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銀魂(新八中心)の同人要素満載のサイトです。 苦手な方はご注意を。
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呑みに行き、そのまま朝日と共に帰宅となった銀時は、痛む頭を抱えながら
静かに万事屋の玄関を潜った。

「うぉ~い、たでぇまぁ」

少しだけ声を抑えて言い、耳を澄ます。

新八は昨日泊まった筈だ。
自分が呑みに行く時は大抵万事屋に泊まっていく。

神楽を一人には出来ない。

以前、自分よりもよっぽど強い神楽を捕まえて、
そんな事を言ったのを覚えてる。

神楽がそこら辺のヤツラにどうこうされるタマかよ。

呆れ混じりにそう返すと、新八は少し怒ったようにこちらを睨み、

「それでも神楽ちゃんは女の子で、子供です」

だから、夜一人になんかさせられません。自分だってまだ十分子供と
言える年なのに、そう言いきった新八。

そんなもんかね~。と、頭を掻きつつ、ほんの少しだけ
口元が緩く上がるのを感じた。

そんな俺がどう見えたのか、新八は一つ息を吐いて肩を落とし、
それにですね~・・・と言葉を続けた。

「アンタ、酔っ払うと適当にソコラ辺で寝ちゃうじゃないですか。
風邪なんか引かれたらたまりませんもん」

自分よりも一回り年を取ってる俺に向けて、そんな事を言ったのも覚えてる。

何その手の掛かる子供を見るような目。
確かにね、銀さんソコラ辺で寝ちゃうけど、そんなに手、掛からないから。
いい大人だから、銀さん。
でもこの間は着替えさせてくれて、布団まで連れてってくれて有難う。

安心して酔えます。


「だからって言って、ホイホイ呑みに行くんじゃねぇぞ、コラ。」


ですよね~。

・・・そう、どす黒い笑顔で言われたのも覚えてるんだけどね。

 

だが、覚えてはいるものの中々実行出来ない俺は、こうして静かに
家の中の物音に耳を澄ませるのが常だ。

・・・よし、どうやらまだ寝てるみてぇだな。

てっきり帰るのと同時に新八辺りからお小言を貰うものと
気構えていただけに、ホッと肩の力を抜いた。

その拍子に落ちた視線の中に、きちんと二人の履物が並んでいるのが入り、
少しだけ、安心する。

怒られるのはイヤだが、やはり出迎えが無いと言うのは寂しい。

それを眺めつつ、適当に自分のブーツを脱ぐ。
そして廊下へと足を進めたのだが、ふとそれを止め、チラリと振り返る。

視線の先には見慣れた玄関。

神楽の靴。

新八の草履。

そして俺のブーツ。

・・・だが、俺のだけ少し離れた所にある。
しかも片方倒れてるし。

それに少しだけ眉を顰める。

違う・・・違うな、コレ。

足早に戻り、その場にしゃがみ込む。
そして自分のブーツを手に取り、二人の履物の横にきちんと並べる。

すると、そこには行儀良く並んだ三人の履物が出来上がる。


神楽の靴。

新八の草履。

俺のブーツ。


「坂田家の出来上がり~♪」

納得のいく出来栄えに、少しだけ気分が良くなる。

少し前までここには俺のブーツしかなかった。
だけどそれが一つ増え、もう一つ増え、こうして行儀良く並んでいる。

いいな、コレ。うん、いいよ。

満足げにそれを眺めていると、不意に小さな足音が後ろから聞こえた。
振り向けばソコにはまだ少し眠そうな新八の姿が。

「銀・・・さん?帰って来てたんですか」

そんな所で何してるんです?重そうな目蓋を擦りながら、新八が
傍へとやって来る。

どうやら起きぬけの為、朝帰りへの怒りよりも先に、目の前の俺の行動が
気になったらしい。

それを手招きし、今まで見ていたものを指差した。

「見て見て、仲良し坂田さん一家」

ニコニコと笑って告げると、新八はカクリと首を傾げた。
・・・が、それも少しの間だけ。
直ぐに新八も気付き、やんわりと頬を和らげた。

「本当だ、仲良しさんですね~」

珍しく行儀の良い。そう言ってクスクスと笑う新八に、俺は少しだけ
口を尖らす。

「珍しくは余計だっつーの。アレだよ?坂田さん一家は何時でも行儀良いよ?
寧ろ皆の見本だからね?」

「どこの坂田さん一家ですか、それ。
それについさっきまで一つなかったですからね?
仲良しさんだったのはこの二つだけです。」

こ~んな感じで。そう言って俺のブーツを離そうとする新八に、
慌てて頭を下げる。

本当すんません、ごめんなさい。
反省してるから離さないでください、マジで。

すると、許してくれたのか新八の手がブーツから離れた。
それを見て、すかさず少しだけ空いてしまった隙間を埋めるように
ブーツを直す俺。

うん、やっぱり仲良し坂田さん一家だ。

すると、満足げに頷く俺の横で、新八が小さく声を上げた。

見れば何処か困ったような表情で坂田さん一家を見詰めていた。
そして・・・

「銀さん・・・」

「ん?どうした、新八」

「犬の靴ってないんですかね・・・」

「・・・・・・あぁ!!」

 

 

 

 

 

 

「新八~、定春のお散歩セット、何処ネ?」

「あ~、玄関だ、玄関」

昼過ぎ、何時もの所に見られなかったお散歩セットの行方を
尋ねると、問い掛けた新八ではなく、ソファに寝そべっていた
銀時が答えた。

「なんで銀ちゃんが知ってるネ」

万事屋の中の事は、既に主である銀時よりも新八の方が知っている。
なので新八に聞いたのだが・・・
神楽は訝しげに銀時を見詰めた。

「別に俺が知っててもいいだろうが。
と言うかここの家の主だからね?銀さん。
この家の事で知らない事、ないから」

「なら耳かき何処アルカ」

「あ、ちゃんと元あった所に戻しとけよぉ、お散歩セット

「だから耳かき・・・」

「それとアレだ。知らない人に着いてくなよぉ。
声掛けられても無視しろ無視。決して拳で返事を返すな」

「新八ぃ、耳かき貸すアル。この天パ、詰まりまくってて
人の言葉全然聞こえてないネ。
神楽様が直々に風通し良くしてやるヨ。」

「おいぃぃぃぃ!!!
何処の風通しを良くする気ですかぁぁぁ!!?
もういいからさっさと行って来い!!!」

まるで追い払うように手を振る銀時に、神楽は ケッ と小さく息を
吐くと、傍で苦笑を浮かべて自分達を見詰めていた新八に声を掛けた。

「なんで急に場所を変えたネ。お陰で銀ちゃんに教えられるという
屈辱を味わったヨ、私」

「ちょ、お前どう言う意味だ、おい。」

「そのまんまの意味ヨ」

ベーっと舌を出す神楽を銀時は睨みつけるが、直ぐに視線を逸らし、
荒い鼻息と共に再び体を横たえた。

「・・・仕方ねぇだろ、ソイツは履物ねぇんだからよぉ」

不貞腐れたように呟く銀時に、神楽は不思議そうに首を傾げ、
新八はそっと笑みを零した。

 

 


神楽の靴。

新八の草履。

銀時のブーツ。

そして定春のお散歩セット。

 

 

時に乱雑になっている時もあるが、坂田さん一家は何時でも仲良しだ。

********************
この後、新八以上に履物の並べ方に几帳面になる坂田。
でも臭そうだと何時も隅に追いやられる羽目に(笑)

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