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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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「じゃぁ今日のHRはコレで終わりなぁ」

さっさと帰って迷惑掛けないよう引き篭もってろよ~。と、相も変わらず
やるきのない声と言葉で終わりを告げてくる担任に僕は一つ息を吐いた。

 

夏休みが始まる前の日、目の前の担任から告白まがいな事を告げられた僕は、
とりあえず逃げた。

だって突然の事だったしね。
なのになんかドキドキしちゃったからね。

だから、逃げた。

一般的な常識を持った大人になりたいと思っている僕にとっては、
当然の結果だろう。

そりゃ~先生の事は、なんだかんだ言っても好きな方だと思う。
あ、別に変な意味じゃなくてね?
普通に、そう先生としては尊敬出来ないけど、一緒に居ると楽しい。
じゃなきゃ、頼まれたって毎日の様に準備室の掃除をしに行ったり
お弁当を分けて上げたりしない。

でも、だからって付き合うとかデートとかはないと思う。

だって僕達は先生と生徒なのだ。
ドラマとかではよくある設定であっても、現実にそれをしてしまうと
色々と問題があるだろう。

ない。本当ないよ、ソレ。
僕は見掛け通りの地味ライフを送れればそれでいいのだ。
一般的な常識人になるのだ。

だからあの時感じたドキドキもなかった事にした。

・・・なのに、次の日の朝、何故か僕のウチの玄関に現れた先生を
見て、再びドキッとしてしまったのだ。

まぁそれはデートの誘いなんかではなく、残務処理の
手伝いをして欲しい・・・てモノだったんだけど。

勿論僕は丁重にお断りした。

折角の夏休みだって言うのに、なんでそんな事をしなきゃいけないんだ!
扱き使うのにも程があるだろう!!
って言うか僕のトキメキを返せよ、コノヤロー!!!!

あ、ウソ。最後のはウソ。違います。
全然そんな事思ってないから。単にムカついただけだから。

で、さっさと追い返したのだけれど、先生は次の日もウチにやって来た。
次の日も次の日もやって来た。

誘う内容は何時も同じ、仕事の手伝い。

なんなんだ、この人は。
夏休みの生徒に手伝ってもらわないといけない程切羽詰ってんのか!?


そんな日々が続いた結果、

「先生、いい加減にして下さい。折角の夏休みなんですからね!
幾ら来られても手伝いなんかしませんよ!?」

僕はとうとうキレて玄関の扉越しにそう言い放った。
全く毎日毎日、人の事なんだと思ってんだ!

きっとあの日言った事も冗談だったんだ。
そう言えばきっちりとした言葉を告げられていない。
からかって、あわよくば夏休みも手伝いをして貰おうと思ったのだろう。

最悪だ!!!

よく考えれば判る事なのに、何を真剣に考えてしまったのだろう。

悔しさに、少しだけ目の前が霞む。
すると、その霞んだ扉の向こうで、何かが当たる音がした。
そして続く先生の声。

「じゃあさ、手伝いはしなくていいから顔、見せてくんね?」


俺、オマエの顔見ないと一日が始まんないのよ。


言われた言葉に驚きつつも、つい勢い良く扉を開けると、物凄い音がした。
見れば下のほうで先生が頭を抱えて蹲っている。
どうやら少し前の何かが当たる音は、先生のオデコだったらしい。
結果、今のこの惨状と言う訳だ。

悪いと思いながらもつい噴出すと、恨めがましい視線を送られた。

それから、一応手当ての為・・・と先生を部屋に上げる。
時間は大丈夫かな?と思ってそう尋ねると、

「あ、それは大丈夫。別に行かなくてもいいし。」

と言われた。

・・・は?

「だって毎日ここに来て手伝えって言ってたじゃないですか?」

仕事、忙しいんじゃないんですか?冷やしてきたタオルを差し出しながら
そう聞くと、タオルごと手を掴まれた。
驚いて視線を先生を見ると、ソコには夏休み前、僕に告白まがいな事を
告げてきた表情と同じものがあって。

瞬間、ここの所なくなっていた胸の鼓動が聞こえた。

そんな僕の状態を知ってか知らずか、先生は掴んでいない手をゆっくりと
伸ばし、僕の目元にそっと当てた。

「なぁ、なんで泣いてたの?」

「え?」

最初、何を言われてるのか判らなかったけど、優しく目元を拭われ、
その手を自分の口元に持っていき、ペロリと舐めた先生を目にして
漸く先程までの自分を思い出した。

「ちょ!何してんですか!!!」

「うわ、新八、顔真っ赤」

「うっさい!!!」

んな事言われなくても判ってるよ!!!

ニヤニヤと笑っている先生を前に、
僕は未だ掴まれている手をブンブンと振った。
だが、一向に離れる気配がない。

「もぅ!!いいからさっさと学校行って下さいよ!!!」

「ん?だから行かないって。別に仕事ねぇもん」

「だからなんでないんですか!!!
仕事手伝えって毎日誘いに来てたでしょ!!!」

そう言えばさっきも答えて貰ってなかった。
僕はグッと視線に力を込めて先生を睨み付ける。
すると先生は困ったように笑うと、 あれ、ウソ。 と答えた。

「ウソって・・・え?何が?」

「だから仕事手伝えっての。」

そう言うと掴んでいた僕の手ごと、先生は濡れたタオルを自分の額へと
押し当てた。

「デートって言うと用心して絶対出てきてくんないだろ、お前。
あん時もさっさと帰っちゃうし。
でも仕事手伝ってって言えば、安心して出てきてくれるかなぁ・・と。
だからウソついたの。ごめんなぁ」

全然申し訳なさそうにしてない笑顔でそう言われ、怒る前に
あまりの子供っぽいウソにカクリと体の力が抜けるのを感じた。

だって僕が手伝うって言ったらどうしてたんだよ。

そう言うと、

「や、その時はきっちり手伝ってもらって、その後お礼と称して
デートに繋げる」

と答えられた。

・・・て事は、やっぱり仕事はあるんじゃねぇか!!!

仕方が無いので、その日は僕も手伝いとして先生と一緒に学校へ行った。

や、デートには繋げさせなかったけどね。

 

「ま、夏休みの学校の教室で二人っきりってのも
ある意味家デートのようなもんか」

帰り道、コンビニで買ったアイスを食べながら先生にそう言われ、
僕は思わずアイスを噴出しそうになった。

ドコまでデートに拘る気なんだ、この人は!!!

そう言うと、先生は前を見たままムスッとして答えた。

「仕方ねぇだろ。オマエが好きなんだからよぉ」

だから毎日会いたいし、デートもしてぇんだよ。

そう呟いた先生は、次の日もきっちりと僕の家へとやって来たのだった。

 

 

こうして夏休み前に告白まがいな事を告げられた僕は
夏休み中にきっちりと告白され、今に至る。
ドキドキは、なくなる所か増える一方だ。

本当、どうしてくれるんだ、コノヤロー。
責任取れっ・・・てなしなし。それなしね。
なんかソレこそ思う壺って感じだもん。


「あ、新八は残って先生の手伝いね~」

よろしく。と、力なく手を振って元凶である先生は教室を出て行った。

「大変だね~、毎日毎日」

「イヤな時はイヤって言えよ?
っつうかあんま甘やかすな、あのヤローを」

それを見送っていると、山崎さんや土方さんが気の毒そうに声を掛けてきてくれた。
僕はそれに乾いた笑いを返し、席を立つ。

そうだね。イヤな時はイヤって言った方がいいよね。

そう思うものの、足は自然と先生が待っているだろう資料室へと
向かって行った。

*************************
一万打企画であった3Z話のその後です。
エースさん、どうやらウチの新ちゃんは
夏休みの半分も逃げれなかったようです(笑)

拍手[3回]

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