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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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それは簡単な依頼の筈だった。
なのに、事が進めば進むほど胡散臭いものが出てきて。

その結果、新八が怪我を負った。

 

 

 


静まり返っている病院の廊下を歩き、辿り着いた一つの部屋。
その扉を開けると、ベッドの脇の椅子に座っている神楽の肩が
小さく震えたのが見えた。

けれど、こちらを振り向きはしない。

ただ、目の前で眠っている新八を見詰めている。

俺は黙ったまま扉を閉めると、壁際にある椅子を神楽の隣に移し、
腰を降ろした。

視線の先は、同じベッドの中の新八。

所々に白い包帯が見え、目に痛い。
自分も神楽も、同じような包帯が巻かれているのだが、
何故こんなにも新八に巻かれている包帯は目に痛いのだろう。

ちらりと見た神楽も同じ思いなのか、酷く眉を顰めていた。

だな、痛くてまともに見てらんねぇよな。
でも、離したくねぇよな。
もう、少しの間でさえ目を離したくない。

そんな事を考えながら、とりあえずの経緯をポツリポツリと話す。

依頼主が酷く謝り、感謝していた事。
お妙に連絡がついた事。
明日以降、もしかしたら真選組が事情聴取に来るかもしれない事。

「・・・関係ないネ」

ちゃんと聞いていたのか、神楽がボソッと呟いた。
けれどそれを聞き、銀時は微かに頷いた。


・・・そうだな、関係ねぇな、そんなの。


あるのは、目の前の現実だけだ。


あれは一瞬の事だった。
敵に囲まれたあの時、目を離したあの一瞬。
慌てて声を掛ければ、『大丈夫です』との返事。

悔しそうな神楽の声が、静かな病室に響く。

「ウソばっかネ。全然大丈夫じゃないヨ」

「・・・そうだな」

全てが片付いたと思った時、倒れこんだ新八と流れた血の赤さ。


あぁ、あれも目に入った瞬間、物凄く痛かったっけ。


「ウソついちゃダメって何時も言うネ。
なのに自分がウソつきやがって・・・馬鹿丸出しネ」

「・・・そうだな」

担ぎ込んだ病院。
傷は思ったよりも浅くて、命に別状はないと言われたけれど。


待っている時間、時計の針の音が酷く耳に痛かったな。


こうしている今も、色々痛いけれど。


「・・・なぁ、神楽」

視線を動かさず呼び掛ければ、何アルカ。と、視線も寄越さず答えられた。
それに、 こんな時に言うのもあれだけどな・・・と続け、

「もし・・・もしもの話だが、絶対そんな事にならねぇようにするがよぉ。
けど、もしこの先新八が俺等より先に死ぬ事があったら・・・」

 









 


     お前、殺していいか?

 

 







静かな病室で、ポツリと、けれど確りと問い掛けると、漸く隣から
視線を感じた。

けれど俺の視線は動かない。
ただ、ただ、眠る新八を見据えて言葉を続けた。

「俺やお前が新八より先に逝く事ぁよっぽどの事がねぇ限り、
あり得ねぇだろ?」

新八を残して逝くなんて、本当あり得ねぇ。
俺も・・・そしてきっとお前も、何があろうが、何をしようが
絶対残してなんか逝かない。
絶対に、帰ってくる。

・・・けど・・・

「こいつは時折、テメーよりも他人を大事にしやがる」

そう、それこそ自分よりも強い俺や神楽を。


もう目を離しはしない。
そんなに簡単には逝かせない。

そうは思うが・・・考えたくない『もしも』があるかもしれない。
今日よりも酷い事が起こってしまうかも知れない。

そん時は・・・


「俺は死ぬよ?新八が死んだら、俺も死ぬ。
無理なんだよ、もう。こいつがいないとさ。だからよ、
その時はお前も連れて行って良いか?なんかお前だけ残したら
新八、心配しそうだしよぉ」

あ、勿論定春もな。そう言うと、隣から感じていた視線が
また外れるのを感じた。

「・・・その前に怒られるネ。なんで来たかって」

「そうだな。でもこればっかりは仕方ねぇよ、俺は共に逝く」

お前はどうするヨ。そう聞けば、少しだけ嬉しそうな声が返って来た。

「仲間外れは良くないネ。仕方ないから一緒に逝ってやるヨ」

「そっか・・・」

その答えに、俺も漸く口元が緩んだ。


「ま、そんな事にならねぇよう、頑張るけどな」



 


けれどもし・・・もしも誰かの手にかかってお前の命が消えたなら。

その時、俺は躊躇い無く神楽を殺すだろう。

定春を殺すだろう。

そして最後に、自分を殺すだろう。


お前の命を消したヤツなんか知るもんか。

憎いけどな、最悪だけどな。

出来ればこの手でぶっ殺してやりてぇけどな

そんな事してる暇ねぇよ。

お前がいない所なんて、一瞬でも居たかねぇんだよ。


余分なヤツなんかいらねぇ。

俺達だけでいい。

俺達だけが いい。


お前はきっと怒るだろう。泣きもするだろう。

だけど最後は・・・なぁ?呆れてもいいから

 


『仕方ないですね』

 


って笑って迎えてくれ。


俺はお前が居れさえすれば、もう何処でもいいんだよ。

 

 

麻酔が切れ始めたのか、それとも俺の考えが判ったのか、
ベッドの中の新八が眉を顰め・・・けれど呆れたように笑った気がした。
**********************
色んな意味で幸せ坂田(え?)
でも、そんな事にはならないよう必死に生きてきますよ。

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