[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「も~、何なんですか、銀さん!」
新八は、掃除していた手を止め、後ろを振り返る。
そこには、袴を掴んでこちらを見上げているちっさい銀時の姿が。
「単なる暇つぶし。ま、気にすんなや」
「いや、気になりますよ。今の見た目年齢に騙されて
可愛い~♪とか思っちゃいそうですけど、見てないと
三十路オーラがバリバリ背中に来てますもん」
「何そのオーラ!違うからね、銀さんまだ
三十路手前だからね!!」
「・・・無駄な足掻きを・・・」
懸命に言い募る銀時を小さく笑い、新八は仕方なしに再び
掃除へと戻る。
その間も銀時の手は外れず、新八の動くほうへと一緒に着いて来る。
「暇ならジャ○プでも読んでたらどうですか~?」
アンタの日課でしょ。と、後ろに居るであろう銀時に問い掛ければ、
首を振る気配がした。
「ダメダメ。あれはやっぱり少年のバイブルだね。
夢と希望が詰まりまくってて、幼児の手には余って読み辛ぇ」
っつうかでけぇ。そうぼやく銀時に、ならばテレビでも・・・と言えば、
今の時間帯に銀時の好みのものはやっていないと言う。
「パチンコも行けねぇし、飲みにも行けねぇ。ガキってのは
不便だねぇ」
「それらはお金のない大人も行けないって知ってました?銀さん」
「いい事があるとすりゃあ、こうして新ちゃんのケツを間近で
拝めるぐらい・・・」
「って、三十路オーラの正体はそれかぁぁぁ!!!」
振り向きざま、銀時の頭をペシリと叩く。
そして袴を掴んでいた手を外させると、両脇に手を入れて銀時を抱き上げると、
拭き終わったソファの上へとその体を落とした。
「そこから下りたら、子供だとて容赦はしませんよ?」
姉譲りのスマイルを浮かべ、そう告げると銀時はコクコクと素直に頷いた。
それを見て新八は、何時もよりかなり触りやすい位置にある頭を数回撫で、
掃除へと戻っていった。
「・・・昼寝でもしますか」
視界から消えた新八の残していった感触に、
銀時は照れ臭そうに触れると、ソファの上にゴロリと横になった。
そこに入ってくるのは、何時もより遠く感じる室内。
感じるのは、何時もより広いソファ。
なんとも居心地の悪い感触に、銀時は小さく舌打ちすると、
急いで目を閉じた。
どれくらい時間が経ったのか、銀時が目を覚ますと、部屋の中が
ほんのりと夕陽の色に染まっていた。
いつの間にか掛けられていたタオルケットを取り、辺りを見回す。
すると、和室の方から微かに聞こえる物音に気付き、銀時は
膝立ちになり、背凭れの上にチョコンと顔を出した。
見れば新八が夕陽の差し込む中、洗濯物を畳んでいる所だった。
それが何時もより遠い場所の光景のようで、銀時は一瞬声が
出なかった。
「あ、起きました?」
銀時が起きたのに気付いた新八が、洗濯物から顔を上げる。
向けられる笑顔にホッと息を吐くと、
「ん~。・・・な、もう下りていい?」
三十路オーラは自粛するんで。そう言う銀時に、新八は小さく噴出すと、
どうぞ。 と告げた。
新八の許可を得た銀時は、ソファから飛び降り、小さい足を懸命に
動かして新八の元へと向かうと、膝に乗せられてた洗濯物をどかし、
新八を跨ぐ感じで前から抱き付き、腰を降ろした。
「・・・アンタ、自粛するって言ってませんでしたか」
「今は子供として甘えてるんです~」
そう言うと、新八の胸元にグリグリと額を押し当てた。
銀時のそのあまりの子供っぷりに、剥がそうとしていた新八の手も止まる。
「大人でも甘えて来るくせに」
「・・・うるせー」
クスクスと笑う新八の声を近くで感じ、銀時は安心していく自分を
感じた。
頬を撫でるその手も、冷たくてとても気持ちがいい・・・
新八の手の感触に、再び目蓋が重くなってきた時に、頭上から
少し慌てたような声が落ちてきた。
「・・あれ?銀さん何か熱くありません?」
「ん~、そっか~?」
「そうですよ!・・・って銀さん!?」
新八が呼びかける中、、銀時の体から力がクタリと抜けた。
次に目を覚ました時、周囲は既に闇の中だった。
「・・・へ?」
突然の時間移動に、銀時は開けた目をパチクリとさせる。
「え、何で夜?」
不思議に思いながらも、とりあえず体を起こそうとするが、
何かが邪魔して動けない。
銀時は仕方ないと首だけを動かしてみる。
すると、直ぐ横に新八の寝顔があり、再び目を瞬かせた。
見れば片手は自分と新八の顔の間で繋がれており、
もう片方の手は銀時の腹辺りにあるようだ。
・・・これじゃあ動けねぇ訳だ。
まるで包み込まれているような状況に、銀時は苦笑を浮かべる。
だが、なんでこんな状態に?
確かあの時、昼寝から起きて・・・
と、自分の行動を思い浮かべようとした時、額から何かが
ずれ落ちてきた。
それは濡れたタオルで、漸く銀時は自分が発熱してしまったのだと
理解した。
多分脱臼のせいだな、こりゃ・・・
銀時は原因に思い当たり、溜息を吐く。
そして隣で眼鏡を掛けたまま目を閉じている新八に目をやる。
相当疲れていたのだろう。
どうやら自分の看病をしながら、眠ってしまったようだ。
「心配、掛けちまったよなぁ。肩外すわ熱出すわちっこくなるわで。」
ま、大半は俺のせいじゃないけどよ。そう言って握られている指を
そっと撫でる。
「普段ならあれぐらい自分でどうにかすんだけどよ。
・・・安心しちまったんだよなぁ、オマエに抱き締められて。
あぁ、もう情けねぇなぁ、おい。」
どうすんのよ、もう離れらんなくね、俺。そう呟いて銀時は
ま、離れねぇけど。と苦笑を零した。
そして視線を天井に戻し、一つ息を吐く。
「けどなぁ、密かに楽しみにしてたんだけどなぁ。
主に風呂とか風呂とか風呂とか?
だって銀さん、ちっさいもん、今。一人だと危なくね?
新八、ほっとけなくね?
使わない手はなくね?
だから堂々と新八と入れるな~・・・なんて夢描いてたんですけど?」
なのに行き成り夜って酷くね?そうボヤク銀時の口に、突然新八の
手が勢い良く覆いかぶさってきた。
「って!ちょ、なんか今殺気篭められてた気がすんですけど!!?」
慌てて新八を見るが、起きた様子はなく、目は閉じられたままだ。
・・・ツッコミ、恐るべし!!
思わず身じろいだ銀時だったが、新八の腕がそれを許さず、
寧ろ胸元へと引き寄せられてしまった。
「え、マジでか!?新ちゃんってば以外に大胆・・・」
呟いた瞬間、銀時を抱き締める腕に力が篭められた。
「グェ!!ってオマッ!起きてね??」
「寝てます~」
「起きてんじゃん!!!」
「寝言です」
「いや、完璧起きてるよね?覚醒しまくりだよね?
・・・ってか、何時から起きてたんだよ」
恐る恐る問い掛けてくる銀時の頭を抱き寄せ、新八は ん~ と考えると、
「アンタが犯罪スレスレの妄想を語りだす前?」
「最初っからかよ!!」
ギャーッ!!と叫ぶ銀時の背中をポンポンと叩いてあやした。
「まぁまぁ。とりあえず馬鹿みたいな妄想は鼻で笑い飛ばす
だけで済ませてあげますから」
「てめっ!銀さんをあんま舐めんなよ!甘いから!!」
「糖で出来てんのかよ。いいですよ、舐めないですから。
それよりもう少し寝てて下さい、安心するでしょ?」
こうしてると。そう言って抱き締めてくる新八に、銀時は声も出ない。
「・・・オマエ、笑ってるだろ」
振動で判るんだよ。ブスくれた声で告げる銀時に、一層新八の笑みが
深まる。
「チキショー、明日元に戻ったら絶対甘やかす!
徹底的にウザイぐらい甘やかしまくってやるから覚えとけ
コノヤロー!!」
「はいはい、上等だ、コノヤロー」
「で、一緒に風呂に入るからな!!」
「それは無理です」
でも、偶にはまた甘やかしてあげますよ、
離れられなくなるように。そう言って笑うと、新八は
アワアワと慌てる銀時を無視し、その髪に鼻を埋めると
ゆっくりと目を閉じた。
とりあえず、明日は手を繋いで神楽ちゃんを迎えに行こう。
小さい掌ではなく、あの大きな掌を包み込んで。
*************************
一応これで終わりです。後は後日話が少し?
とりあえず蒼月 銀牙様、こんな感じのものに
なりましたが、如何だったでしょうか??
本当、ダラダラ長くてすんませ~んっ!!!
少しでも気に入って頂けたら嬉しいのですが(滝汗)
リクエスト、本当に有難うございました。