新八の手を見ると、自分の手を見、
次にもう片方の俺の手を取ると同じように合わせてきた。
「本当ネ、無駄にでかいヨ銀ちゃん!」
「や、そんなキラキラした目で言われても、無駄ってついてるからね?
明らかに貶めてるから、その単語ぉぉぉ!!!」
そう言っても、何が楽しいのか目の前の子供達は手を離すことはせず、
そのまま遠慮なく弄りだした。
全く・・・何が楽しいんだか・・・
とりあえず両手の自由を無くした俺は、身動きの出来ないまま
テコテコと動く二つの頭を眺める事にした。
「いいな~、僕もその内これくらい大きくなれるのかな?」
「私もこれくらい欲しいネ。そしたらでかいお握り、握り放題ヨ」
「ってかちょっと・・・固い?やっぱりアレかな?
木刀握ってるせいかな?」
「それ以上にパチンコのハンドル
握ってるせいネ。」
「あ~、そっちか~。
あ!ちっちゃい擦り傷発見!なんだろ?
屋根裏に隠してる甘味を取ろうとして擦ったのかな?」
「こっちはごっさ短い生命線見つけたヨ!
短い上に何度か途切れまくってるネ!!」
「っておぉぉぉぉおいっ!!!
さっきからテメー等はイジイジネチネチとぉぉ!!!
くすぐったい上に心が傷付きまくりじゃねぇかぁ!!」
二人の暴言に、没収とばかりに自分の手を取り戻す。
ったく、少し甘い顔を見せたらコレだ。
何が擦り傷だ、何が生命線だ。
少しは心配ぐらいしろってんだ。
ま、いいけどね。銀さんそんな小さな事気にしないし?
手相とか全然信じてないから?
って隠し場所がバレてんのはダメだろぉぉぉ!!!!
しかも本当に生命線短っ!!!
ヤバクね?これ、マジでヤバクね?
甘味も俺も、風前の灯じゃね?
思わず自分の手を凝視していると、ケチだのなんだのと言う
お子様達からのブーイングが飛んできた。
うるせぇよ、それ所じゃねぇんだよ、銀さんっ!
・・・や、別に手の大きさと懐のでかさは関係ないからね?
それで言ったら、俺より心狭いことになるからね、
お前ら。
ってか今さっきまで散々弄くり倒させてたじゃねぇかっ!
十分優しいだろうがコノヤロー!
俺は一つ息を吐くと、目の前の頭にそれぞれ自分の手を乗せた。
そしてそのまま豪快に撫でる。
ったく、手一つで騒ぎやがって。
こんなもん普通だ、普通。
寧ろ丁度良ってもんだろ?
ギャーギャーと騒ぎながらも、しっくりと掌に馴染む二つの頭に、
俺はゆるりと口元を上げた。
あぁ、やっぱりこれぐらいで丁度いい。
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二人の頭を撫でれる大きさに満足。