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「あれ?新八君、どうしたの?」
真選組屯所前、近藤が外から帰ってくると、門の前に立っている
少年の姿が目に入った。
それに声を掛けながら近付いていくと、新八は小さく声を上げ、
軽く頭を下げた。
「こんにちは、近藤さん」
「あぁ、こんにちは。で、どうしたの?誰かに用かな?
あ、もしかしてお妙さんから俺に言伝!!?」
「いえ、全く。
それより沖田さん、居ますか?」
新八の口から出てきた言葉に一瞬肩を落とすが、
次に出てきた名前に、直ぐに頭を切り替える。
そして上の方に視線を飛ばしながら、今日の予定を思い浮かべる。
「総悟は・・・確か今の時間は巡察している予定だから・・・
部屋に居るんじゃないのかな?」
それか公園のベンチ。そう言って笑う近藤に、新八は乾いた笑いを漏らす。
「それ・・・全然予定と合ってませんよね?」
「気にしてたら総悟とは付き合えんよ?」
突っ込んだ筈が、呆気らかんと答えられ、新八はもう何も言えなかった。
・・・ってかこれぐらい大らかな人じゃないと、あの人達を纏めることも、
姉上に付き纏う事も出来ないか・・・
しみじみとそう思っていると、近藤が言葉を続けた。
「で?総悟に何か用なのかな?」
その質問に、新八も自分がここまで来た理由を思い出し、胸元に抱えていた
紙袋に視線を落とした。
「えぇ。あの・・・コレ、昨日沖田さんがウチに持って来たんで、
返そうと思って・・・」
「そうか。なら俺から返しておこうか?」
親切心からそう思い提案してみた近藤だったが、新八は酷く驚いた表情で
少しだけ身を引き、次に勢い良く首を横に振りだした。
「あ・・・あの、新八君?」
「い、いいです!!あ、あの・・近藤さんの手を煩わせる程でも
ありませんし!」
思わず手を差し伸べる近藤に、新八は更に下がると、紙袋をぎゅっと
抱き締め、焦ったようにそう言い放った。
その行動に、近藤は少し首を傾げる。
「いや、返すぐらい何ともないんだけど・・・ってか新八君、
顔、真っ赤なんだけど、大丈夫?」
そう聞くと、今度は凄い勢いで首を縦に振り出した。
なんか見てると首がもげてゴロリといきそうで怖い。
近藤は再度新八の名前を呼ぶと、漸く首の振りを止めてくれた。
「大丈夫です!!全然大丈夫ですから!!
ってか今日は暑いですね~」
「??そうか?今日はそんなでもないような気が・・・」
「暑いです!!!」
「・・そ、そうだ・・・ね?」
必死にそう言い募る新八に、近藤も思わず頷く。
そして二人の間に沈黙が下り、気まずい雰囲気が流れた。
・・・さぁこの後どうしよう。
そんな事を必死に考え始めた二人に、
のんびりとした声が屯所内から掛けられた。
「あれ?何やってんですかィ、二人して」
掛けられた声に振り返れば、ソコには待ち望んだ姿があって。
「あ、総悟、丁度良かった。今新八君が・・・」
「こんなモン置いてくんじゃねぇよ、
この真性サドォォォ!」
ホッとした近藤が言い終わる前に、新八の怒鳴り声が走り、
序に沖田の元へと紙袋が投げつけられた。
それを片手で軽々とキャッチする沖田。
ニヤリと笑みを浮かべると、手にした紙袋を軽く振った。
「なんでィ、もう返しに来たのか?もっとじっくり
使ってくれても良かったんだけどねィ」
「アンタが勝手に置いてったんでしょ!!
何なんですか、姉上に僕の殺人要請でも
出したいんですか、アンタは!!
ってか使うって何に!!?」
「親友からのちょっとした贈り物ですぜィ?
有難く使っときな。
それに殺人要請だなんて酷いでさァ、俺はただ序に
スリル・ショック・ア~ンドサスペンスも贈ろうかと・・・」
「だから何にだよぉぉぉ!!!
ってかそれが既に殺人要請だから!
そんな三段構えが来たら確実に逝っちゃうから、僕!!」
「おいおい、こんなトコでそんな事大声で言うなィ。
意外とオープンな性格だったんだねィ、新八は」
「そんな風に受け止めるなぁぁぁ!!!
アンタの思考がオープンすぎるわ!!」
怒鳴る新八と、楽しそうに言葉を返す沖田。
そんな二人を見て、近藤はカクリと首を傾げた。
「えっと・・・総悟?一体新八君に何を貸したんだ?」
そう問い掛けると、凄い勢いで新八が 僕は借りてません!!と
言って来たので、近藤は慌てて訂正した。
「あぁ、そうだったね。で、何を新八君のトコに置いてったんだ?」
近しい人程、沖田の悪戯は凄いものになる。
その上新八の怒り具合も相当なものだ。
近藤は、少しだけイヤな汗をかきながら沖田に問い掛ける。
すると・・・
「大したもんじゃありやせん。単なるエロ本でさァ」
と、呆気らかんとした顔で答えてくれた。
その答えに、ホッと胸を撫で下ろす近藤。
想像していたような殺傷能力やトラウマが残るようなものでなかった事に
安心したのだ。
「なんだ、単なるエロ本かぁ。なら別に大丈夫・・・って
えぇぇえええ!!!?
ちょ、総悟君んん!?何貸してんの・・・ってか
何で持ってんのぉぉ!!!」
そう叫び、勢い良く沖田の持っていた紙袋を取り上げた。
「こう言うのはまだ二人には早いです!
見ても買ってもいけませんんん!!!」
「だから僕は見てませんし買ってもないですって!
そんなの買うぐらいなら、食費に回します!!」
「俺だって別に買ってはねぇでさァ。偶々山崎のトコの
押入れの奥にあったのが目に入っただけでィ」
「それどんな偶々!!?
ってかアレ、山崎さんのなんだ・・・」
へ~。と言いつつ、新八の視線の温度が低くなってるのに気付き、
近藤は心の中でそっと山崎を哀れんだ。
多分、これで暫くの間冷たい視線を送られる事になるだろう。
悪戯したのは総悟だが、持ち主の山崎も新八の中では同罪らしい。
ってかあぁ言ってみたものの、新八君の思考はそれでいいのか?
総悟の扱いも、それで合ってんのか?
年頃の男の子として正しいのか??
そうは思うものの、やはり早いものは早い。
近藤はそう思い、持っていた紙袋で軽く二人の頭を叩いた。
「兎に角!こう言うものはまだ早いの!
お父さんは許しませんからね!!」
鼻息荒くそう言うと、沖田と新八は少しだけ肩を落とし、
しゅんとした雰囲気で謝罪と了解したことを告げてきた。
それを聞き、近藤は よし。と重々しく頷くが、
ちらりと視線を合わせ、照れ臭そうに笑みを交わす二人を見て、
思わずやんわりと口元を上げたのだった。
「ちなみにその中には近藤さんのも入ってるんですけどねィ」
「え!?そうなんですか!!?」
「おぉ、一見清純そうに見えて一番ギリギリなのがそうですぜィ?」
「え!?ちょ、待って総悟・・・ってえぇぇぇ!!?
うっそぉぉぉぉ!!!!何でぇぇぇ!!?」
「いや~、偶々近藤さんの机の引き出しの二重底で
見つけやしてねィ」
「だからそれどんな偶々ぁぁ!!!?」
「・・・近藤さん・・・暫く本気でウチにも姐上にも近付かないで下さい」
「え?あれ?なんでそんな冷めた視線!!?
違うから。そう言う意味で使ってた訳じゃないからぁぁぁ!!!」
「だから何に使うってんだよコノヤロー!!!!」
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お父さん近藤な話を書こうとしたら、こんなグダグダに(泣)
全ては風邪のせいと言う事にしといて下さいι
・・・咳、辛いっす(涙)