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「おぅ、トッシー。今日はなんのコスプレしてるネ」
「って誰がトッシー!!!?
しかもコスプレってオマッ!!
何処から見ても普通の格好だろうが、コレェェ!!!」
久しぶりの非番、昼飯でも食べに行こうと街をぶらついてたら、
前から歩いてきた見慣れた二人に(と言うか一人に)暴言を吐かれた。
とりあえず湧き上がる感情のまま叫び返す。・・・が、
悲しいかな、ちらりと自分の格好を確認してしまう。
・・・よし、普通の着流しだな、うん。
だが、そのちらりと見た一瞬をきっちり見られたのか、目の前の
チャイナ娘に鼻で笑われた。
「何言ってるネ。何時もはもっと無駄に暑苦しくて金が掛かってそうな
『血税を何だと思ってやがる、
もしかしてクリーニング代も
そっから出てんじゃねぇだろうなぁ、おい』みたいな格好してるネ」
「・・・おい、今喋り口調明らかに変わったよな?」
不審げにこちらを睨みつけてくる神楽に、思わずピキリと青筋が
浮かびそうになるが、その前に一緒に居た新八が神楽の肩を叩いた。
「神楽ちゃん、そんな事言ったらダメだよ。あれは制服なんだから。
・・・でも本当の所、どうなんです?」
おいこらメガネ。なんでソコでメガネを光らせる!!
諭してたんじゃねぇのかよ!!!!
キラリと光ったままこちらを見ているメガネに頬が引き攣るが、
それを一つ息を吐く事で逃がし、簡潔に答える。
「・・・きちんと屯所で洗ってる」
大体毎日着てるんだ、一々クリーニングなんかに出せる訳ねぇだろ。
そう告げると、安心したかの様に新八がほっと笑みを浮かべた。
・・・いや、なんだよその反応。
そんなに無駄に税金使ってる様に見えんのか、俺等は!!!
一応アレ、支給品だから!
貰える数、決まってるから!!
お陰で染み抜きやら裁縫やら、
無駄に上手いヤツが多いから、真選組!!!
そう言いたくなるが、ギュッと口を閉ざす。
そんな切羽詰った現実はあまり知られたくない。
まだ税金ドロボーと思われてた方がマシだ。
「でも珍しいですね、私服の土方さんって。
今日はお休みなんですか?」
「まぁな」
「そうですか・・・」
じゃあな・・・とその場を去ろうとした所で、目の前の二人が
少し困ったような表情をしているのに気付いた。
基本的に万事屋は気に食わない。
しかも今日は久しぶりの休みだ。
腹も減っているのだ。
そうなのだが・・・・
土方は眉を顰め、乱暴な手付きで頭を掻くと、
「どうかしたのか?」
ボソリと問い掛けた。
結局、なんだかんだ言っても見捨てておけない自分に少し呆れる。
だが仕方ない、こう言う性分だ。
些か開き直り、懐からタバコを取り出すとその場で火をつけた。
すると、話を聞いてくれると判ったのか、新八が少し戸惑いながらも
口を開いた。
銀さんを探して欲しい・・・と。
その言葉に、土方の眉が上がる。
なんだ?まさかまた厄介な事に首でも突っ込んでんのか?
いや・・・だがそんな事があれば大抵自分の耳に入って来るはず・・・
「・・・いねぇのか?」
どうせそこらで油でも売ってんじゃねぇのか?そう言うと、
そんなんじゃないんです。と、深刻な表情で首を振られた。
だろうな。この二人が助けを求めてくるとなれば、それなりの事だろう。
土方はタバコのフィルターをギリッと噛み締める。
ちっ、山崎のヤローは何してやがる!!きな臭い事があったら
きちんと報告しやがれってんだ!!
江戸の町を守るのも真選組の仕事だ。
土方は監察である山崎を脳内でボコりながら、とりあえず
詳細を聞こうと新八達へと視線を戻した。そこに・・・
「・・・おい、アソコに居んのはなんだ」
頬を引き攣らせながら指差す先には、遠目にも目立つ銀髪頭が
ヒョコヒョコと歩いている。
いや、ヨタヨタか?
てか寧ろボロボロ!!?
だが、確かにあの銀髪だ。
そう思い、二人を見るが、新八達はちらりと視線を向け、
すぐに土方へと戻した。
「さぁ?
それよりも銀さんです!土方さん、探してください!!」
「いや、探すも何もソコに・・・」
「さっさと探すネ!きっと何処かに居る筈ヨ、
財布が空じゃない銀ちゃんが!!!」
「はぁ!?」
「そうです!何処かにきっと居る筈なんです!
食費ぐらいは持ってる銀さんが!!!」
「いや、あの落ち着・・・」
「ご飯が塩ってどう言う事ネ!!同じ白でも私は粒が食べたいヨ。
米粒が!!!
そんな乙女心を判ってくれてる銀ちゃんを探してヨ!!!」
「せめて一日二食食べられる経済状況を持ってる
銀さんを探し出してください!!」
「出来れば卵も付けてくれる銀ちゃんがいいネ!!!」
そう言い募る新八達は、かなり真剣だ。
土方は身を乗り出して訴えてくる新八達から少しだけ逃げつつ、
大きく息を吐いた。
要するにアレだ。
馬鹿が馬鹿やって新八達を怒らせたのだろう。
・・・やっぱりこいつ等に関わると碌な事にならねぇ。
そう思いつつもこのままにしておける筈も無く、土方は力なく
新八達を昼飯へと誘ったのであった。
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書き始めたら楽しくなってきました(笑)