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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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昼過ぎ、神楽は定春を連れ何時も通り遊びへと出掛けた。
それを見送り、新八は洗い物を済ますとお茶を入れ、ソファへと
腰を下ろす。
何時もなら銀時も居るのだが、今日はちょっとした仕事が入ったので
銀時一人で向かっているのだ。

なので現在、万事屋には新八一人きり。

何時もなら騒がしい家の中が、静まりきっているのが妙に居心地が
悪い。
新八は音を求め、テレビをつけるが生憎この時間帯は興味のない番組
ばかりだ。
幾度かチャンネルを変えるものの、直ぐに新八は電源を落とした。
そしてソファに深く座りなおし、湯飲みを手にする。

「・・・銀さん、まだ終わらないのかな・・・」

簡単な仕事だから・・・と言って出掛けていった銀時を思い出す。
仕事が来た時、一人で十分な内容だと、文句を言いながらも大抵
銀時が一人で向かう。

多分それは自分達がまだ子供だからだ。

それはお客に対する配慮とも取れるが、ドコか甘やかされてる気がして
新八はクスリと笑みが零れた。

今日は少しだけ豪勢にしようかな。

新八は冷蔵庫にある食材を思い浮かべながら、湯飲みを置き、
他の家事を済ませてしまおうと、腰を上げた。

 

天気のお陰で早めに乾いた洗濯物をよせ、干していた布団も中へと入れる。

「少し冷やしとこうかな」

よせた布団の熱に新八はそれを仕舞わずに、洗濯物を畳み始める。
それも終わり、そろそろ布団を仕舞おうかと立ち上がった所で、未だに
静かな家の中に気がつく。

「まだ・・・か」

神楽はまだ帰らないとしても、銀時は帰って来てもいい頃なんじゃないのかな・・
と新八は窓の向こうへと視線を向けた。
太陽が真上から移動したものの、まだまだ明るくて、人々の行き交う音が
聞こえてくる。

それはこの静まりきった家の中とは違う世界の事のようで。

「って、何考えてんだよ、もう」

新八は頭を振って軽く頬を叩くと、さっさとすべき事をしてしまおう。と
押入れへと足を向けた。
そして勢い良く襖を開け、布団を仕舞おうとした所で不意にいつもこの中で
眠っている少女の事を思い出した。
ここは和室の押入れなので、同じ場所とは言えないが、押入れなんてドコも
同じだ。
ただ、中に何かが入っているかいないかの違いで・・・

新八は、今は布団が入っていない為空いているその空間に目をやった。

そう言えば昔、まだ幼かった頃。
借金取りが来た時に姉上に隠れさせられた事があったっけ。

新八はボーッとその時の事を思い出した。

確かあの時は、その前にやって来た時に、物凄く殴られてしまったのだ。
そのせいで熱を出してしまい、心配した姉上に無理矢理入れられて・・・

結局、殴られる痛みよりも姉上の事が心配だった自分は、
言いつけを守らずに出て行ってしまったのだけれど。

結局また殴られて、姉上に心配かけちゃったっけ、その時の事を思い出し、
新八は苦笑を浮かべた。
それからと言うもの、新八が隠れる時は妙も共に隠れるのが常であった。

大抵見つけられてしまったので、ほんのひと時の安らぎでしかなかったけれど、
酷く安心したのを覚えている。

そこまで思い出し、新八は空の押入れを見詰めた。

あの時とは違い、男達の怒声も何かを壊す音も聞こえない、静かな室内。
けれど感じる寒気は似ている気がする。

「・・・入ってみようかな?・・・」

いい年をして・・・とも思ったが、今この場所には自分以外誰もいない。
ならば・・・と、新八は押入れの中へとその身を乗り上げた。
そして中へと体を全部入れると、中で膝を曲げ、そのまま襖を閉める。
すると、真っ暗な世界が新八を包み込んだ。

「真っ暗・・・て、当たり前か・・・」

それでも、微かな隙間から零れてくる光の筋が何本か見え、
ホッと身体の力を抜いた。

押入れの中は少し黴臭かったが、それでもヒンヤリとしてて気持ち良かった。
新八はゆっくりと体を横に倒した。
神楽の寝ているトコとは違い、こちらにはまだ少し荷物が置かれているので、
狭いのだが、体を横向きにして足を曲げれば寝られない事もない。

「静か~・・」

押入れの外に居た時よりも音が遮断され、静けさが増しているのだが、
狭い空間がそれを気にさせない。
それどころか、ちょっとだけ居心地がいい様な気がする。
神楽が寝床にしている気持ちも少しだけ判る様な気がして、
新八はそっと体の力を抜いた。

「早く帰ってこないかな~」

新八は一人そう呟き、常に自分の周りにある音を思い浮かべた。

騒がしくて、時に下のお登勢から怒鳴られる事もある
そんな音を。

 

 


そのまま自分は眠ってしまったようだ。
突然の大きな音に目を開けば、先程よりも明るい室内。

・・・って、あれ?ここって部屋??

なんか狭いような・・・と思っていると、何時の間に帰っていたのか
酷く疲れた表情の銀時がこちらを見ていた。

予想よりも時間が掛かったのだから、やはり疲れたのだろうか。
と、まだ半分閉じている目を擦りつつ、お帰りなさい。と言えば、
大きな溜息を吐かれた。

なんで??と、寝起きの為まわらない頭を傾げていると、ギュッと抱き寄せられる。
その力強さと温もり、そして感じる心音に、焦りながらも
酷く安心している自分が居た。

 

でも銀さんの声は少し不機嫌そうだ。


どうしてだろう。と考え、辺りを見回して納得。
そりゃぁこんな所で寝ているのを見付けたら、驚きもするだろう。

って言うか、恥ずかしすぎる。
この年で押入れの中に入って眠りこけちゃうなんて。

からかわれるだろうなぁ。なんて覚悟していたが、銀さんはポツリポツリと
文句を言って、抱き締めてくるだけだった。

その内に神楽ちゃんも帰って来て、今度こそからかいの的になる!と、
急いで出ようとしたのだが、銀さんは許してくれず、
そのまま抱き上げられて、気が付けば神楽ちゃん共々抱え上げられて
グルグル回されてた。


お陰で静かだった家の中は、色んな音で溢れかえって。

待ち望んでた音が身の回りに合って。


振り落とされないように銀さんの頭にしがみ付きながら、僕はそっと


「お帰りなさい」


もう一度、心からの言葉を口にした。

*********************
押入れ話、新ちゃんVer。
ちなみに昔、友人宅に泊まる時は大抵押入れで
寝てました、私。
・・・結構安心するんですよ、あの狭さ。

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