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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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まだ夜も明けてそんなに経っていない頃。
土方は徹夜明けの体を引きずり自室に帰る途中で、山崎に呼び止められた。
少しでも体を横にして休みたい土方にとって、それは目つきも悪くなるのに
拍車を掛けたが、既に慣れつつある山崎にそんなものは効きやしない。

けれど、好き好んで八つ当たりを受けたい訳でもないので、山崎は
至ってシンプルに呼び止めた用件を告げた。
それを聞いた土方は、大きく溜息を零して項垂れ、あと少しで辿り着ける
自室に背中を向けた。

 


まだ人通りも少ない道を歩き、土方は無事目的地へと辿り着いた。
古くはあるが、それなりに立派な玄関の前で来訪を告げれば、
奥の方から少し高めの声が返ってくる。
そして軽い足音と共に、この家の住人である眼鏡の少年の姿が現れた。

「あ、土方さん。お早うございます」

「あぁ・・・何時も悪いな。で、近藤さんは?」

ニコやかに挨拶をしてくる新八に、軽く手を上げて答え、
土方は 庭か? と視線をそちらへと動かした。
そんな土方に、 それが・・・と、新八は困ったように眉を下げた。

「どうした?」

「いえ、あの電話した時は何時もどおり倒れてたんです、庭で。
で、電話した後縁側まで運んだんですけど、そこに姉上が来て、
ハーゲ○ダッツがないわね・・・って言った瞬間・・・」

「・・・・行ったのか」

「・・・はい。そりゃ~もぅ凄い勢いで飛び起きて、そのまま・・・
一応その後真選組に電話したんですけど、もう土方さん、出られた後
だったみたいで・・・」

すみません。と頭を下げる新八に、土方は出そうになる溜息を飲み込み、
下げられた頭へと手を伸ばす。

「別にオマエのせいじゃねぇだろ。気にすんな。それに元々は
こっちが迷惑かけてんだしな」

「あはは、そうでした。」

軽く撫でながら言う土方の言葉に、新八の顔に笑顔が戻る。
それに安心した土方は、少し待たせてもらえるか・・・と聞き、
了解を得ると家の中へと足を踏み入れた。

 

「にしても、今日は車じゃないんですね」

何時もなら気絶した近藤を迎えに来るので、大抵車でやって来る。
なので、今日みたいな事があったとしても、無線で連絡が行くのだが・・・
縁側へと案内した新八が不思議に思い聞いてみると、

「あぁ。徹夜明けでな、事故りそうだったんで歩きだ」

と言う答えと、小さな欠伸が返ってきた。
土方にしては珍しいその行動に、新八の目が少し見開く。

「・・・本当に眠そうですね」

「まぁな・・・ここの所忙しくてな、きちんと眠れたのは確か・・・」

縁側に腰を下ろしつつ、指折り数え始めた土方に、新八の顔が心配げな
ものへと変わる。

「大丈夫なんですか?」

「あぁ、今日は午後からだし、もう少しすれば少しは楽になるからな」

土方はそう言うと、新しいタバコを取り出し、火を着けた。
新八はそれを見ると、近くの座敷に常備されている灰皿を持って来て
土方の隣へと置いた。

「・・・わりぃな」

「いえ、これもう真選組専用なんで」

気にしないで使ってください。
笑ってはいるが、どこか怖いその表情に、土方は少し首を傾げる・・・が、
その専用灰皿を見て納得した。

・・・この薄っすらとついてる染みは近藤さんのか・・・

細い部分に見える赤い染みに、この灰皿の本来とは違う使用例に気付いた
土方は今度こそ大きく溜息を零した。

「本当・・・わりぃ」

「いえ、もう慣れました。あ、今お茶持ってきますね」

肩を落とす土方に、先程とは違った本当の笑顔を送ると、そのまま台所へと
姿を消した。

縁側に残ったのは土方一人。
ナニをする訳でもなく、ただ目の前の庭を見詰めていると、
ドコからか小鳥の鳴く声が聞こえてきた。
気温は寒くもなく、かと言って暑くもなく。

・・・今眠ったら気持ちいいだろうなぁ。

等と思ってしまうのも無理はない。
だが、ここはただでさえ迷惑を掛け捲っている志村家の縁側なのだ。
・・・まぁ万事屋には色々とこちらも迷惑を掛けられてはいるが、それは
あくまであの銀髪に・・・な訳で。
大体一般常識を考えても、そんなに親しくない人様の家で寝る事は
出来ないだろう。
年若いながらも、キチンと背筋が伸びている新八の事を、
土方は気に入っているのだ。
そんな少年の前で、だらしない態度を見せる事は出来ない。

土方は遠くなりそうな意識を戻す為、力いっぱい頭を振ると、
短くなったタバコを灰皿へと押し付け、新しいものを口に咥えた。

「あ、土方さん。吸いすぎですよ?」

すると、背後から咎める様な声が土方にかかった。
それを緩慢な動きで振り返ると、

「眠気覚ましだ」

とだけ答えた。
その答えに新八はムッと口を歪める。

「そんな不健康な眠気覚ましは止めて下さい」

はい、どうぞ。そう言って手にしていたお盆を置き、土方に進める。

「おい・・・これ」

見ればソコには暖かそんな湯気を出すお茶と、美味しそうなお握りが。

「朝ごはん、まだですよね?」

僕もまだなんで一緒に食べましょう。そう言って笑う新八に、少し戸惑う。
ただでさえ眠いのだ。これで腹を満たしたら、眠気所じゃなく
一気に爆睡だろう。

「で、食べたら少しでもいいから寝てって下さい。
どうせ近藤さんが帰って来るまで待ってるんでしょう?
時間は有効に使わなきゃ」

迷う土方を他所に、ニコリと笑って 頂きます。 
と言うと、新八はお握りの一つを手に取り、食べだした。

土方は、そんな新八にフッと笑いを零すと、同じようにお握りへと
手を伸ばした。

「って言うかマヨネーズはねぇのか?」

「中身はツナマヨですよ。それで我慢して下さい」

土方の要望をキッパリと斬って捨てると、新八が あ と声を零した。
その視線を追えば、そこには何処かの家で上げられていく鯉幟の姿が。

「そう言えば今日はこどもの日でしたね」

新八の言葉に、土方は今日の日付を思い出す。


疲れた体を引きずって、漸く休めると思えば、近藤の回収要請

しかも来てみれば本人はいなく、睡魔と戦いつつの待機状態。

あと数時間もすれば、また激務の始まりだ。

だが・・・


土方は手にしていたお握りに齧り付き、優雅に泳ぎ始めた鯉幟に目をやる。


穏やかな朝日の中、美味しい握り飯にありつけた。

しかもその後は、近藤が帰って来るまで・・・と言う期限付きではあるが、
安らかな睡眠時間を手に入れる事が出来た。

おまけに隣には、結構気に入っている眼鏡の少年だ。


・・・中々いい誕生日なんじゃねぇのか?これは。


「いい日になりそうですね、今日」

「・・・・だな」

青い空を見上げ、そう笑う新八に、土方は口元を緩く上げ、答えた。

*******************
少し遅れましたが、トッシー誕生日話です。

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