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神楽と全ての元凶である沖田が去って行った後、新八からも中々の
パンチを食らい、おまけに朝ご飯もなし。
俺が何したってんだよぉぉぉ!!!
ってつまみ食いさ、コノヤロー!!!!
と、出てきそうになる雄叫びをぐっと飲み込み、ソファへとよじ登って
丸くなる銀時。
こうしていると、少しだけ空腹が紛れる気がしてくる。
だからしているだけで、別に拗ねてたりするんじゃないからね!
言葉に出していたらドン引き間違いなしな事を考えていると、
チョンチョンと肩を突かれた。
それに視線だけをあげて答えると、苦笑した新八が屈み込むようにして
こちらを見ていた。
「朝食抜きは可哀想ですしね」
新八のその言葉に、銀時の目が輝く。
さすが新八!何時如何なる時も銀さんへの愛は変わらねぇんだな!!
さ~、邪魔者もいねぇし、さっきみたいにお膝であ~んを!!
と、体を起こした銀時の目の前に差し出されたのは、イヤに成る程
馴染みになった豆パン。
「これならちっさくても一人で食べれますよね?」
はい、よく噛んで食べてくださいね。そう言って新八は豆パンを
銀時の小さな両手に持たせた。
「じゃ、僕後片付けしてきますから」
言うなり、新八は荒らされた食器を持ち、台所へと姿を消してしまった。
故に、お膝抱っこもなし。
「はは、さすが新八。良く気が回ることで・・・」
気遣いの鬼だね、俺の奥さんは。そう呟いて口にした豆パンは、
何時もより少しショッパイ気がした銀時であった。
「にしても、今日仕事入ってなくて良かったな~」
ま、入ってる方が珍しいんだけど。新八は乾いた笑いを浮かべながら
食器を洗っていた。
その時、不意に袴を引っ張られるのを感じ、
くるりと振り返るが、そこには誰も居なく、カクリと首を傾げる。
すると再度引っ張られ、序に名前も呼ばれた。
「ドコ見てんのよ、オマエ」
「あ、銀さん」
視線を下に向ければ、其処には豆パンを片手に、そしてもう片方の手は
新八の袴を掴んでこちらを見ている銀時が。
「どうしたんですか・・・って食べ歩きしちゃダメでしょ!」
「いや、だって喉乾くんだもん」
オマエ、湯呑みも全部片付けちまうし。と、口をモゴモゴさせながら
言う銀時に、新八は そうだった。 と、急いでコップを持ち、
冷蔵庫へと向かう。
「え、何々?イチゴ牛乳??」
それに袴を掴んだまま着いて行く銀時が嬉しそうな声を出した。
新八は銀時の無意識であろうその仕草に、クスリと笑みを零した。
「今日だけですけどね?」
新八は冷蔵庫から取り出したイチゴ牛乳をコップへと注ぐと、
嬉しそうにこちらを見上げている銀時へと手渡した。
が、片手では持てないらしく、次第に眉間に皺を寄せていく。
「面倒臭ぇなぁ、ちっちぇ~ってのはよ」
「不精しようとするからですよ。はい、パン貸して下さい、持ってますから」
新八はしゃがみ込んで銀時から豆パンを預かると、先程と同じように
銀時の両手にコップを載せてやる。
「おぅ、悪ぃな」
漸く甘味にありつける・・・と、笑顔でそれを受け取ると、
そのままゴクゴクと中身を飲み干してしまう。
そして満足げに もう一杯 と差し出す銀時を、新八は呆れたように
見返し、その頬に手を向けた。
「全く、中身は全然変わらないんですね」
そう言って口元にあったパンのカスとイチゴ牛乳を丁寧に拭っていく。
「・・・なんか新ちゃん、甘くない?」
日頃とは全く違う新八の反応に、照れ臭いやら怖いやらで、銀時が
恐る恐る問い掛ける。
新八はそのまま柔らかいほっぺをムニムニと触り、
「・・・やっぱ見た目って大事ですよね~」
等としみじみ呟き、再び豆パンの塩っ気を増加させたのであった。
その後、本格的に拗ねた銀時がソファの上で丸くなっている間に
昼食となり、飛び出していった神楽も帰って来た。
そんな本日の昼食メニューはお握り。
銀時の小さな手でも食べやすい様に・・・と言う、これまた新八の
心優しい気遣いのもので、銀時は涙ぐみそうになる。
それを食べながら、神楽が銀時に食べ終わったら遊びに行こうと誘った。
「やだよ、なんでそんなのに行かなきゃいけねぇんだよ」
「子供は外で遊ばなきゃダメネ!そうやって大きな子は小さい子を
構ってやってると言う自己満足に溺れ、
小さい子はそれに白けた目を向けつつも
甘い蜜を吸う要領を覚えていくものネ!」
「そんな腹黒いリアル子供社会を見せるんじゃねぇよ!」
子供は黙ってお昼寝タイムだ!!と、お握りを食べ終えた銀時は、
そのままソファへと寝転んだ。
「ちょ、銀さん!直ぐに寝たら牛になりますよ!!」
銀時へと手を伸ばし、その肩を揺らそうとしたその瞬間、同じく
お握りを食べ終えた神楽が、銀時の居るソファへと
テーブルを飛び越えてやってきた。
「いいから工場長の言うとおりにするネ!」
そして銀時の腕を掴み、グイグイと引っ張る。
相当ちっさい銀時で遊び倒したいらしい。
「っぃて!!マジ痛いから!!!」
「は~や~く~行~こ~や~」
「ばっ!オマ本当、もげる、腕がもげるから!!」
「大丈夫ネ、腕がもげてもギューギュー押し込んだら
元に戻ったネ、たかちゃんのお人形!」
「テメ、コノヤロー!大量生産されてる玩具とオンリー・ワンな
銀さんを一緒にすんじゃねーよ!!!」
「ちょっ、二人とも落ち着いて・・・・」
暴れる二人を止め様と、新八が割り込もうとした瞬間、
銀時の肩が大きな音を立て、声にならない悲鳴が万事屋を駆け巡った。
「えっと・・・災難でしたね、銀さん」
「明らかに人災だろ、人災。」
眉間に皺を寄せながら、銀時が呟く。
その肩にシップを貼りながら、ですよね・・・と、新八は小さく溜息を吐いた。
あの後驚き固まってしまった自分達をよそに、
肩の外れた銀時は少しの間をおいて、何でもないように
自分で肩をはめた。
どうもこちらの方が痛いらしく、足をバタつかせてはいたが、
直ぐに茶化すように 馬鹿力。 と神楽を笑った。
その言葉に、呆然と立ち尽くしていた神楽が 弱っちぃよりいいネ。
と文句を言ったが、心なしか顔色が悪かった。
「ま、あれだ。ガキってのは外れやすいもんなんだよ」
銀時はそう言うが、相当ショックだったのだろう。神楽は久しぶりに
姉御の所に泊まりに行くと言って、先程出掛けていった。
大切な酢昆布を一枚、銀時の頭に乗せて。
その酢昆布を食べながら、眉間の皺を深めている銀時を見詰め、
新八はその皺の理由を考える。
痛みのせいか、それとも今頃心を痛めてる少女の為か。
・・・両方って言うか、後者の方が割合高いよね、きっと。
ならばせめて。
大きな割合を占めているだろう事は取り除けられなくても、
痛みぐらいは取り除いてあげたい。
新八は巻き終わった包帯をそっと撫で、
「痛いの痛いの~・・・食べちゃえ!」
パクリと撫でていた手を口元へと当てた。
「・・・・・ヒへ?」
妙な声がして、新八は顔を上げると、そこには頬を染め、目を丸くして
いる銀時が口をパクパクさせていた。
何ですか? と首を傾げると、銀時は尚も顔を赤くし、
「だってオマッ。ガキじゃねぇんだから・・・ってガキか、俺!
いいな!ガキって。
じゃなくて、普通それって飛んでけ~って・・・」
慌てながらも新八に問い掛けた。
銀時のその態度に新八は小さく噴出すと、
「ウチはこれでしたよ。飛んでけ~よりインパクトあるでしょ?」
だから痛くて泣いてても、びっくりして泣き止んじゃうんです。そう言う
新八に、銀時はムッと口を尖らす。
「いや、確かに驚いたけど。今脈拍スゲーけど。
でも銀さん、泣いてねぇし」
「でも、少しはマシになったでしょ」
新八は皺の消えた銀時の眉間を見、ホッと笑みを浮かべた。
「明日戻ったら、一緒に神楽ちゃん迎えに行きましょうね」
「・・・・・・・仕方ねぇなぁ」
そう言いながらも、漸く柔らかくなった表情の銀時に新八は
安心すると、出してあった包帯などを薬箱の中へと片付け始めた。
すると、その袖がツイッと引かれる。
見れば顔を俯かせた銀時が、包帯の巻かれていない手で新八の袖を握っていた。
「どうしました?」
そう問い掛けると、返ってきたのは小さな声とささやかな要望。
そして微かに見える、赤く染まった小さな耳。
新八はクスリと笑うと、その願いを叶える為、再び銀時の
肩へとそっと手を這わせたのであった。
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漸く少しだけ銀新ぽかったらいいな~(待てι)
すみません、次ぐらいで終わらしたいです。