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「沖田さん、どうしたんですか、こんな時間から」
突然現れた沖田の姿に、新八がオカズ事箸をテーブルの上に戻す。
あぁ・・・俺のオカズと新ちゃんの愛が・・・
嘆く銀時を余所に、沖田はズカズカと我が物顔で入り込むと、
そのまま銀時達が座っている側のソファへと腰を下ろした。
「いやァ、ちょっと確認しておきたい事がありましてねィ」
朝食も取らずに来た次第でさァ。と言いながら、床に座っている
銀時達の頭を超え、先程新八が小さく切ったオカズを一つ摘んだ。
「お、中々いけるじゃねぇか」
「っておいぃぃ!それ銀さんのだから!
警察が不法侵入の上、物取りですかぁぁ!!?」
慌てて立ち上がり、テーブルの上のオカズを死守せんと体で覆い隠せば、
背後から深い溜息が聞こえてきた。
ちらりと視線をやれば、そこには呆れ顔の新八が。
「・・・いい大人が何やってんすか」
「今は誰よりも子供です~」
そう反論して、プイと横を向く。
何時もならここでもっと冷たい視線が鋭く俺を突き刺してくるのだが、
やって来たのは優しい手の感触。
「はいはい、そうでしたね。沖田さん、そう言う事ですから、
あんまり摘まないで下さいね、お茶ぐらいなら出しますから」
ポンポンと銀時の頭を撫でると、背後の沖田にそう告げ、新八は台所へと
向かった。
何時もと違うその反応に、思わずボケッと新八の去って行った方向を
見ていると、再び腕の中に囲っていた皿へと手が伸びてくる。
「ちょっ、本当オマエいい加減にしてくんない?坂田家の食卓を
これ以上荒らすんじゃねぇよ!!」
な、神楽!!と、応援を求むように向かい側でご飯を食べている神楽を見れば、
「銀ちゃん、食事は戦場ネ。いつまでも他人に頼ってちゃ大きくなれないヨ」
そう言って炊飯ジャーを抱え込み、中のご飯をひたすら食い荒らしていた。
どうやら目の前の宿敵よりも、自分のご飯の方が大事らしい。
って言うか坂田家の食卓を勝手に戦場にすんなよ、コノヤロー。
けれど、納得してしまう部分(主に肉関係がオカズの時)も多々あるので
銀時はカクリと肩を落とした。
その肩をヒョイと掴まれ、クルリと廻されると次に脇に手を入れられ、
そのまま抱え上げられる。
「ちょ、止めてくんない?それ。なんか色々とムカつくし、
服、ずり落ちるから」
とりあえずの応急処置として、破れて修復不可能になった神楽の
Tシャツを被っていただけの銀時は、裾から出ている足をプラプラと
させながら沖田を睨んだ。
「確かに・・・大きくなれてませんねィ。寧ろ小さいでさァ」
「・・・ね、沖田君。気のせいかもしれないけど、視線が
銀さんのアナログスティックに向けられてるような・・・」
「小さいでさァ」
「おいぃぃぃぃ!!!ガン見!?
あえてガン見かコノヤロー!!」
「何やってんですか、沖田さん」
気の毒そうに呟く沖田に足蹴りでも食らわしてやろうと足をバタつかせるが、
どうにも届かない。
そこに、お盆にお茶を載せた新八が慌てたように
近寄ってきた。
沖田は銀時をクルリと回転させて新八と向かい合わせるように
抱えなおすと、
「見て下せぇ、こんなに小さい・・・・」
「うっせーよ!!って言うかクドイよ!何コレ、幼児虐待!!?
ドコまで前科増やす気だ、コラァァ!!!」
沖田の言葉を途中で遮り、そう怒鳴りつける銀時に、新八は訳が判らず
首を傾げると、一先ず持っていたお盆をテーブルの上に置き、
沖田の手から銀時を持ち上げた。
「確かに小さいですけど・・・それより沖田さん、何の用なんですか?」
さらりと言われた『小さい』宣言に、今度こそ本格的に肩を落とす銀時。
新八は訳が判らないなりにも気の毒に感じ、抱えたままポンポンと背中を叩いてあやす。
それがまた銀時の心に傷を残す訳だが。
益々項垂れる銀時を沖田は楽しげに観賞していたが、新八の問いかけに
そうだった。とばかりに軽く手を打ち、
「いや、成果を見に来たんですが・・・この分だと、昨日俺が
やった菓子を食べてやせんね、新八」
やれやれ・・・と肩を竦めた。
「いや、確かに食べてませんけど・・・」
なんで知っているのだと驚く新八の腕の中で、銀時がピクリと反応した。
そして恐る恐る顔を上げ、新八に問い掛ける。
「やったって・・・え?ウソ。昨日新ちゃんが貰ったって言うお菓子は・・・」
「沖田さんから貰ったものですよ」
あっさり答える新八に、銀時の顔から色が抜け落ちた。
「なっ!おまっ、えぇぇぇええ!!!?
オマエそんな事一言も言ってないじゃん!!」
「言う前に無断で食い尽くしたのは誰だ、この天パ」
文句を言う銀時に、冷めた視線を送りつつ冷静に答える新八。
いや、確かにそうだけれども!
無断で食べた銀さんが少しは悪いのかもしれないけれども!!
「真の危険人物から本格的な
危険物貰ってくんじゃねぇよ!」
っつうか何混入しやがった、天下の糖分にぃぃ!!と、鋭い視線を沖田へと
向ける。
沖田はその視線を物ともせず、置かれた湯呑みを取って一口飲んでから
口を開いた。
「ん?別にただのAP○PT○XIN4869を・・・・」
「おいぃぃ!!伏字のようで全然伏せてないからね、それ!!」
「その前に、なんでそんな物を混入させたんですか」
暴れながら叫ぶ銀時に、流石に抱えきれなくなったのか新八が腕の中から
下ろし、呆れ顔で呟いた。
それに沖田も呆れた顔を返す。
「なんでも何も、新八をちっさくする為でさァ」
なのに旦那がガキになってやがるし。そう言って大袈裟に肩を落とした。
「いやだから、なんでそんな事するんですか」
「聞くな、新八。どうせコイツの事だから、聞いた瞬間耳が穢れる様な
事しか言わねぇぞ!!」
「旦那には負けまさァ。あ、そういや新八、さっき旦那がもう少し
年齢が下ならオムツプレイ出来たのにぃぃって悔しがってましたぜィ」
「言ってねぇよ!!何すんなりウソついてんのぉぉ!!」
ウソだからね、銀さん、まだそこまで強要しないからね!!?等と
言いながら新八の足元に縋り付く銀時に、新八は判ってますよ。と
ばかりに優しく微笑む。
それにホッと息を吐く銀時だが、何故だか足が痛い。
「あの・・・新八?足どかしてくれる?銀さんの足踏んでるから・・・」
「で、話は戻りますけど・・・」
「え!?シカトォォォォ!!!」
「とりあえず理由と、戻し方を教えて下さい」
「別に戻らなくても万事屋は私が引き継いでやるネ」
寧ろそのままの方が場所取らなくていいヨ。と、それまで黙々と炊飯ジャーの
中身を食い尽くした神楽が、残っていた銀時のオカズへと手を伸ばし、
動きの取れない銀時を横目に、次々に口へと放り込んでいく。
「俺のオカズ~!!何、この無駄な連携プレー!!」
手を伸ばしてみるが、テーブルには届かず、ただ神楽へと消えていく
ご飯を見詰めるしかない銀時。
その頭上で新八達の話は進んでいく。
「戻し方も何も、明日になりゃ~自然と戻りまさァ」
「・・・本当ですか?」
思わず疑惑の目を向ける新八に、沖田はニヤリと笑みを返す。
「疑うなんて酷いねィ。俺はこう見えても天下の真選組ですぜィ?
一般市民に迷惑掛ける事なんざぁしねぇよ」
それを聞き、ご飯を全て食べ終えた神楽がユラリと立ち上がった。
「どの口がほざいてるカ?とりあえず食後の軽い運動ネ。
外に出ろ、コノヤロー。
銀ちゃん、ご飯の仇は討ってやるから安心するヨロシ!!」
「いや、殆ど食べたのお前だろ!!って言うか、ご飯の前に
こんな姿にした仇を討てェェ!!!」
銀時が叫ぶが、聞こえていないのか、それとも敢えて無視しているのか、
既に小競り合いを始めた二人は、所々破壊音を残しつつ、
万事屋から出て行った。
残ったのはちっさい銀時と新八、そして食い散らかされた朝食の名残。
「・・・まぁ、アレですよ」
新八は踏みつけていた足をどけ、カクリと頭を垂れる銀時に視線を合わす
様にしゃがむと、
「人のモン勝手に食うからだ、コノヤロー。ってヤツですね」
そう言ってニッコリと微笑んだのであった。
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・・・スミマセン、話が全然進んでませんι