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「そう言やぁ新八、その手、どうした?」
放課後、何時ものように先生に手伝いを要請され、
とりあえず資料の整理をしていると、不意にそう声を掛けられた。
「・・・別になんでもないですよ。それより早く手ぇ動かして
下さいよ」
止まってますよ。頬杖を着いてこちらを見ている先生に
そう告げると、僕は机の上に揃えた資料を抱え上げようとし、
そのまま止まってしまった。
何故なら、先生に手を捕まれたから。
そのままグイッと引き寄せられ、僕達は机を挟んで急接近してしまう。
「先生・・・」
手伝えって言ったのに邪魔してどうすんですか。
ってかやる気あんのか、コノヤロー。
そう言う気持ちを込めて視線を送ってみるが、先生には届かないようだ。
掴んだ僕の手を自分の目の前へと持ってくると、繁々と
先程から気になっているだろう部分を見詰め始めた。
「昨日はなかったよな、これ。」
どったの?火傷みたいだけど。僕の手から視線を動かさず、そう問い掛けてくる
先生に、僕は少しだけ溜息を吐いた。
本当、変な所で目敏いんだから。
「ちょっと料理しててやっちゃったんです、昨日」
答えない限り先生は開放してくれないだろう。
僕は簡潔に答えて、手を振りほどこうとしたが、先生はまだしっかりと
手を掴んで離そうとしない。
それどころか・・・
「おいおい気を付けろよ~。お前の体はお前一人のモノじゃないんだよ?」
そう言うなり、僕の手の火傷をペロリと舐めた。
「ちょっ!!!何してんですか、アンタ!!!」
舐めた!!この人、人の手勝手に舐めたぁぁぁ!!!!
慌てて手を引っこ抜こうと力を込めるが、それ以上の力で
捕まれてる為、どうしようも出来ない。
焦る僕に先生はちらりと視線を向けると、
「ん~消毒消毒」
と、先程よりもねっとりと舌を這わせ、パクリと口を開けて
その部分を覆ってしまった。
が、その後も先生の口の中で舌は動いているようで、
火傷の部分の上を熱い何かが動いている感触が掌から伝わってきた。
目に見えない分、余計それが生々しく感じ、僕は大きく体を
震わせてしまう。
その反動で、折角集めた資料が机の上から流れ落ちてしまった。
けれど僕はそれ所では無いわけで。
「せ、先生っ!ホント、もうやめ・・・」
自然と震えてしまう腕の先で、先生は漸く視線を上げ、
ちゅっと最後に小さい音を立てて僕の手から口を離すと、
掴んだ手をそのままに、僕の方へと体を起こした。
「ごめんごめん、悪かったって」
だから泣くな。そう言うと、今度は僕の目元へと軽く唇を落とした。
それにビクリと体を震わせるが、先生は気にしないで
そのまま僕の首筋へと顔を移動させた。
「でもお前が火傷なんかするから悪いんだろ?」
俺はこんなに大切にしてんのにさ。そう言ってクスリと笑う先生に、
僕は一度唇を噛み締める。
何か・・・と言うか色々言ってやりたいが、
言葉が出てこない。
せめて・・・と擦り寄ってくる先生から体を離そうとするが、
それも上半身が少し離れただけで終わってしまう。
しかも先生、寄ってくるし!!
も~、なんなんだよ、一体!!
怒りなのかなんなのか、僕の頬がますます熱くなっていく中、
先生はクンッと鼻を鳴らした。
「ん~、なんか今日、甘い匂いすんね、新八」
その言葉に、僕の体は小さく震えた。
先生はそれに気付いたのか、酷く楽しげな声を僕の耳元に
送ってくる。
「何時もはこんな怪我、しないよな?後こんな甘い香りも・・・」
なぁ新八?そう問い掛けてくる先生の顔は見なくても判る。
きっと滅茶苦茶いい顔で笑ってんだ、
この人はぁぁぁぁ!!!!
何も言えず視線を下に向けると、視界の隅でやっぱり上がってる
先生の口元が見えた。
「で?昨日何作ったの?」
おまけに声、メッチャ嬉しそうだし!
判ってるだろ、絶対アンタなんか気付いてるだろ!!
僕は未だ捕まっている手をギュッと握り締めた。
チキショー、こうなったら一人で食べてやる!!
寧ろ目の前で貪り食ってやるぅぅぅぅ!!!!
カバンの中にあるカップケーキを思い浮かべ、僕はそう固く誓った。
お祝いの言葉だって言ってやるか、コノヤロー!!!
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坂田誕生日話・3Z版
・・・考えてみれば、通常版も誰も祝いの言葉を
言ってねぇぇぇぇ!!!(笑)